レアルマドリードのある生活

レアルマドリードの応援日記。試合中心にお送りします。

CWC決勝 vサン・ロレンソ

2014年最後の公式戦となったCWC決勝、サン・ロレンソ戦を振り返る。

■マドリーの先発メンバー

GK:カシージャス

DF:カルバハル、ペペ、セルヒオ・ラモス、マルセロ

MF:ベイル、クロース、イスコ、ハメス・ロドリゲス

FW:ベンゼマロナウド

44分:マルセロ→コエントラン、73分:カルバハル→アルベロア、89分:バラン→セルヒオ・ラモス

ハメスが先発に復帰。ベイルと併用となり、形としては4-3-3にかなり近い4-4-2。

■サン・ロレンソの先発メンバー

GK:トリコ

DF:ブファリーニ、カンネマン、ジェペス、マス

MF:メルシエル;ベロン、カリンスキ、オルティゴサ、バリエントス

FW:カウテルッチオ

57分:ベロン→ロマニョーリ、61分:ジェペス→セト、68分:カウテルッチオ→マトス

サン・ロレンソも初めてのCWC出場。マドリーとの関わりでは、ペジェグリーニが監督を務めていたことがある。

■攻撃的構成で

この試合のマドリーの中盤はクロースを底に置いた3人になることが多かった。クロースの前はイスコとハメスで、今のマドリーで一番攻撃的な組み合わせ。

ハメスが復帰してもこの形を選択したことは、アンチェロッティがベイルに期待していることの表われなのだろう。このところベイルがあまりチームに貢献できていないことを何度か書いているが、ハメスを彼のポジションに置いてイジャラメンディやケディラを起用するのではなく、2人を併用したことには大きな意味合いがある。

守備のバランスを考えれば、ベイルの起用は明らかにデメリットで、中盤にも守備を得意とするプレーヤーがいない状況になってしまう。ディマリアが特別なレベルで攻守に走り回り、底には守りで信頼できるシャビ・アロンソがいた昨シーズンと比較すると、守備面での不安は明白と言わざるを得ない。それでもなおこの構成を継続するのは、シーズン後半に向けて、もう一歩進化できる見込みがアンチェロッティにあるからだろう。

シーズンの半分にさしかかろうとするこの時期、もともと守備が得意ではないクロースやベイル、ハメス、イスコといった面々が今以上に守備的なプレーを改善し、バランスを作れると確信せずに、こうした形を使っていくことがあるだろうか。

彼らが居並ぶ構成で守備も計算できるとなれば素晴らしい。そこにモドリッチも復帰し、イジャラメンディも控えているといった状況になれば、CLでも耐えうるチームになれるだろう。

サン・ロレンソは寄せが速く当たりが厳しかったので、理想としてはクロースに時間を与えて大きく展開し、守備の寄せを回避したかった。そうなればベイルがサイドで生きる、という風になっていればよかったのだが、このところベイルはサイドにいるより中央に絞っていることの方が多く、サイドはサイドバックが一手に担っている。それでも、クロースのボールで何度か右へ展開し、このところ好調のカルバハルが相手を脅かしていた。

左サイドは、マルセロ、ハメス、ロナウドといった面々で狭い局面を作る。そこで突破できるならそれでも良いし、クロースやセルヒオ・ラモス経由で右に振れば、スペースガある状態を作れる。

目に見えてクロスの精度が良くないながら足元の技術でいろいろやれるマルセロはこうした仕事にうってつけ。筋肉系の負傷で44分にコエントランと交代してしまったことは、この試合に限らず今後に向けての不安要素。幸い公式戦が2週間近くない年末年始の時期なので、この際しっかり休んでコンディションを整えて欲しい。

替わって入ったコエントランは急遽の出場となったわりに落ち着いて対応。厳しい当たりでイライラを表に出していたカルバハルとは違い、飄々とプレーしていた。

中盤のやり合いでサン・ロレンソはマドリーのリズムを少なからず崩していたし、あれこれと笛を吹きすぎる主審の質もあって、マドリーはボールを持つもののチャンスを作れず。セルヒオ・ラモスとカルバハルが前半のうちにカードも貰って、何かあれば、という環境になっていた。このところ、前半の早いうちにゴールを挙げられていないのが気になるところで、結果としては3点4点と入っていても、ジリジリする時間が続く試合がしばしばある。クルス・アスル戦は15分にセルヒオ・ラモスが決めたが、流れの中ではなくセットプレー。アルメリア戦も手こずって、イスコのゴールまで34分を要した。

連勝しているとはいえ、相手を圧倒し何度もチャンスが作れたという試合がこのところ続いているわけではない。気を緩めれば、リーガで勝ち点1に留まってしまうことなど容易に起こりうる。

■またもセットプレー、そしてベイル

先制はまたしてもセルヒオ・ラモス。クロースのキックと相性が良いというべきか、クルス・アスル戦に続いてのゴール。CLからで言えばバイエルン戦、アトレティコ戦と続けてゴールを挙げている。

流れの中ではうまくいかなくても、困った時のセットプレーで点に結びついていることは助かる。そういう脅威があると認識されれば、ゴールに近いところで相手の守備を制約することにも繋がる。フリーキックを直接決めることは実際のところあまり期待できないが、こうして合わせるプレーは良い調子。

2点目は51分。イスコのパスをベイルがオフサイドギリギリの位置で受けて左足でシュート。コースは甘かったがトリコの腕をすり抜けてゴールに収まった。

ベイルは3試合連続のゴール。こうしてゴールは決めてしまうのが面白くもあり悩ましくもあるところ。最近の彼のプレースタイルで、ゴールを挙げられないのであれば起用する意義は薄く、現実的な路線へ一気に舵を切ることも可能性としてはあった。そうした状況の中で彼はとにもかくにも結果を出し続けている。

昨シーズンから見れば、コパ、CLと決勝で重要なゴールを挙げていることも特筆すべき。重要な場面で仕事を出来るプレーヤーであることは疑う余地がない。

あとは、それ以外のプレーでチームに何をもたらしてくれるか。年明けのバレンシア戦、コパのアトレティコ戦の連戦で違ったところを見せてくれるのかどうか。ここでルーズにプレーして、特にアトレティコ戦のようなライバルとのトーナメントでの試合を落とすことになれば、彼の立場はまずくなってしまう。そうならず、献身的にプレーしてくれることを期待している。

2点差となって以降は試合自体がゆるくなった。中盤にスペースができ、互いに攻め合う展開。

73分、カードを貰っていたカルバハルをアルベロアに替え、退場の心配をなくしながら守備を固め、89分にはセルヒオ・ラモスもバランとの交代で下げて石橋を叩いて渡った。

サン・ロレンソは60分過ぎから自分たちが攻める時間を作り、チャンスを作ったものの決定機までには至らず。

ペペは素晴らしいレベルを維持しており、1対1ではまず負けないし、ファールをせずにボールを奪うことができている。熱くなっていたセルヒオ・ラモスとは対照的に、非常に冷静に相手のプレーに対処していた。彼の存在は味方に安心感を与えている。今のマドリーの最終ラインは彼が支えていると言って差し支えない。

前半カルバハルとセルヒオ・ラモスがカードを貰っており、後半は試合がバタバタしていたし主審は相変わらずだったので、久しぶりにプレー以外の精神的なコントロールが求められる試合となったが、後半は誰もカードを受けることなくやりすごせた。

少しモウリーニョ期のバルセロナ戦を思い起こさせるような落ち着きのない試合ではあったが、結果としては2-0のまま何も起こさせず。

マドリーはCWCで初めての優勝を飾った。

■最後に少し

2試合を戦ってほとんど危なげなく優勝。勝って当然の大会をきちんと勝った。そうした大会を、自分たちのプレーの課題はあるものの、相手に勝つチャンスを与えるようなことをせずに終えられたことは評価に値する。チームは良い気分でウインターブレイクに入れるだろう。

マドリーにとってこのタイトルはステップに過ぎない。求めるものはあくまでもCL、リーガで、目標を達成するにはまだまだ改善の余地がある。連勝、タイトルを素直に喜びたい反面、このままでは厳しいだろうという悲観的な予測も繰り返し頭をよぎる。

しかし、今は楽しみ、楽観すべき時なのだろう。去年の今頃も、アンチェロッティの新たなチームがここまで駆け上がるとは想像だにしていなかった。2014年に達成したことを喜びとともに振り返り、2015年も不安を振り払って、期待を上回るようなチームとなることを期待したい。

今週末はリーガはお休み。30日にドバイでミランとの親善試合を行って年内のスケジュールは全て終わる。

移動が大変ではあるが、全く違う土地へ行って精神的にリフレッシュできれば。

先程も触れたが、年明けはいきなり試練。4日にアウェイでリーガ17節バレンシア戦、7日にもアウェイでコパのアトレティコ戦が控えている。アトレティコとはシーズン開始当初に戦って敗れているが、あの時期とは違い五分以上に戦えるだろう。

仮に結果が出なくても慌てず、浮き足立つことがないようにしたいところだが、今回は勝って2015年に弾みをつけてもらいたい。