レアルマドリードのある生活

レアルマドリードの応援日記。試合中心にお送りします。

コパデルレイ準々決勝第1戦 vバルセロナ

現地紙の見出しどおり、いつも通りの結果を迎えたバルセロナ戦を振り返る。

■マドリーの先発メンバー

GK:カシージャス

DF:アルティントップセルヒオ・ラモスカルバーリョ、コエントラン

MF:シャビ・アロンソ;ラス、ペペ

FW:ベンゼマイグアインロナウド

68分:ラス→エジルイグアインカジェホン、80分:ペペ→グラネロ

久しぶりのペペシステム。センターバックカルバーリョが入ったが、セルヒオ・ラモスセンターバック、よってアルティントップが右サイドバックに抜擢。左はマルセロではなくコエントラン。

バルセロナの先発メンバー

GK:ピント

DF:アウベス、ピケ、プジョルアビダル

MF:ブスケツ、シャビ、セスク

FW:メッシ、アレクシス・サンチェスイニエスタ

81分:アレクシス・サンチェスアドリアーノ、85分:シャビ→チアゴ、87分:セスク→クエンカ

バルセロナは4-3-3。

■メンタルコントロールはどうなっているのか

後半にリードを許した後は、間延びしたスペースを突かれてなす術がなかったマドリー。そうなった時に持ちこたえられず、ラフプレーに走る状況は全く変わっていない。

ピッチに立つ選手にも当然問題はあるが、こういうメンタルで試合に臨ませていて、しかも現場でも落ち着かせることのない監督、コーチ陣のやり方は明らかに間違っている。

先日のマジョルカ戦でもビハインドにはなったが、ピッチ上での反応は全く違うものだったことから言っても、バルセロナ戦だけ、明らかに違うアプローチをしている。

「特別なライバルなのだから、当然違うモチベーションで臨むべきだ」という見方もあるだろう。しかし、それは、フットボールの枠内でのこと。暴力行為が気持ちの現れであると言っていいはずがない。

しかも、そうしたモチベーションが全くチームを利することになっていない点もはっきりさせておきたい。

ビハインドを負った終盤にドタバタしたところで、バルセロナはセットプレーで落ち着くだけ。ましてプレー外でカードをもらうような行為は最悪だ。彼らは第2戦はないものと思っているのだろうか。

モウリーニョをはじめとするスタッフも同様だ。やるべきプレーを落ち着いてやれとなぜ言えないのか。

マジョルカ戦では逆転後は選手が落ち着けないからとメモまで用意したモウリーニョが、こういう精神状態の選手に対して忠告できないはずはない。

普通の試合ではないとはいえ、こういう精神状態を放置していることで、試合に勝つ確率をぐっと落としているということに、チームは気づかなければならない。

■大まかに前半

さて、試合。

マドリーの守備の仕方は、ハーフラインからのプレス。入ってきたところで、ペペかラスが捕まえる。ラスはこういう仕事をさせると素晴らしい能力を発揮する。

ベンゼマロナウドは、ボールに絡んでいくわけではないが、割と下がっていた。サイドを埋めるには良かっただろう。ベンゼマは時々イグアインの役割を肩代わりしながら守備をしていた。

ロナウドはアウベスにぴったり。自陣深くまでついていくこともあった。

先制はマドリー。良い位置で奪ってベンゼマからロナウドへスルーパス。アウベスの競走に勝ち、またいで左足でゴール。これがこの布陣で狙える唯一の形。

バルセロナはそのあと3バックに移るかという時間帯もあったが結局4バックのまま。ロナウドがアウベスをケアしていて、高い位置を取ってもついてくるから、というのも理由の一つだろう。

とにかく、ロナウドが下がってでもついていっていたことで、バルセロナの右サイドは苦しかった。よってサイドチェンジでイニエスタアルティントップを狙う。こちらはある程度1対1が計算できるので、バルセロナにとってはねらい目。

そういう合間にもアレクシス・サンチェスが裏を狙っていて怖い。コエントランがオフサイドを取り損ねるラインのミスをちょこちょこ犯していたし、以前もそういうことがあったので、ああいう動きは危なっかしい。

■少しでいいから落ち着きたい

1-0のまま時間は過ぎていったが、マドリーは徐々にボールを取れなくなって、下がる時間が多くなる。取っても効果的に前に出られない。

それが、ラスとペペが中盤に並ぶ大きなデメリットの一つ。

ペペが即攻の場面で持ち上がったことがあって、すぐに奪われてしまったが、あそこにディフェンダーであるペペが登場しなければいけないのが辛い。

ボールの回復地点が低くなった時、しかも失点したバルセロナがプレスを頑張りだした時に、全く繋ぐことができないというのも厳しい。ロングボールの放り込みでは、今のマドリーは効率的に陣地を回復してマイボールを作ることが出来ないからだ。

だからこそ、エジルを先発で使ういつもの形が望ましい。

これによって一気にポゼッションが良くなるとか、バルセロナ相手にボール支配で五分になるとは考えていない。また、カウンターが主な武器であることも変わらなくて良い。

ただ、落ち着ける時間を作ったり、フェイクでもボールを持って攻める形を作らないと、確率の低い放り込みに賭けざるを得なくなる。カシージャスのキックは信頼できないという問題もあるので、なおさらだ。

前線の選手がボールを受けに丁寧に降りてくることと、エジルやカカの起用で、少しでも落ち着ける時間帯を作らなければいけない。

今日も、いつもながらボールを失うのが早すぎる。本質はカウンターでも良いが、中盤のパス回しを工夫できるチームにして欲しいところ。

そのためにエジルを使い、スタミナが怪しいならカカを交代で入れる。両サイドと1トップはロングボールを待ち構えるばかりでなく、より多くショートパスを受けに下がって来る必要がある。

そうやってマイボールで凌ぎながら、ここぞで長いボールを入れるなど、メリハリがないと攻守ともに辛くなる。

今はやれることの幅が狭く、取って素早く前線へ入れざるを得ない。それでは得点のチャンスを作れる可能性はあがらない。当然ながら、しかるべき時に速く攻めてこそチャンスは広がる。

そのタイミングまでリトリートして耐え忍べるか、というと、マドリーは得意ではないので、エジルなどの起用とフォワード陣のトライアングルを作れるサポートでうまく誤魔化したい。

後半プジョルにゴールを許した後(このセットプレーの守備の出来の悪さも致命的だった)の酷さは最初に述べたとおり。

プレーに関して言うと、この4-3-3では、1-0を狙うほかないのが正直なところ。カウンター一発で決めた得点を守りきるしかないと決めた形だ。

だから、失点すると修正がきかない。失点後に急にエジルを入れても、そこから改めて攻撃のやり方を作り直す雰囲気にはなりづらいし、守るつもりで作った形に、攻撃の選手をただ当てはめると、ピッチの中でうまく対応できないままになってしまう。

エジルカジェホンを投入した決断は買うが、巻き返すために前に出ていった前線と、当初のコンセプトからあまり変われなかった守備陣という乖離が起きてしまった。

それでスペースを与えて、万事休す。

■継続性はどこへ

リーガでの前回対戦では、割といつも通りの形で臨んで敗北した。その時は、何も対策を取らなかったなとは感じたが、こうしてバルセロナ戦のために、非常に特殊な布陣を組むことが果たしていいのかどうか、疑問が残る。

モウリーニョの2年目に期待するところがあるとすれば、それは近年なかった”継続”というところであって、久しぶりに2年目を迎えたチームが、これまでのやり方をアップグレードしていくことにあったはずだ。

ところが、ことバルセロナ戦に限って言えば、毎回がらりとやり方を変えている印象で、継続とは程遠い一連の対戦となってしまっている。

もちろん、こうした4-3-3の練習はそれなりにしているとは思う。だが、普段のやり方を完全に放棄するかのように臨むと言いことは、毎回更地からスタートするのに近い印象を持つ。

この試合のように、ロナウドベンゼマに守備参加をさせられるということは示したのだから、いつもの4-2-3-1を守備的に実践することは十分に可能だろう。

普段なら4-2で守りがちなところを、きちんと下がるという約束を守らせ、奪った後は少しでも時間を作る、ということでも大分違うし、エジルなどの攻撃的な中盤の選手を起用も出来る。

要するに、エジル、カカが使えないのは、ロナウドの分の守備負担をペペやラスに被せるためなので、きちんと組織を形成できれば、エジルやカカの起用はできる。

現状では、そこを放置しているので、中盤の攻撃を作る能力を犠牲にせざるを得ない形になっているということだろう。

■今後の予定

今のままで、カンプノウで2点取るのは余りに難しいが、リーガはリーガでやってくる。週末はアスレティック・ビルバオをベルナベウに迎える。

来週のミッドウィークに第2戦が開催されるが、マドリーのユニフォームに恥じないプレーと態度はもちろんながら、これまでの積み上げを感じさせる内容を見せてもらいたい。