レアルマドリードのある生活

レアルマドリードの応援日記。試合中心にお送りします。

リーガ・エスパニョーラ第10節 vバルセロナ

今シーズン最初の対戦。以前に比べると、異常な敵愾心は表現されなくなってきているように見える。普通の1試合に戻ってきた感があって嬉しい。

■マドリーの先発メンバー

GK:ディエゴ・ロペス

DF:カルバハル、ペペ、バラン、マルセロ

MF:セルヒオ・ラモスケディラモドリッチ

FW:ディマリア、ベイル、ロナウド

56分:セルヒオ・ラモス→イジャラメンディ、61分:ベイル→ベンゼマ、76分:ディマリア→ヘセ

セントラルの中盤起用。しかもペペではなくセルヒオ・ラモス。前線は足の速いメンバーをそろえた。カウンター狙いは明白。

バルセロナの先発メンバー

GK:ビクトール・バルデス

DF:アウベス、ピケ、マスチェラーノアドリアーノ

MF:ブスケツイニエスタ、シャビ

FW:メッシ、セスク、ネイマール

70分:セスク→アレクシス・サンチェス、76分:イニエスタ→ソング、84分:ネイマール→ペドロ

ネイマールが入ったことで、イニエスタは中盤で出ることが多くなっているようである。

■極端な転換

セルヒオ・ラモスの中盤での起用、ベンゼマもモラタも先発で使わずディマリア、ベイル、ロナウドを並べた前線というのがアンチェロッティの選択だった。

セルヒオ・ラモスの中盤での起用については、イジャラメンディがユベントス戦で軽傷を負ったためだと試合後にアンチェロッティが発言している。それが事実かどうかはともかく、やろうと思えば中盤の選手でやり繰りがつくところを、わざわざセントラルの選手を持ってきたということは、守って前線の足の速い3枚に賭けることに決めたということ。モウリーニョ期のやり方を復活させるものだった。

バルセロナ戦でこうした”奇策”を取るのは、マドリーの監督にとっての通過儀礼なのかもしれない。モウリーニョも試行錯誤してバルセロナに挑み、末期にようやく落ち着いた形で戦えるようになったという経緯がある。

中盤に上げたのがペペではなくセルヒオ・ラモスであることはモウリーニョ期のものとは異なるポイントだが、最も大きな違いは、こうした策がチームの目指すスタイルの延長線上にあるものではないということ。

モウリーニョのチームは速い攻めが基本路線であり、ペペの中盤起用や前線をカウンターに特化したメンバーに変えても、同じ方針の中の変更だという印象があった。

一方、アンチェロッティの基本はボールを持つこと。そういうチームにあって、今回の変更は基本路線とは全く違うところへの方針転換と言える。しかも極端なカウンター路線を選択したことで、これまでのシーズンとはほとんど何の関連もないチームとなっていた感がある。

事前の準備は多少なりともあっただろうが、長期的な積み上げがないやり方で臨んで結果が出るほど甘くはない。

これまで通りポゼッションで形を作るのか、ボールを捨ててカウンターに徹するのかについてチーム内での意思統一もはっきりしていないように見え、前半はその2つの間で揺れ動いていたように思える。

イジャラメンディ、ベンゼマを入れて元の形に戻っていった後半、内容が良くなっていったのは皮肉な結果だ。

■以前よりボールは持てる

モウリーニョ期の終わり頃から、マドリーはボールを持てるようになっている。マドリーの改善の成果でもあるし、バルセロナの変化が一因でもあるだろう。

この試合も、数字上も56%と44%で、さほどボールを支配された印象はなく、(通常の試合に比べると明らかに少ないが)マドリーがボールを持って攻める時間帯もいくつかあった。

そうした展開では、セルヒオ・ラモスケディラモドリッチの中盤は攻撃を作る能力に欠ける。

高い位置でボールを動かせるのは明らかにモドリッチだけで、彼のところはチェックが厳しくなってしまう。イジャラメンディが入ってからは後方のパス回しも安定したが、その前はモドリッチがいろいろと顔を出さなければいけない状態になっていた。

今後のCLなど強豪との対戦を考えると、こうした形よりももっとボールを大事にすることを基本に考えた方が、今のマドリーには合っている。モドリッチ、イジャラメンディ、イスコといった面々をうまく使っていきながら守備を整えていくことを期待したい。

最初に書いたようにそうした形から大きく離れたこの試合での選択が、長い目で見た時に一つの失敗例になっていれば良い。

ケディラの役割をどうするか

マラガ戦でも少し触れたように、チーム内でのケディラの立場は今非常に微妙なものとなっている。

彼は前線に出て行って攻撃の枚数を増やし、時には飛び出してクロスやシュートをする役割も担っている。この試合でも後方から出てきて数度チャンスを迎えた。しかしながら、そうした場面での技術がないのははっきりしている。良いところに顔を出しながら、それを結果に繋げられないのだ。

なぜ彼がそうした役割を負わなければならないのか。

中盤の現有戦力を考えると、イジャラメンディ、シャビ・アロンソ、カゼミロは後方に残ってボールを捌くタイプ、モドリッチは自ら飛び出すというよりはそうした選手を使うタイプだ。イスコはシュートもパスもうまいが、彼では守備が軽くなる。

結局のところ、”攻撃にも参加しつつ守備面で心配のない選手”というタイプはケディラしかいないというのが大きな原因。彼しかいないがゆえに、得意でないゴール前での決定機まで関わっていかざるをえないことになる。

大事なところでプレーに関与できているのは素晴らしい。そこにいられる、入ってこられるというのは一つの能力だし、チームとしての成果でもある。

だが、チーム事情からそれを得意としない選手に担ってもらっているために、非常にもったいない状態となっている。

イスコの役割を増やし、ケディラを攻撃の任務からある程度解放するのは、1つの解決策だ。ただ、そうなると中盤の真ん中はケディラモドリッチ、イスコという組み合わせ。これで守備をもたせられるなら、という条件がつくことになる。チームとして守備を考える必要が出てくるだろう。

もうひとつは、ケディラの役割はそのままで、より攻撃面での能力の高い選手と入れ替えてしまう補強策。

そうするチャンスはこの夏にもあったが、中盤の補強はイジャラメンディで終わり、その後はベイルにつきっきりになってしまった。CLに出られる人材は限られており、冬に動くことは非常に難しい。今シーズンは何とか我慢してやっていくほかないだろう。

■一矢報いて

結果は1-2。思っていたよりもずっとマドリーは良かった。

特に後半はチャンスも作っていたし、完封されることなく1点を返せたのは大きい。

ゴールしたのがヘセというのも印象的。カウンター狙いのため、ベイル先発、ベンゼマがベンチとなってモラタは最終的にベンチ外となったが、カンテラーノが大きな試合で自信となる結果を残した。

チームとしても、リズムが良かった時間帯に同点とすることができず、追加点を奪われて意気消沈しても仕方ないところで巻き返したのだから得るものはあった。

最後まで精神的に切れなかったことだけを見れば、モウリーニョ初期よりもずっと良い。

若い選手がこういう場を経験できたこと、チームとして出来ることと課題が明らかになったことで、今後に向けた更なる進歩が期待できる。

■次節はミッドウィーク

次節はミッドウィークの開催。30日にセビージャをベルナベウに迎える。

敗れたとはいえ、悲観的になる内容でもないし、時期的にもまだまだこれから。休養を取れる期間は短いが、切り替えてやっていってもらいたい。