今シーズン最後の山場といってもいいクラシコ。バルセロナの選手の本当に不本意そうなパシージョでマドリーの選手がピッチへ。
■マドリーの先発メンバー
GK:カシージャス
FW:ラウール
左サイドバックにマルセロ。メッシやアンリと対面することになるだろうが、シュスターは敢えてトーレスを選択しなかった。いつも通りと言えばいつも通りだが、ここまでこだわる辺り、使い続けることで成長を促すつもりなのだろう。
■バルセロナの先発メンバー
GK:ビクトール・バルデス
FW:メッシ、ボヤン、アンリ
デコ、エトーを欠くバルサ。3トップの中央にボヤンだが、ここは流動的。
■好調マドリーとバルセロナの問題点
マドリーの構成は、中盤の底にガゴ、ディアラとなっているが、ディアラが序盤から攻撃的にプレーする。ここ数節、ディアラの攻撃参加がいい効果を出している。以前ならしなかったようなサイドチェンジや駆け上がりは、ガゴが中盤の底をしっかりカバーできているからこそ。
守備にもよく走るので、高い位置でボールが取れそうな場面は序盤から多かった。
先制点は13分。グティからスナイデル、グティへリターンパスしたボールがこぼれたところをラウールがダイレクトでゴール左へ流し込んだ。
少しボールがルーズになったところを逃さない、ラウールらしいゴール。
さらに20分、マドリー右サイドからのグティのフリーキックをロッベンが頭で合わせて早くも追加点。
リプレイを見ると、ロッベンには最初から最後までマークが付いていない。明らかなバルセロナのミスだった。
この2点でマドリーは完全に落ち着いた。中盤はしっかりボールを持てるし、最終ラインもあわてる必要がないのでじっくりゲームを作っていく。
一方のバルセロナの問題点は、前線が全員サイドへ流れたがるところと、さらにその前線に任せっきりのパスが多かったことか。アンリやメッシのチャレンジは脅威だが、チームとしてフォローできないので単発といった感があった。シャビがいるのに中盤での存在感が希薄。
マドリーの最終ラインも高さを保って守るので、本当に危険な場面は多く作られない。
抜かれてもフォローが早いのでしっかりケアできているな、という印象。
この時間での交代は、攻撃に関して自滅気味だったことを告白するようなもの。とはいってもドス・サントスもデコのように中盤で攻撃を取り仕切る選手ではない。
バルセロナの方がボールを持つ時間は長いが、最終ラインと中盤の底を行ったり来たりで、効果的でない。
前半は2-0で終了。シュート数はマドリーが6本、バルセロナが1本。ボール支配率はバルセロナの55%。
■圧倒 マルセロまで・・・
後半開始時点でバルセロナはマルケスに替えてシウビーニョ。マドリーは交代なし。
と思ったらシウビーニョも15分足らずで負傷交代。エジミウソンが入った。
後半に入ってマルセロにシュートチャンスが2回ほど。今節のマルセロは攻め上がりでいいプレーが多く、相手が守備せざるを得ない状況を作っていた。
こういうプレーならマルセロの良さが出て、起用も納得できると思える出来。
60分、ロッベンに替えてイグアイン。前節のヒーローの登場にベルナベウは拍手。
62分、右サイドのディアラの突破。イグアインがパスを受け、素晴らしいファーストタッチで勝負あり。バルデスの上を越すシュートで3点目。ディアラの攻撃参加が功を奏した。イグアインの良さもよく出た得点。
67分、先ほど書いたマルセロの2回目のチャンスはこのとき。バルデスがセーブするが、右サイドでボールを回し、一気に左へ振る攻めが成功。
それにしてもバルデスの叱咤には悲壮感が漂っていた。数シーズン前のカシージャスを見ているようでせつなくなるような光景。それほど今節のバルセロナは形を作れなかった。
だんだんとスペースができてきて、バルセロナの前線の個人技の脅威は増すが、やっぱり単発なのは前半と変わりない。アビダルがセンターバックになったのでサイドでの補完もされず、マドリーにとっては楽。
年末年始頃の調子を取り戻せていないロビーニョだが、少しずつ良くなってきている。今節はマルセロの頑張りもあって、左でいいボールの持ち方ができていたと思う。
76分、ラウールに替えてニステル。
久々の出場となったニステル。調整にはいい展開になっているので、時間的にもちょうどいいタイミングだろう。ラウールも拍手で見送られ、お役御免。
77分、ロビーニョのシュート(クロスか?)にプジョルの手が当たりPK。
ニステルがしっかり決め、4-0。復帰戦のファーストタッチがゴールという理想的展開。
87分、メッシからアンリへ、スルーパスが通り、1点返される。スペースだらけの状態ではさすがにやられる。やはり無失点が理想なので、ちょっとがっかり。
4点取ったのでバルデスの失点率が上がり、カシージャスのサモラにはあまり影響がなかったのが不幸中の幸い。
最後はマドリーがおもしろいようにボールを回して、バルセロナを翻弄。ワンタッチ、ツータッチでボールを動かす、見ていて楽しいボール回しは久しぶり。
シャビが最後の最後で審判への暴言で2枚目のイエロー。最後まで存在感を示せずおわってしまった。
4-1で試合終了。
圧倒したと言っていい出来だった。シュート数はマドリーが12本、バルセロナが5本。ボール支配率は50%ずつ。
■ガゴとディアラ
祝勝会等でコンディションの調整不足、優勝決定によるモチベーションの低下を心配したけれど、勢いの差がありありと出た試合だった。
バルセロナの戦術的ミスはあったが、それにしてもマドリー自身の出来の良さが素晴らしかった。
最近のガゴとディアラの出来は特筆に値するだろう。
以前はガゴが前、ディアラが後ろという組み合わせが通常だったが、ディアラが攻撃的に振舞い、ガゴが中盤の底でゲームをコントロールするように役割を逆転させたことで、うまくいくようになった。
ディアラは、以前嘆いていたような単純なパスばかりの役割から解放され、見違えるようないいパスを通すようになったし、ガゴは一人で中盤の底を任せられる守備を見せるようになった。
シュスターがこうした起用法を見つけたので、以前は守備的と非難されたガゴとディアラの組み合わせが今後も使われ、かつホームでも好意的に受け入れられるだろう。
■あと2試合
今節の試合結果により、ビジャレアルの2位が確定。
マドリーは次節、残留を目指しているサラゴサとアウェイで対戦。
完全な消化試合となる残り2試合、どういう布陣を使うのかに注目。まったくこれまで通りということはないだろうから、ここで若手のアピールに期待したい。