レアルマドリードのある生活

レアルマドリードの応援日記。試合中心にお送りします。

コパデルレイ決勝 vバルセロナ

今年の決勝はバルセロナ。リーガでの借りを返す試合に。

■マドリーの先発メンバー

GK:カシージャス

DF:カルバハル、ペペ、セルヒオ・ラモス、コエントラン

MF:ディマリア、シャビ・アロンソモドリッチ、イスコ

FW:ベンゼマ、ベイル

86分:ディマリア→イジャラメンディ、89分;イスコ→カゼミロ、89分:ベンゼマ→バラン

オーソドックスな4-4-2。ベイルがトップに入り、両サイドはディマリアとイスコ。

バルセロナの先発メンバー

GK:ピント

DF:アウベス、バルトラ、マスチェラーノ、アルバ

MF:ブスケツ;シャビ、セスク

FW:ネイマール、メッシ、イニエスタ

46分:アルバ→アドリアーノ、60分:セスク→ペドロ、86分:バルトラ→アレクシス・サンチェス

本職のセンターバックが誰も間に合わないのではと報じられていたが、バルトラが先発に入った。

バルセロナの変化とアンチェロッティの選択

上に書いたとおり、マドリーはこれまでの4-3-3ではなくオーソドックスな4-4-2。負傷者が多く万全でない中のやり繰りの結果としての形だけではなかった。

前回のリーガでの対戦では4-3-3を使い、中盤のディマリアが左サイドの高い位置まで進出するやり方でサイドの数的優位を作っていて、攻撃面での効果は高かった。

一方で、サイドの守備は通常なら2対2、だが、エストレーモが戻ってくることは計算に入れられないので、サイドバック1枚で2人を見なければならないリスクを常に抱えている状態で不安定だった。実際、イニエスタがするすると入ってきたのに対しベイルは戻りきれていないところから先制を許している。

それを防ぐために、守備を頑張ってくれるディマリアをサイドで使い、サイドでの同数を確保しようとしていた。

左サイドはイスコで、彼は守備が得意なプレーヤーではないが、両サイドはしっかり戻って守備参加していて、前回対戦のような危うさは人数の上では回避される形に。

攻撃から守備に切り替えなければいけないところで、前線が少し頑張らないとサイドが戻りきれないということが起こりうるので、奪われた後は、奪い返すよりまずは遅らせる守備を徹底して、しっかり4-4で守る形を作り直せていて、このあたりはチームとしてよく動けていた印象。

サイドに人数を割く分、中央はバルセロナの3枚に対しシャビ・アロンソモドリッチが対応するので数的に不足しがち。ブスケツをベイルかベンゼマが見なければいけない。基本的にはベイルが下がって、4-4-1-1のようになって対応。

ただ、そこまで熱心にブスケツについていたわけではない。最終ラインがボールを回している時に彼に楽に入れさせないようにすることと、完全に押し込まれた時に戻ってくることで、何が何でもブスケツに絡んでいくというものではない。後方との距離を維持するだけのように見えることもあった。

強かった頃のバルセロナならば、ここから好きなようにボールを動かして中央を崩せていただろう。だが、今のバルセロナにそこまでの迫力はなかった。

サイドに展開しても、繋いで逆サイドに展開したりサイドバックを使ってえぐったりする形を作ったのは数えるほど。バルセロナらしくない浮き球のクロスが何本もあり、前回対戦と比べても様子が違った。

選択と集中という言い方をすれば、バルセロナの変化に対し、アンチェロッティが中央ではなくサイドのを選択し人数をかけることにしたことは、大当たりだったと言える。前回対戦で危なかったサイドをケアし、ベイルを守備の負担から解放しロナウドに代わるカウンターの核としてうまく使うことができた。

バルセロナの悪さに助けられた点もあるが、うまく対策を打ってバランスを見出したアンチェロッティを褒めたい。

また、サイドで頑張ったディマリアは特筆に値する。

彼にしては運動量が少ない、と言ってしまうのが悪いほど攻守に走り回っていた。普通のプレーヤーにこれほどの量を当たり前に求めることはできない。

守備ではサイドを埋め、カウンターに参加してはすぐに4-4の中に戻っていたので、前半で既に疲れが見えていたが、アンチェロッティは終盤まで彼をピッチに残した。彼なしでは今のマドリーの形は作れななかったことを考えれば当然。

CLまでにコンディションを回復しておいてもらいたい。

■前半はマドリー

先制は11分。

イスコがアウベスのパスに足を出して奪い、ベイル、サイドのベンゼマと繋いでベンゼマはダイレクトでディマリアへ。持ち込んだディマリアはパスとも思わせつつアルバの股を抜くシュートを決めた。

早い時間に先制できたことで、速攻に出るのとボールを持つのとの判断がはっきりし、無理に突っ掛けることが減った。マドリーは流れを支配したまま前半を進めていけた。

以前にも書いているように、マドリーが自力でボールポゼッションを落ち着かせることができるようになったことは、こうした時間帯で非常に大きな違いとなる。

バルセロナのプレスが弱まっていることもあるが、いざという時に安心して預けられる存在としてモドリッチがいる意味も大きいだろう。この試合ではそれほど存在感がなく、パスミスもちらほらあったが、囲まれかけたところをするりとかわすプレーは数度見せていた。

■2点目を取れず同点、勝ち越しはベイルのゴラッソ

後半はチャンスがありながら追加点が挙げられない展開。

1つでも決めていれば、今日のバルセロナの出来であれば安全圏という印象だったが、ベイル、ベンゼマが決めきれず。

特にベンゼマドルトムント戦以降悪い流れに入ってしまっており、改善が必要。ポストプレーはさすがのところを見せたが、ゴール前の判断が悪い。早めに切り替えないと、バイエルン戦をこの悪いベンゼマと一蓮托生では余りにも厳しい。

ジリジリした時間が続いていたが、68分にコーナーをバルトラが決めて以降80分あたりまでは一気にバルセロナのペースに。

あれほど良くなかった雰囲気ががらりと変わり、ペドロのフリーランもあってチームが動くようになってマドリーは対応に苦労するようになった。

マドリーが良かったのはここで無理に勝ち越しを狙って攻め合いにしなかったこと。

2点目を取れるのはマドリーだろうという雰囲気でありながら得点できなかったこれまでの流れから、失点したことでムキになって前掛かりになる恐れはあったが、守備の対応を崩さなかった。バルセロナに前半よりは危ないシーンを作られたが、最後の場面ではペペを中心に集中を切らさず凌いでいた。

このあたりの慌てなさは、アンチェロッティになって大きく進歩したところ。ドルトムント戦でも後半は修正できたように、難しい時間帯でもうまく試合を進めることがチームとしてできている。

そして、85分、ベイルが勝ち越しゴール。

クリアボールをイスコが左サイドで拾い、預けたボールをコエントランがうまく持ち出してベイルへパス。ベイルはスペースにボールを蹴りだしてバルトラと競走。ピッチの外へ押し出されながらも走り勝って、エリア内でのコンタクトにもぶれずピントの股を抜くシュートを決めた。

ベイル個人にとってはもちろん、マドリーの歴史上にも残るようなゴラッソ。スピードはもちろん、スプリントした後のコンタクトで全くぶれなかった体の強さも素晴らしい。

ロスタイムを合わせて最後の8分は、守備固めの交代で凌いだ。

攻撃的な交代は余りにも駒が不足しており難しかったが、守備陣は若い選手が使える。カゼミロ、バラン、イジャラメンディは短い時間ながら難しいところを乗り切った。

アンチェロッティにとってマドリーでの初めてのタイトルはコパとなった。

■CLへ

厳しい言い方をすれば、もっと早く試合を決めることは出来ただろうが、こういう勝ち方は後に弾みがつく。CLに向けて良い雰囲気で臨むことができるだろう。

今日のバルセロナに2点ではベルナベウでの試合とは言えバイエルン相手には厳しい。勢いはつくので、後は前線がゴール前できちんと仕事をしてくれれば。

週末はリーガが休み。しっかり休養して、来週のミッドウィークに向けてコンディションを整えてほしい。