2014年最後のベルナベウでの試合。ヨーロッパの大会も狙える位置につけているセルタを迎えた。
■マドリーの先発メンバー
GK:カシージャス
DF:カルバハル、ペペ、セルヒオ・ラモス、マルセロ
MF:ベイル、イジャラメンディ、クロース、ハメス・ロドリゲス
53分:ハメス・ロドリゲス→アルベロア、81分:ベンゼマ→コエントラン、85分:ロナウド→チチャリート
出場停止のイスコの代役はイジャラメンディ。そのまま同じポジションに入った。
■セルタの先発メンバー
GK:アルバレス
DF:マージョ、カブラル、フォンタス、カストロ
MF:ラドヤ;パブロ・エルナンデス、クローン・デリ
FW:オレジャナ、ラリベイ、ノリート
69分:オレジャナ→アウグスト・フェルナンデス、74分:カブラル→セルジ・ゴメス、82分:クローン・デリ→ミナ
ここまで7得点のラリベイと5得点のノリートが攻撃陣を牽引。チームの総得点17のうち12が彼らのものである。
■イジャラメンディとクロース
イジャラメンディとクロースが並んだ中盤。クロースはマドリーでこれまでより低い位置でプレーを続けてきた。慣れないところもあったが、その分、相棒であるモドリッチ、イスコがより前でプレーでき、前後の関係で良い距離感を作ってきていた。
それがモドリッチ負傷、イスコ出場停止となってイジャラメンディが相棒となり、どう変化するか。マドリー以前のプレースタイルからすれば、クロースがこれまでの相棒の役割を負い、イジャラメンディが底に入るのが自然で、4-3-3を維持する時間が長くなるかもしれないと思っていた。
しかしながら、この試合では彼ら2人の関係はほぼ横並び。あまり前後の関係は見られず、同じような位置取りになっていることが多かった。
そのため、後方は安定。セルタが3トップ気味で前から追いかけてきても、ほとんどの場合安全にいなすことができていた。
カシージャスまで戻ってロングボールになるのはやむを得ないが、そうでない場合は繋げていた。イジャラメンディは縦へどんどんパスを入れるタイプではないが、シンプルにボールを動かすことができる。
ベイルは簡単に預けてもらって仕掛けることが何度か出来ていて、これはイジャラメンディとの兼ね合いの良さ。
その一方で、前線の厚みは足りなくなる。
イスコやモドリッチは、アタッキングサードに入ってトップ下的に振舞うこともできるプレーヤーで、彼らとハメスがBBCを使うことができる。
これがハメスだけになるとなかなか難しい。狙われやすくなるし、純粋なトップ下ではなく、4-4-2のサイドからの進出なので、サイドのプレーにも多く絡む必要があり、中央で構えているだけというわけにはいかない。2人が出たり入ったりすることで、相手も混乱するし守備陣形への立て直しも容易になっていく。イジャラメンディとクロースが低めにいることで、高い位置でそうした補完関係を作ることは難しくなってしまった。
こうなると、前線との距離が開きがちになり、BBCトリオに任せるプレーが増えてしまうことになって、流れとしては良くない。守備時にはかなり勤勉に全員が陣形を作っていた試合ではあったが、攻撃に転じると淡白なプレーが多く、連動性に欠けていた。
イジャラメンディとクロースの組み合わせであれば、クロースが攻撃的な役割をより多く担うのが良いだろう。実際、後半になって前に出る場面が出てきて、動きが生まれてきた。
ただ、イスコやモドリッチと組む時とは逆になるので、そのあたりのプレーのバランスを変えるのは難しいかもしれない。ただでさえクロースはようやくより低い位置でのプレーに慣れてきたところで、更にそうした微調整をするのは、時期として適当ではないということはある。現有戦力では、モドリッチが戻ってくるまでイスコとハメスに頑張ってもらうしかなさそう。
もちろん、冬に誰かと契約し、クロースの役割を戻せるのならばそれも良いだろう。ともかく、今のマドリーの肝である中盤の攻守の微妙なバランスを取れるよう、調整していくしかない。
この試合では、それが守備的に寄ったということだ。
■主審が目立って
このように、マドリーはあまりうまくいきそうな状態ではなかったが、主審のマジェンコの笛がそれを救った。
36分、ロングボールに反応して抜け出そうとしたロナウドをカストロが倒したとしてペナルティ。接触はあったが軽微で、ペナルティには値しないプレー。ロナウドの倒れ方が上手だったとしか言いようがない。
セルタには極めて不運なペナルティだったが、ロナウド自身がきちんと決めてマドリーが先制。
セルタはチャンスこそほとんど作れていなかったが、良く守っていた。ビハインドのまま後半に入ってもしっかりしており、それだけに前半のペナルティが試合の興を殺いだと言わざるを得ない。もちろん、マドリーが失敗してほしくはないし、連勝を続けて欲しいのだが、1つの娯楽として見た時に、この試合は非常に残念なものとなった。
65分、クロースの進入からロナウドへのパスがミスになったものの、その後ピンボールのようにボールが動いて、最終的に再びロナウドの元へ。これをボレーで決め2-0とし、試合の行方は決定的となったが、これ以降の時間帯になると笛がなることが多くなり、しばしばプレーが途切れた。
ファールとファールの合間に少しプレーしている、というような印象で、流れも何もあったものではない。それほど荒れていないのにカードも乱発され、いかにもリーガらしい、レベルの低い試合運び。
少し時間は戻るがマドリーは53分にハメスが負傷交代。
重い負傷ではないようではあるが、W杯後プレーし続けてきただけに心配。モドリッチも彼も離脱となると、中盤はかなり苦しくなるので、早めの回復を祈りたい。
ハメスに替えてアルベロア、81分にはベンゼマを下げてコエントランと、サイドバックを縦に並べるこのところお馴染みの交代策でアンチェロッティはバランスを整えた。
81分、相手のパスミスを奪ったベイルからのパスを受けて中盤に上がったマルセロがクロス。ファーのロナウドが合わせてハットトリックを決め、3-0とした。
85分にはそのロナウドをチチャリートと替え、3-0のまま試合終了。
■最後に少し
うまくいった試合では決してなく、もらったペナルティを生かしたというべき勝利。無失点で終えられたことは良かった。
中盤は非常に微妙なバランスで何とか維持されている。この試合では攻撃面で問題があったが、守備も磐石とは言い難く、クロースのレベルアップはもちろん、彼とイジャラメンディが離脱しないよう、コンディション調整の面でも万全を図って、負傷を避けていくしかない。
2月か、遅くとも3月にはモドリッチが復帰してくるので、それまでを何とか乗り切り、シーズン終盤は負傷者なく万全な体制で戦えれば。
ミッドウィークにCLルドゴレツ戦をはさみ、次節のリーガはアルメリアとの対戦となる。