CLも敗退し、挑戦できるタイトルはリーガだけとなったマドリー。
ホームの90分でも負けた、悪い雰囲気を振り払うためにも、是非とも勝利したい一戦。
シュスターは19人を招集したが、最終判断で、違和感が残るカンナバーロを休ませた。
■マドリーの先発メンバー
GK:カシージャス
カンナバーロがいないため、エインセがセンターバック、マルセロが左サイドバックとなった。
■エスパニョールの先発メンバー
GK:カメニ
DF:サバレタ、ハルケ、トレホン、ダビド・ガルシア
MF:モイセス・ウルダード、ローラ、バルド、ルイス・ガルシア、リエラ
FW:ジョナサン・ソリアーノ
ラウール・タムードが怪我から復帰してきたが、今節はベンチからスタート。少し脅威は減ったが、1トップを支えるバルド、ルイス・ガルシア、リエラには相変わらず注意が必要。
■カウンターの種はあったけれど・・・
何回か取り上げた攻めのスピードに注目して見ていたが、今節のメンバーの場合、
1.ガゴがいない
2.ディアラとバティスタの2人がボールを喪失する回数が多い
という理由によって、「取られたボールを取り返す」という形で速攻になりかける場面は何度かあった。
こういう形の方が得点という結果は出やすいが、いつにもまして不安定な最近の守備、カンナバーロ不在の最終ラインを考えると、見ていて怖い。
また、ロビーニョが仕掛ける場面が少なかったので、少し迫力不足。相手の守備もまずロビーニョには1対1をさせないことが徹底されていて、下げざるを得ないことが多かったせいかもしれない。
それと、グティのポジションが低い。
最終ラインの前で捌く役割は、彼でなくてもいいはず。高い位置で相手にとって危険なプレーをしてほしいと思うが、下がってくることがよくあった。
マドリーの攻撃に関しては以上のような状況で試合は進む。
エスパニョールとしては攻めを遅らせて、奪って両サイドを狙うのが策だろう。マルセロとトーレスは、どう見ても狙われる。
マドリーの攻めがうまくいかない分、エスパニョールが流れを握って展開。
11分、グティのフリーキックをバティスタが合わせようとしたが、かすっただけ。
当てることはできたと思ったが・・・こういう場面がきっちり入ると楽になるのだろうが、流れが悪い時とはこんな風になってしまうのか。
28分、ショートコーナーからのクロスがファーのバルドに合ってエスパニョールが先制。与えたくなかった先制点を献上してしまった。
中に絞る動きに釣られて、少し離れてからファーに入り込んだバルドは完全なフリーだった。
このところのこういった失点はファーが狙われていることが多い。
ローマ戦でもそうだったし、ベティス戦でマルセロが狙われた時も(2失点)そうだった。
あっさりフリーを作ってしまっているのは困る。
ただでさえ嫌な雰囲気での試合なのに、苦手な追いかける展開となって、見ていて更に暗澹とした気持ちになってしまう。
良いキックだったが、やっぱり流れはマドリーにない。
42分、マルセロがディフェンダーをかわし、低いクロス。イグアインが何とか膝で合わせたボールをカメニがクリアミス。これがゴールに納まって同点。
前半のうちに追いつけたのは非常に大きい。
イグアインは先発起用に応え、マルセロも持ち味の攻撃力で貢献できた。
前半は1-1で終了。
最初に書いたように、ボールを喪失するぶん奪い返しての攻撃は何回かあったが、そこで主役となるべきロビーニョがイマイチ。
ただ、早めに追いつけたのは好材料。同点になったことで、モチベーションは改善されただろう。
■”結果”を手にするということ
シュスターにしては珍しく、核となる選手をあっさりと下げた。最初に「是非とも勝利したい一戦」と書いたけれど、シュスターの認識はそこまでではなかったかもしれない。
本当に重要と思う試合では、ラウール、ニステルをはじめとした主要メンバーは絶対に交代させなかったのだから、個人的には不思議な交代だった。
ドレンテにもロビーニョと同じような役割を求めたいところだったが、マドリーの攻撃は機能せず。
マドリーも以前より前線から追いまわす運動量が増していた印象だったが、エスパニョールもしっかりしている。
チーム全体のハードワークという点ではやっぱりエスパニョールか、と思ってしまう。
それでも次第に疲れてきて、スペースが生まれてくる。
62分のグティのシュートなど、内容はともかく勝つチャンスはある、と思える。
63分、バティスタに替えてスナイデル。胸部の怪我からようやく復帰してきた。
65分、エスパニョールもジョナサン・ソリアーノに替えてラウール・タムードを投入。
タムードは昨シーズンバルセロナを沈めるゴールを決めており、サンチャゴ・ベルナベウのファンは彼を拍手で迎える。
72分、グティが素早くボールを持ちこみ、ラウールへスルーパス。ハルケがラウールを倒してPK。
ラウールが自分でPKを決めて勝ち越し。
相手の人数の方が多かったが、早めに持ち込みグティのパスセンスが生きた。PKになったとはいえ、速攻の一つの形と言えるだろう。
75分、イグアインに替えてソルダード。15分残して3人替えてしまうのはシュスターにしては珍しいのではないだろうか。
ソルダードも少しだけだが、いつもより長い時間をもらっての出場。
83分、リエラに替えてエベルトン。エスパニョールも追いつくべく手を打っている。
終盤はどたばたと押し込まれていたので、何かの拍子に失点しそうで怖い時間帯。
マドリーにはこういう場面でうまくコントロールする能力が求められるだろう。
2点差を付けて試合を終わらせるか、ボールを保持してしのぐか。
マドリーならば前者を選ぶのだろうが、中途半端では危険。こういう時にカウンターが決まればいいのだけれど、今節はうまくいかなかった。勝っている場面で残りわずかな時間をどう使うのかという点も、CLなど強豪と対戦する場合に向けての課題だろう。
■長期的視点に立って
今節は2-1のまま何とか試合を終え、勝ちを手にした。
内容について思うことをいろいろと書いたが、この試合に関しては勝つことが重要と思っていたので、とにかく勝てて良かった。
苦手のエスパニョールに勝利したというのも、リーガの制覇に向けて弾みとなる。
スナイデルが復帰し、中盤の構成に選択肢ができてくるだろう。「グティよりは」運動量に期待できる。結果は良くなってくるかもしれない。
とはいっても、ローマ戦からあまり時間が経っていない今こそ、結果の付いてくるうちに内容の改善に向かってほしい。長期的視点に立って、シュスターにはしっかりとしたチームを構築してほしいと思う。
次節はアウェイでデポルティーボと対戦。難敵が続く。