ホームとはいえ、バレンシア、セビージャの2連戦。前節バレンシア戦を落としたため、是非とも勝ち点3が欲しい第30節。
■マドリーの先発メンバー
GK:カシージャス
FW:ラウール、イグアイン
ペペが招集外のセンターバックにはエインセが入り、左サイドバックはマルセロ。
ガゴとグティが中盤の低い位置に配され、ラウールとイグアインが2トップに近い形。
今節のニステルの代役はイグアインとなった。前節はバティスタだったが、シュスターは毎節調子がいい選手を起用するつもりかもしれない。
また、今節はロビーニョではなくロッベンが先発。こちらは一休みさせる意味合いが強いものだろう。ロッベンの奮起に期待。
■セビージャの先発メンバー
GK:パロップ
MF:ポウルセン、ケイタ、ダニエウ・アウベス、ディエゴ・カペル
FW:ルイス・ファビアーノ、カヌーテ
違和感を抱えたヘスス・ナバスが先発から外れ、それに伴ってアウベスが中盤へ。
高さもある2トップにカンナバーロとエインセは厳しいかもしれない。
カペル、アウベスのサイドアタッカーとセルヒオ・ラモス、マルセロの対決がもうひとつのカギか。
■内容と結果の一致
7分、スナイデルのフリーキックをエインセが頭で合わせて、マドリーが早くも先制する。
万全でない状況でも序盤に先制できたことは大きい。
この後も、マドリーは良い雰囲気で試合を進める。
全員がしっかり守備に走り、ボールを持てばパスコースをよく作る。
特に中盤の運動量は光っていた。ロッベンやスナイデル、グティがこれだけしっかり攻守に運動してくれれば、今後も計算が立つ。
また、ロッベンがスペースがある状態でボールを受けられているので、ロビーニョの場合と同じように推進力が生まれていたのもいい材料。前を向けば、やはり彼のスピードは脅威だ。
24分、イグアインがパロップと1対1になりかけるも、ディフェンダーが戻って阻止。ラウール、セルヒオ・ラモスが相次いでシュートするが、得点できず。
こうした場面でゴールになっていればより楽な展開になっただろうが、そうはならなかった。
33分、セビージャがクレスポに替え、ヘスス・ナバスを入れる。よってアウベスがサイドバックに戻った。
右サイドはアウベスとナバス、左サイドはアドリアーノとカペルというコンビがマドリーのサイドを攻めることになった。
こうした対戦では常に1対2を強いられるし、マルセロの左サイドは守備に関して特に不安視されるが、マドリーの方策としては、逆に攻めること。
ボールを保持した場合に両サイドの攻めを意識させることで、攻撃的なサイドバックを自陣に逼塞させる。マドリー右サイドはセルヒオ・ラモスが、左はロッベンが効果的にそれを意識させていたと思う。
それでもやはりセビージャ自慢のサイドの攻撃陣は素晴らしい。ナバスが入って、マドリーは少しリズムを失ってしまった。
37分、アウベスのフリーキックをクリアしきれず、ボールはケイタへ。うまくポジションを取っていたカヌーテにパスが渡り、ボレーシュートで同点。
ポジショニングとシュートの技術は素晴らしい。
38分、スナイデルがラウールへ浮き球のパス。ラウールへ通すにはここしかないだろうというパスを、ラウールが振り向くには最高のトラップをし、アドリアーノをかわす。
難しい体勢だったが、シュートをゴール上隅に決め、勝ち越し。
追いつかれた心理的影響を考えれば、これほど早く勝ち越せたのはありがたい。
ちなみにこのゴールがラウール公式戦での290個目のゴール。クラブ史上第2位のゴール数となった。ディ・ステファノの最多得点記録までもあと17点。
前半はこのまま2-1。良い試合をしながら追いつかれたが、リードをして前半を終えられた。流れが良いのにリードできないのと、流れの良さが得点に反映されているのとでは雲泥の差だ。
ボール支配率はマドリーの53%。枠内シュート数はマドリー6本、セビージャ2本。
シュートが多いわけではないが、枠にいっているのはしっかり攻められている証拠ともいえる。
■イグアインがようやく・・・
マドリーは交代なし。
後半に入ってセビージャは攻撃意識が高まったよう。2トップにボールが渡る回数も増え、サイドの崩しも活性化してきた。
マドリーはそれに合わせて守勢に回る。といっても、ボール支配率が少し落ちて、カウンターのチャンスが増えてきたのでチャンスはありそう。素早い攻めで得点できれば・・・
58分、グティ、セルヒオ・ラモスとつないでゴール前に低いクロスを出すも、イグアインがあと一歩間に合わず。
59分、ラウールのパスを受けたイグアインが抜け出し、シュートするがパロップがセーブ。リバウンドをイグアインがもう一度シュートするが、これもパロップが右手でセーブ。
チャンスは多くあるが、イグアインに運がなかなか回ってこない。
65分、スナイデルが右サイドを走るグティへロングパス。グティがイグアインへ低いクロス。今度こそ、イグアインがしっかり合わせて3-1。
ようやくチャンスをものにできたイグアインの喜びと安堵・・・
それにしても、グティの左足アウトサイドでのクロスはすごい。
73分、セビージャはカペルに替えてコネ。マドリーはグティに替えてディアラ。
試合を捨てないセビージャ、ヒメネス監督に対し、シュスターは守備固めの交代。これほど明確に守備のメッセージを出すのも珍しい。
試合をはっきりと守り通すことを示したのは、(定石通りとはいえ)良い判断だった。
84分、イグアインに替えてバティスタ。7分、ラウールに替えてロビーニョ。
通算290ゴール目となる貴重な勝ち越しゴールを決めたラウールを、サンチャゴ・ベルナベウのファンは盛大な拍手で労った。
試合は3-1で終了。
ボール支配率はセビージャの54%。後半はボールを支配されたが、枠内シュート数ではマドリー10本、セビージャ2本と、結局後半いいシュートを許さなかった。
攻守の運動量がしっかり結果に反映された、内容・結果ともにいい試合だった。
■一体感
攻守ともに一体感があった、という言葉が合うように思う。
前節に比べて、明らかに試合内容が改善された。シュスターが何らかの指導をしたのは間違いないだろう。ロビーニョやニステル、ペペを欠いても内容ある試合をできたのだから、チーム全体の自信になる。
こうした試合ができれば、結果はついてくる。
2位ビジャレアルとの勝ち点差は6。次節はアウェイでマジョルカと対戦。
今節のような試合をまた見せてほしい。