レアルマドリードのある生活

レアルマドリードの応援日記。試合中心にお送りします。

リーガ・エスパニョーラ第21節 vレアル・ソシエダ

徐々におなじみとなりつつある明るい時間帯のキックオフ。アジアの私達には嬉しいが、ベルナベウは空席が目立つ。

■マドリーの先発メンバー

GK:カシージャス

DF:カルバハル、バラン、セルヒオ・ラモス、マルセロ

MF:ハメス・ロドリゲス、クロース、イジャラメンディ、イスコ

FW:ベンゼマ、ベイル

アンチェロッティの発言通りイジャラメンディが先発。はっきりした4-4-2となり、ベイルがトップに入った。

レアル・ソシエダの先発メンバー

GK:ルジ

DF:アリツ・エルストンド、イニゴ・マルティネス、ミケル・ゴンサレス

MF:ゴルカ・エルストンド、パルド;シャビ・プリエト、グラネロ、カナレス

FW:ベラ

中位で頑張るラ・レアル。ここまでアウェイで勝ち点を5しかあげられていないのが苦しいところ。

■またも早々の失点

マドリーは最初のプレーからのコーナーで失点。ファーから入ってきたアリツ・エルストンドに誰もついておらず、楽々ヘディングを許した。

ごく早い時間帯での失点が続いていることは懸念材料。試合への入り方が悪ければペースを握られることになるし、失点してしまうと相手は更にやりやすくなり、マドリーはプランを考え直さなければいけなくなる。悪ければ悪いなりにまとめることができず、すぐに失点してしまうようでは非常に苦しい。

この試合では幸いにも3分に同点に追いついた。

マルセロのクロスに合わせて抜け出したハメスがヘディングでコースを狙ううまいゴール。マルセロのクロスの質、ハメスの動き出しともにばっちり。

良いゴールで追いつけたものの、逆に言えばこれでやっと同点ということで、いきなりの失点はやはり重い。早々に追いつけたから良いものの、マドリーは退かれると分が悪いので、最初のところは慎重に入りたい。

■クロース、イジャラメンディ

マドリーはロナウドを欠いての形。イジャラメンディの先発は前日会見で明らかにされていたが、出場が続くクロースと組むことに。4-4-2とはいえ、ここまでアンカーでプレーして来たクロースと、本来のポジションがアンカーのイジャラメンディの組み合わせ。クロースを休ませ、イジャラメンディとイスコの中央にハメスとヘセの両サイドとすることも可能ではあったが、アンチェロッティはクロースにこだわり続けている。

そのイジャラメンディとクロースの2人は住み分けに苦労。2人とも下がってボールを受けて捌きたいのだが、それを主にやっていたのはイジャラメンディで、クロースはボールに触れる回数自体が少なかった。

2人が低い位置でプレーすることは、前線に人が足りなくなることに繋がるので、どちらかが適宜高い位置に出て行って人数を確保しなければならない。それもイジャラメンディが顔を出して対応したことで、クロースは居場所を失ってしまった。

低い位置でのポゼッションの安定はイジャラメンディに任せ、クロースは一つ前に出ていった方がプレーヤーの特性上合っているのだろうが、クロースはすっかりアンカーのプレーヤーになったのだなと改めて感じさせられる試合。

クロースはイジャラメンディにはないサイドチェンジのパスで攻撃の展開に貢献。

この試合は左サイドにマルセロ、イスコ、ベンゼマと狭いスペースでも何とかしてしまえるプレーヤーがいたことで、左に守備を寄せられることが多かった。そこから一気にカルバハルへ展開、というのはクロースにしかできないプレー。

このサイドチェンジはアンチェロッティが彼にこだわる理由のひとつだろう。大きく展開すれば攻撃のスピードを上げられるし、通常ならベイルがいるので尚のこと。左をついてから右に展開してベイルからロナウドベンゼマへ、というのが理想で、その基点となれるパスを出せるのはセルヒオ・ラモスかクロース。この展開ができるプレーヤーがいないので、守備に不安があっても外せないというのはよく分かる。

守備のことを考えればイジャラメンディを底に置きたいし、彼にその力は十分にあると思っているが、そうなるとサイドチェンジで展開できるのはセルヒオ・ラモスのみということになる。その場合は、片方のサイドを狙って崩すだけの遅攻がある程度できなければならず、それは今のマドリーのやり方とは方向が違う。

シャビ・アロンソ以来、サイドチェンジで攻める場所を変え、攻撃を加速させていくやり方が浸透しているマドリーが、狭い局面の崩しを狙えるようになろうとしても、相当に時間がかかる。その意味で、クロースの継続起用はやむを得ないところなのだろう。

形を崩さずクロースを休ませることができるとすれば、多少質は落ちたとしてもルーカス・シウバが同様のことができる場合。

プレー動画なのでかなり割り引いてみる必要はあるが、そうしたものを見る限りサイドチェンジもできて守備も頑張れるという扱いのようなので、人数を確保したというだけの契約ではなく、うまく起用できることを期待しても良いかもしれない。

クロースとイジャラメンディは、イジャラメンディがクロースの役割を奪わないよう左右に分担するような形で徐々に落ち着いた。後半は緩かったとはいえ、前後の関係でもある程度はバランスを維持できていたように思う。

うまく役割を分担できれば、イジャラメンディもこうしてやれるだろうと思うけれど、モドリッチが復帰間近なので彼にとっては厳しい状況が続く。

■右で頑張るハメスと左の良い攻撃

サイドチェンジした先の右にいたハメスとカルバハルは久しぶりの組み合わせながらまずまずの連携だった。欲を言えばもっと早く崩しに掛かりたかったところで、それは今後の課題。

ハメスは中央に絞ってくることが多く、序盤は守備参加が緩慢だったので右サイドはよく狙われていた。スペースが多くあって守備の人数が揃わないとなれば相手にとってはありがたい。ハメスは途中からきちんと修正しカルバハルの前を埋めるように頑張って戻ってきていたが、この4-4-2でハメスの良さを生かしつつ右サイドの守備をケアするのはなかなか難しい。

とはいえ、彼は良くやっていたと言うべきだろう。

中央に顔を出し、ゴールに直結する仕事をしながら右サイドの守備へ戻るのは並大抵のことではない。彼がこれをこなせるようになったら、マドリーはディマリアを失った穴を完全に埋められることになる。

ロナウドが帰って来ればまたインテリオールで起用されることになるかもしれないが、攻撃面の良さと守備の両立は同様に求められる。こうした使われ方である程度両立させられたことは、プラスに捉えたい。

マドリーは37分、コーナーの流れからセルヒオ・ラモスが叩き込んで逆転。

またもマルセロのクロスからだった。一時期は蹴っても蹴っても可能性を感じなかったマルセロのボールだが、この試合では質が高く2アシスト。クロス以外でも動きが良くなってきた印象で、シーズン後半に期待が持てそう。

前半のうちに3対1の決定機があったが、これはベイルが失敗。これについては後述。

追いかける立場となったレアル・ソシエダは、前半のうちに負傷交代したベラに続いてカナレスも後半頭から交代となり、陣容として苦しかった。カナレスは守備に不安を抱えるハメスのところをつけていたので、残念な交代となった。

マドリーは前半から良かった左サイドの攻撃を継続。

イスコが1人で相手を外せるので周囲もプレーしやすく、そこにマルセロやベンゼマが絡むと相手としては本当に面倒。ベイルも徐々に左サイドに流れてくるようになり、出入りが更に激しくなって流動的になっていった。

3点目はその左サイドから。

ベイルがベンゼマとのワンツーで抜け出し、左サイドをえぐって中央のベンゼマへラストパス。ベンゼマが落ち着いて合わせた。

この場面はベイルの最初のパスのタイミングの外し方がうまかった。ベンゼマも良いところへ返し、そして中の良いポジションへよく走りこんだ。

ラ・レアルは先制点を挙げたアリツ・エルストンドを62分に替え、マドリー左サイドの攻撃への対処を図る。

2点差となって余裕を持ったものの、マドリーは例によって交代が遅め。74分にハメスをヘセに替えたのが最初。もう5分ずつ早くても良いとも思うが、アンチェロッティは自身の選んだ先発メンバーを信頼しており、そのメンバーで長い時間戦えると考えてのことのだろう。

77分にベンゼマのゴラッソが決まり、3点差となった後の81分に、ケディラチチャリートをピッチへと送り出した。

ベンゼマの2点目は優しいイスコの落としをファーの上隅へ巻いて決めたもの。

ボールに触れる回数が減った時期もあったが、この数試合は調子が上向いてきている。その中でゴールという結果も残せているのは心強い。彼の好不調は、マドリーの攻撃の出来に大きく関わってくるので、精神的にも落ち着いて良いプレーを出来ているのは嬉しい。

結局4-1でマドリーが勝利。先制された時はどうなることかと思ったが、最終的には勝ち点3を得た。

■ベイルについて少し

ベイルはこの試合、前半と後半に1回ずつ決定機を逸した。

最低でもどちらかは決めて欲しかったところであり、彼のようなレベルであれば当然のように2つともゴールしてもらいたかった場面。

以前も書いたように、シュートという選択自体は責めるべきではなく、問題はそれを決めきれないこと。

昨シーズンに比べ仕事の幅が狭くなっているベイルにとって、これを決めるかどうかは大きな違い。率直に言って、決められないのならば幅広い仕事ができ、ロナウドベンゼマのサポートができるプレーヤーを入れれば良い。今シーズンのベイルはそうしたストライカー的立場になっており、そんな中で決め切れないのは彼にとってもチームにとっても痛い。

こうしたことを機に、この後のシーズン終盤に向けて献身的に幅広い仕事をしてくれればと思う。

左足にこだわっているのか、最近は右サイド深くに侵入して右足でクロスを上げる場面も減っている。かなり以前のディマリアのように、すぐに左足に持ち替えては、相手にとって分かりやすいプレー選択をしており、かといって分かっていても突破するほどのプレーにはなっていない。

昨シーズンのように4-4-2の中盤にきちんと戻って守備することも求めたい。

ロナウドベンゼマをはずすことは難しく、その上でベイルを起用するとしたら守備への貢献は不可欠。BBCが3人とも守備を疎かにすればCLの勝ち上がりは望めない。

ロナウドがいる以上、ベイルには我慢しなければならないところが多々あって、それは彼にとって辛い点ではあろう。だが、まずはチームの中で計算できるプレーヤーになってもらいたい。

現状のようなゴールだけのプレーヤーに留まって欲しくない。

■厳しい1週間

今週は厳しい1週間。

ミッドウィークにCWCで未消化のセビージャ戦、週末にはアウェイでのアトレティコ戦が待っている。

連勝とはいかなくとも、負けないよう集中したい2試合。特にアトレティコとはCLでの対戦もあり得るので、そろそろ苦手意識を克服できる結果が欲しいところだ。