残り試合の中では一番難しい試合と思われたアウェイでのマジョルカ戦。
■マドリーの先発メンバー
GK:カシージャス
FW:イグアイン
59分:カカ→グティ、75分:グラネロ→ディアラ、83分:ロナウド→ベンゼマ
4-2-3-1。イグアインの1トップには、これまであまり良い印象がない。ロナウドが左と中央で動くので、相変わらず1トップのような2トップのようなやり方だが、果たして。
■マジョルカの先発メンバー
GK:アワテ
DF:ホセミ、ヌネス、ルベン、アジョセ
MF:マルティ;フリオ・アルバレス、ボルハ・バレーロ、カストロ
FW:アドゥリス、ビクトル
58分:マルティ→マリオ・スアレス、ビクトル→ケイタ、77分アドゥリス→ウェボ
ホームではここまで11失点、負けたのはバルセロナとセビージャだけと、圧倒的な強さを見せている。
2トップとその下のボルハ・バレーロの組み合わせはかなり厄介。
■放り込みへ
速攻だけではない攻撃を身につけつつあるマジョルカ。堅守はそのままに、攻撃のバリエーションが増えたとなると今の順位は納得できるもの。
多分、マドリーが想定するよりもマジョルカの遅攻、ボールのつなぎは良かった。意図を持ってボールを動かせている感じ。
ボルハ・バレーロに入った時の、スピードある2トップの動きも、ボルハ・バレーロを信頼して動いている。
それでいて、守備ブロックもきっちり作れる。2トップのどちらかを残して、ゴール前に人数をかけるやり方をきっちり実践できていた。
マドリーとしては、どこから攻めていいやら、どこでボールを取ればいいやらといった感じ。
勝たなければいけないという意識が強くあって、気持ちが逸っている。それが攻守に悪い影響を及ぼしていた。
ただでさえ6人で守りがちなマドリーにとって、あやふやな守備の集中力は不安でしかない。
15分、フリオ・アルバレスのコーナーのクリアボールをビクトルが折り返し、ゴール前でアドゥリスが合わせ、マジョルカが先制。左右に早く振られると守るのは難しい。
これで、マジョルカは自信をつけ、マドリーはさらに焦ることになった。まだまだ時間はあるのだが、チームとしての意識のコントロールは難しい。縦に速い攻め、低い位置でもロナウドに預けて後はお任せ、というパターンが頻発してしまう。
パスの出し所として、グティを期待せざるを得ない状況。シャビ・アロンソはきっちり見られている。
だったら放り込んでみよう、という流れになる。
何度か裏を狙ってオフサイドになっていたので、意図的に中盤を省略することにしたと思われる。
そして、ロナウドとイグアインは単純な駆けっこならそうそう負けないとうこと、上手くいっているマジョルカのラインが浅いという判断もあっただろう。
25分、セルヒオ・ラモスのパス。オフサイドにかからなかったロナウドが、アワテが触るより一瞬早くボールに追いつき、ぶつかりながらも枠へ飛ばすループで同点。
放り込み作戦成功。
上手くいっていたのに裏を突かれて失点したマジョルカ。やっぱり後ろが気になりだす。コンパクトな布陣を徐々に壊す効果もあって、後半に効いてくる。
ただ、マドリーはカシージャスのセーブに2度3度救われた。守備はどうもぱっとしない。アルビオルが怪しげなプレーをしていて、オサスナ戦からうまく切り替えられていないのではないかなと思いもした。それにしても、マジョルカは遅攻がとてもよくなっている。当てて走る動きが良いので、マドリーがやりたいコンビネーションを見せられているような時間帯もあった。
■グティで先手を打つ
悪いながらも追いついて、気分良く後半に臨めたのは間違いなくマドリー。マジョルカは、多分裏へのパスへの対応と、前半の良さを支えたコンパクトさを維持することを頭に。
だが、57分、またもセルヒオ・ラモスから。ロナウドが場所取りに勝ち、裏へ出て、飛び出したアワテを何とか外すシュート。カバーしたディフェンダーが掻き出せず、似たようなパターンで逆転。
これでマジョルカは大変になった。
点を取りに行かなければならないが、ディフェンスラインは後ろが怖い。徐々にコンパクトさが失われていった。選手間の距離が広がり、マドリーの選手たちはその間でボールを受けられるように。ペジェグリーニは、そういう状況で抜群の働きができるグティを投入。
マジョルカはマリオ・スアレスで中盤の主導権を取り返しにかかり、ケイタで前線のスピードを回復しようとする。
が、70分、ロナウドが左サイドで2人の間を割り、クリアしようとしたディフェンスと競り勝って、アワテを冷静に見てゴール。のっていると、ディフェンスと競ったボールが良いところに転がってくるなあ。
75分にグラネロをディアラに替えて守備固め。
グラネロは、序盤の苦しい時間帯に繋ぎに貢献できるようになるともっと良いのだが。ゴール前で良い位置にいられる能力はあるので、できる仕事を増やしてもらいたい。
今日はディアラがつぶしだけでなく、うまく相手をいなすプレーも見せてアピール。
最後はトップ下に入ったグティからイグアインのスルーパス、イグアインはループで決めて4-1とし勝負を決めた。
放り込みが早い時間で成功したのはマドリーにとって幸いだった。マジョルカの思い通りだった展開から、相手にとって嫌なことを先手先手でやっていけた。
残り試合の最難関を乗り越えて、リーガはあと2試合。バルセロナが勝ち点を落とすことを期待するほかないので、油断せず臨んでほしい。