レアルマドリードのある生活

レアルマドリードの応援日記。試合中心にお送りします。

リーガ・エスパニョーラ第33節 vバルセロナ

過密日程にも拘らず、このところ更新が遅れがちなので、論点を絞りつつ。

■マドリーの先発メンバー

GK:ケイラー・ナバス

DF:カルバハル、ナチョ、セルヒオ・ラモス、マルセロ

MF:カゼミロ;モドリッチ、クロース

FW:ベイル、ベンゼマロナウド

39分:ベイル→アセンシオ、70分:カゼミロ→コバチッチ、82分:ベンゼマ→ハメス

ベイルが復帰直後にまさかの先発となった。

バルセロナの先発メンバー

GK:シュテーゲン

DF:セルジ・ロベルト、ピケ、ウムティティ、アルバ

MF:ブスケツイニエスタラキティッチ

FW:メッシ、スアレス、アルカセル

70分:アルカセル→アンドレ・ゴメス

ネイマールマスチェラーノを欠く陣容。アルカセルはようやく少しずつ馴染めてきたかなというところ。

■いびつな守り方

マドリーは、ベイルが中盤に参加して4-4のブロックを作るおなじみの守り方。それに加えカゼミロがメッシの対応をほとんど任されていた。

ここで、バルセロナとの対戦の傾向を思い起こしたい。

モウリーニョ期はバルセロナの力が勝っており、また中盤が優れていたのでボールを奪う形がなかなか作れないこともあって、守備からのカウンターに極端に特化した形を採っていた。その中で、バイタルで非常に危険なメッシへの対応としてペペの中盤起用といったような特殊な策が何度も試されていた。

そこから時を経て、両者の関係は変化してきた。バルセロナの中盤の力は相対的に落ち、また前線を生かすやり方にシフトしたこともあって、以前のような特殊な方策は必要なくなり、基本に忠実に守ることで、マドリーのようなレベルのクラブであれば対抗できるようになってきたのだった。また、その過程でメッシが組み立て参加のため、以前ほどは高い位置にいなくなってきているという状況もでてきていた。

この試合でのジダンのやり方は、4-4で守るという点は最近の傾向を踏まえたものと言える。だが、カゼミロにメッシ番を任せる方法はペペの中盤起用と近く、随分前の方法を使ってきた印象であった。

もちろん、以前の策であっても、それで機能するなら問題ない。ただ、そもそも近年はマドリーがしっかりブロックを作れている時は、メッシは組み立てを助けるために中盤の低い位置まで降りるので、バイタルからは遠ざけることができていたという実績があって、その成功体験からは遠ざかったものであったのは確か。

全体としての守備意識はこれまでほどではなく、中盤の守備が徹底されているとは言いがたかったし、それに加えてカゼミロがある程度メッシについていくとなっては、バランスが取りづらくなっていた。

そうなると、メッシはスペースのあるところに入っていけるし、もちろんボールを持つことができるので、以前のように危険な位置でプレーすることを認めることになってしまう。

彼を追い回して対処するのはどうやっても厳しい。

ブロックを作って万全な形で待ち構えているところへ来られるのならやりようはあるし、低い位置へ降りていってくれるならそれでも守る側の勝ちは近くなる。

が、スペースを与えておいて、対人で処理するのは設計として無理があったといわざるを得ない。

カゼミロは退場になっていてもおかしくなかったし、セルヒオ・ラモスの退場も妥当なもの。メッシへの対処を考えた結果、チームとしてはまとまりに欠ける守り方になってしまった代償は大きかった。

■ベイルの交代に思う

ベイルの先発起用は、ジダンにとってはこの試合における大きなチャレンジの1つ。

もちろん医療部門からのOKは出ていたのだろうが、繰り返し起こっている筋肉系の負傷で離脱していながら、準備期間もなく先発となったのは意外だった。

守備参加しながらカウンターで危険な存在になってくれれば起用の意義はあったのだが、こなしたのは前者のみ。

結果論とはなるが、そのリスクに見合う成果は得られなかった。ロナウドがエリア内での仕事に特化しつつある以上、ボールを奪った後に前に運ぶプレーはベイルが中心になることが期待されるが、そういうところはなし。交代する前から走れていなかったので、復帰が時期尚早だったとの謗りは免れないだろう。

バルセロナとの対戦を考えた時、前述の通り力関係はかなり変化している。以前のようなカウンターに特化した形でなくとも攻撃は可能になっており、その意味で言えば、ベイルとロナウドの併用も必ずしも必要ではなくなりつつあるとも考えられる。

落ち着いたプレーをしたアセンシオや得点を挙げたハメスといったプレーヤーを活用し、一定程度ボールを持てる前提で設計しなおす時期にきているのかもしれない。

その流れはBBCの解体へと繋がるだろうし、それを支える中盤の形も変化していくことになるだろう。

バルセロナにどう対抗するか、が大きなテーマであったモウリーニョ期以降、速いプレーヤーが集まって来ていたのだが、そこまで極端な堅守速攻は必要なくなって来ている。

この数年続いてきたコンセプトが変わりうる潮目にあるような印象を受ける交代となった。

■最後に

試合展開としては、セットプレーからの流れで先制したものの、これを守りきるような形にはなっておらず、オープンな攻め合いに。せっかく運良く先制したのだから、ここから守備意識が改善すればよかったのだが、テンションの割にそういう集中はなかった。

CLなら違ったプレーになったのかもしれない。バルセロナとの対戦の意味合いは変わっていないし、今シーズンに限っても首位を争う重要な試合だったにも関わらず、普段のリーガの試合のようなプレーぶりがしばしば。直前に2試合無失点だったユベントスの守りを見ているだけに、残念な落差だった。

終盤に追いついたことは評価に値する。また、そこから攻めにいったことも間違っているとは思わない。

最後まで諦めないプレー、不利であってもより良い結果を目指す姿勢は、マドリディスモそのもの。2-2で確実に終わらせることが出来たとも限らないし、ベルナベウではこういう姿が求められている。

であればこそ、前半からの守り方、勝つために必要なプレーができていなかったことはとても残念に思う。

この敗戦で、1試合未消化ながら暫定首位はバルセロナに。

セルタ、マラガなど厄介な相手との試合が残っており、リーガの行方はまったくわからなくなった。

この先で結果を残せるかどうかが勝者と敗者を分ける。苦しい最後のところでどれだけやれるか。今のチームのメンタリティが問われることになる。