オープンな試合展開なのに、なかなか点が取れなかったことで勝ち点を落としそうな気配を感じたが、何とか勝ち点3。
■マドリーの先発メンバー
GK:クルトワ
DF:カルバハル、ミリタン、アラバ、ミゲル
MF:カゼミロ;バルベルデ、イスコ
FW:ベイル、ベンゼマ、ビニシウス
66分:イスコ→ルーカス・バスケス、ベイル→アセンシオ、78分:ビニシウス→アザール、83分:ミゲル→ロドリゴ
カルバハルが先発に帰ってきた。
セントラルにアラバを置いて、左サイドバックはカンテラーノのミゲル。
前線ではビニシウスが先発となった。
■ベティスの先発メンバー
MF:グアルダード、ギド・ロドリゲス;ルイバル、フェキル、カナレス
FW:フアンミ
70分:ルイバル→テージョ、グアルダード→カマラサ、77分:フアンミ→ボルハ・イグレシアス、82分:カナレス→ホアキン
ベティスはここまで2試合とも1-1の引き分けに終わっており、未勝利である。
スペースができたおなじみの理由
序盤からスペースがある試合展開となった大きな理由の一つは、マドリーのプレスがバラバラであることだ。
まず、3トップがそれぞれ追ったり追わなかったりする。また、プレスにいくかどうかに規則性がないし、取れる可能性がなさそうな場面で出ていくこともある。
これはジダン期の悪い時に現れていた特徴で、個人能力の差で守れる相手なら良いが、そうでないとずっと危ない橋を渡ることになってしまうことがあった。
アンチェロッティに監督が代わってこれまでの2試合もその傾向が続いていた。
前線のポジションチェンジがしばしばある一方、奪われた直後に狭い局面で奪い返すほどのプレスはないので、相手が確実にボールを保持してからの守備がほとんど。
そうなってから前線がふわふわと守備に行くので、間延びした展開になるのだ。
これまでの2試合は得点が取れていたことから、それが問題として顕在化するというより、攻撃の改善に目が行ってしまっていた。
また、前節は最初の守備というより、ディフェンシブサードでの守備のまずさが目立ち追う展開となったので、こうした問題が見えづらい試合となったように思う。
今節のように、オープンでありながら点が取れずスコアレスの時間が続くと、こうした以前からの問題点が目につくことになるということだろう。
もちろんベティスのボール運びのスムーズさも忘れてはならない。
技術が高く、マドリーのまばらなプレスを大きな展開でいなす形は造作もなくやられていた。
2列目に入れば、パスも出せるし自分でもやれる怖さがある。
マドリーのプレーは、彼らにやりやすい環境を与えてしまったようだった。
考え方を変えて
ただ、これはジダン期のような形に戻るべきということではない。
前回のアンチェロッティ期を見ても、前線の面々にはある程度の自由を持たせるのが彼のやり方だから、それを守備的に変えるのは難しいし、そもそも彼の選択肢に入ってないだろう。
守備が多少ルーズになる部分はあっても、攻撃の脅威によって自由に動こうという相手の意思を削ぐ方がアンチェロッティらしい。
今後得点を伸ばしていければ、ジダン期とは違うやり方で試合の入りから主導権を握れれるだろう。
この試合でも序盤からチャンスはいくつかあった。どれかを決めきれていれば第1節と同様の試合になっていた可能性はある。
もともと監督交代で求められているのも攻撃の改善なのだから、守備の精度を高める方向を考えるより、今はそこで決めきれるようフィニッシュの改善を図っていく方が良いと考える。
最終ラインは落ち着いて対処
このような試合で、アラバを初めてセントラルに置き、ミゲルも入っていた最終ラインはよく落ち着いてプレーしてくれた。
アラバはポジションを移しても質の高さがあった。
セルヒオ・ラモスのように、目に見えて強いとかすごく速いという雰囲気はないのだが、マドリーではおなじみの広いスペースのカバーをこなしてくれる。
経験あるプレーヤーらしい読みと判断は、多くのものをもたらしてくれるだろう。
帰ってきたカルバハルは決勝点も挙げて、さすがといったところ。
運動量や守備の確実さだけならバスケスも競えるだろうが、自分が主役になるプレーにおいてはカルバハルに一日の長がある。
せっかくベイルもいるので、カルバハルのクロスに期待する場面は多くなるだろう。
左のミゲルも経験のなさを弱点にすることなくプレーしていて頼もしい。
守備はアラバに助けてもらえるし、ボールを持った時も逃げずにプレーできているから、メンディの控えとしては十分やれるのではないだろうか。
そうなるとマルセロが余る形にはなるが、アンチェロッティにはサイドバックを縦に並べる選択肢がある。
交代による変更でそうすることがしばしばあり、以前はコエントランとマルセロという組み合わせも実際に使われていた。
実際この試合でも右でバスケスとカルバハルが同時起用されている。守備にシフトしたい時を中心に、前線の組み合わせによってマルセロをエストレーモで使うことは十分に考えられる。
最後に
得点してからはジダン期のようなしぶとさが見られ、いざとなればそういう試合もできるかといった印象だった。
が、先述した通りそれを第一としていては、監督交代の意味は薄くなってしまう。
ジダンがアンチェロッティのやり方をベースにして積み上げたように、今度はアンチェロッティがジダンの残した長所を使いながら彼らしいチームを作っていってほしい。
アウェイではあったが、観客のいるスタジアムはやっぱり良い。
代表期間明けの次節セルタ戦は、工事中ではあるもののベルナベウに帰れる予定だ。
良い雰囲気の試合となるよう、また無観客に戻るようなことがないよう、祈っている。