無敗を誇るサンマメスバリアのアスレティック。
スタジアムが変わって、以前のようなスタジアムの圧力は少し弱くなったように感じるが、それでも熱はすごいものがある。
■マドリーの先発メンバー
GK:ディエゴ・ロペス
DF:カルバハル、ペペ、セルヒオ・ラモス、マルセロ
83分:ヘセ→イジャラメンディ、87分:ベンゼマ→モラタ、89分:カルバハル→バラン
このところお馴染みの4-3-3。ベイル不在の右はヘセ。
■アスレティックの先発メンバー
GK:イライソス
DF:デ・マルコス、グルペギ、ラポルテ、バレンシアガ
MF:リコ、イトゥラスペ;スサエタ、エレーラ、ムニアイン
FW:アドゥリス
58分:デ・マルコス→イラオラ、73分:ムニアイン→イバイ、86分:リコ→エチェバリア
アウェイでは10試合で4勝1分けと勝ち点13しか得られておらず得点も14しかないが、ホームでは12戦9勝、27得点と素晴らしい成績。
CLも狙える位置につけている。
■同じ4-3-3でも
最初に書いたように、マドリーの4-3-3は最近お馴染み。
ディマリアを中央で使い、左に進出させることで、ロナウドがいないことが多くなった左サイドに厚みを持たせることがメリットの1つ。モウリーニョ期のように前線3枚が高い位置に居残って速攻を目指すための4-3-3ではない。
モウリーニョ期の4-3-3といえば、代表戦明けのリーガなどで使われることが多く、縦にとにかく速く攻めきってしまう意図がはっきりしていて、内容はなくても良いので結果を、というようなスタイルだった。それに比べると、今の4-3-3の目指すところはちょっと違う。
ところが、この試合でのマドリーは急ぎすぎだった。
前半にアンチェロッティが落ち着けとジェスチャーしていたのが印象的だったが、奪ってから縦にボールを出すペースが早く、速攻を意識しすぎていた。
アスレティックが前から頑張って追っていて、そこを抜け出せばスペースがあったということはあるのだが、その形ばかりになってしまい厚みのある攻撃を作れなかった。アタッキングサードでしっかりボールを動かして攻める時間帯がなく、上下動してばかり。
マドリーの後方でボールを落ち着かせず、速いパス回しを強いたアスレティックの守備は賞賛に値する。
相手がうまいと、個人でかわされたり、ボールを動かしていなされたりする場面が多く、徐々に徒労感が出てきて追えなくなることが多いのだが、アスレティックの面々はとにかくよく走っていた。
引っ掛けられることは少ないのだが、どんどん追われて落ち着けないということ自体がストレスになる。いずれペースが落ちてくるならばいいのだが、このスタジアムでそれを期待するのは難しい。
そういうダレを許さないこのスタジアムの力はすごい。
■痛かったベイル不在
こういう試合でこそ、ベイルにいて欲しかった。
前に居残ることが多く、今のマドリーの攻撃にはあまりなじめていない彼だが、縦に速くスペースがあったこの試合では居場所はあっただろう。
特にロナウド退場以降にベンゼマに替えてベイルといった選択肢を持てなかったことで、縦への脅威はどんどんと失われ、勝ち点1を守ることに傾いていかざるをえなかった。
監督の判断で起用されないと言うならいいのだが、負傷離脱を繰り返している現状は馬鹿らしい。22節が終わって923分の出場と、半分以下の出場時間しかないのだからどうしようもない。
ヘセが思いのほか馴染んでいるので、しばらくはヘセに頑張って貰って、離脱を繰り返さないまでにきっちりコンディションを整えた方が長期的にはいいだろう。
今日のような行ったり来たりの試合は多くないはずだから、そういう意味で期待しなければならないことは稀。本来のマドリーの形に彼を落としこめるようになるまで、時間をかけていった方がいい。
■落ち着けず
きっちり縦に入れたいところでずれていたのはマドリーばかりではなかった。試合を通してアスレティックにも縦パスのミスは多く、主導権を握られた感はあまりなかった。
後半は、前半よりスペースが出来てきて、攻め合いの様相になっていいったが、どちらが良い形を作るかというより、どちらがミスにつけこむか、というような印象。
マドリーの先制点もアスレティックの不用意な奪われ方からだった。
ベンゼマ、ロナウドと繋いでクロスにヘセが合わせた。難しいバウンドに良く合わせて足を出し、イライソスを破ってゴール。
いつもならここでボール支配率を高めてじわじわと攻める形にシフトしていくのだが、アスレティックの運動量にかげりは見られず、落ち着ける場所が見出せなかったことから、バタバタとした展開が継続することとなってしまった。
このあたりはアスレティックの思惑通り。中盤での接触も増えていくとなれば、完全に彼らの土俵だ。
この時間帯に試合をコントロールできなかったことが悔やまれる。
アスレティックの同点ゴールは交代直後のイバイ。
セットプレーを蹴った後、セルヒオ・ラモスが跳ね返したボールをボレーで隅に決めたゴラッソ。
先ほど書いたように、75分のロナウド退場以降は、速い展開の攻撃で生きる選択肢がなく、ヘセをイジャラメンディに替えて中央を固め、ベンゼマをモラタとする他攻撃面で改善できる手立てがなかった。
相手に与える脅威が減っていく一方の交代策で、逼塞する他なくなってしまったのは、仕方ないこととはいえ残念。
何とか勝ち点1を得て、難しいアウェイの地を後にした。
■選択肢を増やしたい
何度も言うように難しいスタジアムなので、勝ち点1を得たこと自体はまずまずの結果。どのクラブにとっても敗戦もやむを得ないような場所なので、引き分けという結果は悪くない。
ただ、万全であればロナウド退場というアクシデントの後でさえも、いろいろやれただろうという思いは拭えない。
アンチェロッティ体制になって、こういう内容の試合は減ってきているものの、カウンター主体でやりたい試合、そうならざるを得ない試合は出てくるだろう。その時に使える選手をベンチに置いておきたい。
特にディマリアが中央で使われだして、サイドが手薄になってきている今、ベイルを万全のコンディションで使えるかどうかは大きな差になる。
先ほど書いたように、急ぐことはない。少し出ては軽い怪我で離脱して、を繰り返すことほどもったいないことはない。
CLでも頂点を目指すのだから、極端なところ準決勝くらいの時期まで招集外となってでもコンディション調整を重視してもらいたい。恐らくミッドウィークには招集されるだろうが、デルビーとはいえ無理をさせず、使いどころを限定してやっていってもらえれば。
■今週の予定