CLローマ戦に敗れ、2008年になって以降明らかに調子を落としているマドリー。
今週の2連敗という流れを断ち切りたいホームでの一戦。スタートメンバーは以下。
■レアルマドリード先発メンバー
GK:カシージャス
ディフェンダーの招集が4人のみのため、その4人が自動的に最終ラインに入る。
ガゴが中盤の底に配され、攻守両面に期待したいバティスタが先発に復帰した。
3トップはロビーニョがいない時のファーストオプションである3人。
■ヘタフェ先発メンバー
GK:アボンダンシエリ
DF:コルテス、ベレンゲール、カタ・ディアス、リヒト
MF:セレスティーニ、カスケーロ、マリオ・コテーロ、パブロ・エルナンデス
FW:マヌ・デル・モラル、ウチェ
マドリーから移籍したグラネロとデ・ラ・レは契約条項によって出場できない。
ヘタフェとしては、ウチェとマヌ・デル・モラルの2トップにどうボールを供給するかがカギ。
■忘れてしまった”形”
ヘタフェは序盤から、ウチェがボールを受けようと走り回っていた。中央は最終ラインとガゴに挟まれるなどして苦しいので、サイドででも展開しようとすることが多い印象。
ヘタフェの選手がどんどんと上がってくるような場面が少ないので、サイドでボールを触らせる分には問題ないといったところか。
ヘタフェはそれほど良い形を作れていたわけではなかった。
問題があるのは、攻撃に関して。
相手の守備プランの問題もあって大量に得点したバジャドリー戦以降、特にいい形が少ない。
シュスターがローマ戦後にコメントしたような、「効率的な攻撃ができない」という問題が明確になってきた。
「効率的な攻撃」とは素早く攻める形ということだろう。
素早く攻めるための第一の方法は高い位置でボールを奪うことで、3トップを採用して以降のマドリーは、ラウール、ニステル、ロビーニョがボールを追いかけ、中盤も連動することによって高い位置でボールを奪えていた。
相手ゴールに近い位置から攻撃がスタートするのだから、効率的に攻められるし、スペースがある状態でのロビーニョのドリブルも活きる。
ところが、理由は分からないが、ここ最近そうした守備からの攻撃が減っている。
この試合でも良い位置で奪ってロッベンにボールが渡れば、チャンスの形にはなっているのに、それを継続できない。
ボールの奪取地点、つまり攻撃開始の位置が低いのだから、戻ったヘタフェの選手にスペースは消されている。
そうなると崩せないのは相変わらず。サイドの攻撃も効果的にならないし、中央は警戒されていて当然狭い。
グティのパスもなかなか通らないし、精度の低いミドルシュートをいくら放っても相手の守備の脅威にはならない。
ボールの奪取地点が低くても、早く前線に納まれば押し上げもできるのだが、ニステルやラウールに納まらないとボールを取られるか、何とか戻すといった感じで、ゆっくり組み立てることになってしまう。
今節はロッベンがフォワードとしての役割を果たそうとしていた(つまりは3トップ)のだから、そこを活かす形を作らなければならないのだが、どうもそうならない。
当然グティも含めた、攻撃陣の守備の連動をしっかりさせれば、スペースがある状態でトップにボールが供給できれば、もっとチャンスの数は増えるはず。
ミドルサードで奪って一気に攻める、という展開を思い出さないと、現状では厳しい。
前半はマドリーがボールを持つも、以上のように「非効率的な攻撃」に終始し、スコアレス。
■「子供じみたミス」
後半のプレーも前半と似たような展開。選手交代で何とかしようという形だったが、根本的な、チーム全体の動きは改善されず、今後に向けても不安。
62分、ラウールのパスをロッベンが押し込んだかに思われたが、ラウールがシュートに反応した時点でオフサイド。
それに気付かずゴールを喜ぶマドリーの選手を尻目に、ヘタフェがさっさとリスタートして3対2。最後はウチェがゴール。
副審がフラッグを挙げていたのか、主審がオフサイドのコールをしたのはどの時点だったのか(ラウールが出た時点でオフサイドなのに、判定が下ったのが遅かったように見えた)など、審判団の判断に疑問は残るが、カシージャスが言うように「子供じみたミス」を犯したのは選手であり、ベンチにいた人間すべて。
誰一人審判の動きに気付かないというあまりに稚拙な行為で、失点。
ドレンテ、イグアイン、ソルダードといった選手を出しても攻撃が得点になることはなかった。
結果はこのまま0-1で、今週CLも含めて3連敗。
今日の出来では運がなければ勝ちは望めなかった雰囲気だったが、勝ち点1すらも自ら手放してしまった。
■次節に期待するしか・・・
今のマドリーは、良い攻撃のためにどういう守備をすればいいか、ということをすっかり忘れてしまっているように見える。
問題は深刻と言わざるを得ない。ロビーニョが復帰すればチームとしても改善の方向に向かうのかはわからないが、チームとしての勝ち方を再構築する必要があることは確か。