レアルマドリードのある生活

レアルマドリードの応援日記。試合中心にお送りします。

CL準々決勝第2戦 vヴォルフスブルク

最高の雰囲気のベルナベウで素晴らしい結果。第1戦の情けない試合を挽回することができた。

■マドリーの先発メンバー

GK:ケイラー・ナバス

DF:カルバハル、ペペ、セルヒオ・ラモス、マルセロ

MF:カゼミロ;モドリッチ、クロース

FW:ベイル、ベンゼマロナウド

84分:ベンゼマ→へセ、89分:モドリッチ→バラン

ダニーロがカルバハルに替わり、現状でのベストメンバー。

ヴォルフスブルクの先発メンバー

GK:ベナーリオ

DF:ビエイリーニャ、ナウド、ダンチ、リカルド・ロドリゲス

MF:ルイス・グスタボエンリケ、アーノルド、ギラボギ、ドラクスラー

FW:シュールレ

32分:ドラクスラー→クルーゼ、72分:エンリケ→カリジュリ、80分:ギラボギ→ドスト

こちらは第1戦から先発の変更はなし。

■ハイプレスで力を使う序盤

マドリーは3点が必要。ベルナベウの後押しを受けてボールを持ち、ヴォルフスブルクがしっかりブロックを作って対応という展開。その構図自体は第1戦と変化はなく、ヴォルフスブルクにとってはリードを得ていることもあって当然予定された形だったはず。

違いが見られたのは、マドリーのプレスの速さ。

点を取って勝たなければ終わりと尻に火がついた状況で、前線の3人も奪われれば切り替えて守備に当たっていた。モドリッチ、クロースも頻繁に高い位置まで出て行ってボールを追っており、それに呼応する形でラインも上がるので、ヴォルフスブルクは非常に速い判断を求められることになった。

そのため、ボールを前に繋ぐことができず、マドリーはクリア気味のボールをかなり楽に回収することができていた。

ヴォルフスブルクはダンチから精度の高いボールが供給できる。

彼からボールを受けた両サイドがスペースのある状態で仕掛けられれば、チャンスになることが期待できる。マドリーがどんどん前に出て行っていたので、これがはまれば彼らの形になる。現に、序盤数度良い形を作られかけていた。マドリーは守備の応対が曖昧だったので、ちょっとした拍子に大ピンチになりそうな予感もあった。

だが、そうした場面は多くは作らせず。

プレスに行くことでダンチに時間を与えず、味方に預けざるを得ないように仕向けた。マドリーのプレスはそこまで組織的ではないので、隙がなかったわけではないが、それでも多くの場面で追い詰めてボールを蹴らせていた。

ボールの回収役として、カゼミロは万全の仕事ぶり。相手のパスをカットしたり、抜けてきたプレーヤーを止めたり。さすがに皆帰って来てくれる試合とあって、ダメなら遅らせれば十分と、最終ラインの前で落ち着いて判断できていた。

先制点は16分。

プレスをかわしかけたヴォルフスブルクの弱い横パスをカットしたカルバハルがそのまま持ち込んでエリア付近へ。ベンゼマへのパスはカットされたが、ボールは前へとこぼれ、カルバハルはクロスを狙う。これもディフェンダーに当てられたものの、このボールが戻りながら対応していたナウド、ダンチとベナーリオのちょうど届かない位置へ。ファーに流れたボールにロナウドが反応し、ダイレクトで決めた。

カルバハルはバルセロナ戦に続き、前に出てのインターセプトから大きな仕事。攻撃に繋げられる守備ができている。パスに対しての反応が速く、ポジショニング、判断が冴えている。

17分には追加点。

サイドチェンジを受けたカルバハルがファーへのクロス。走りこんだロナウドへのボールはクリアされコーナー。クロースのキックはニアに入ってきたロナウドへ。流すような形のヘディングがサイドネットに決まり、2分で2点を挙げ、一気に合計スコアを同点にした。

力を割いていた序盤に連続得点を挙げて追いつけた。ここをのらりくらり凌がれると、ヴォルフスブルクに自信を与えることになるし、膠着すれば彼らの勝機となるところだったので、マドリーとしては理想的な展開となった。

■落ち着かせてから

連続得点の後は落ち着いた展開に。流れはあったので、もう一押ししてもと思うところもあったが、セルヒオ・ラモスのコメントを見る限り、ハイプレスを止めて少し休むことを意図しての変化だったようである。

プレスの圧力が減ったことで、ヴォルフスブルクは序盤よりボールが持てるように。ダンチから良いボールが出るようにもなり、サイドからチャンスの芽は作れるようになって来ていた。

だが、彼らにとっては大きな不運が。32分にドラクスラーがクルーゼと負傷交代。ベイルの守備意識も高く、カルバハルは第1戦のダニーロよりやられてはいなかったものの、彼とリカルド・ロドリゲスの左サイドはヴォルフスブルクの生命線。ここで退いたことで、左サイドの可能性が萎むこととなった。

また、序盤のようなハイプレスはないものの、マドリーもダンチのパスを消すべく対応。

人数をかけ奪う守備ではなくとも、ボールを追ってダンチから遠ざけ、何度もベナーリオに下げさせていた。また、ベナーリオからショートパスで繋がれると元の木阿弥となるので、そのコースを消し、ロングキックを選択させていた。彼のキックの精度は暖地と比べるとずっと低く、蹴らせればほとんどマイボールとなっていた。

ヴォルフスブルクも彼に下げないよう何とか繋ごうというところも見せていて、このあたりはカシージャスの頃のマドリーを思い出すような流れ。それでも、下げざるを得ない状況というものはある。蹴っても可能性がないのは、味方には辛いが、守る側からすると非常に楽なもの。マドリーはかつての自分達のようだったヴォルフスブルクの守備陣の選択肢をうまく減らして危険な場面を作らせないようにできていた。

後半に入っても、マドリーはギアを上げず。

イスコ、ハメスと攻撃に出るメンバーは控えており、交代も含めてどこで仕掛けるかというところ。早くリードを得るとヴォルフスブルクはリスクを負って攻撃に転じることになり、その場合に逃げ切るための駒はない。緊急的にバランを入れるくらいで、そうなるとバランスも崩れることから、長時間持つかどうかは心もとなく、タイミングを考えながらの試合運びとなった。

ヴォルフスブルクは72分にエンリケに替えてカリジュリ。ドラクスラーに続き、両サイドを負傷で替えることに。

彼らからしてみれば、ワンチャンスあればというところ。ドラクスラー、エンリケともに、第1戦からマドリーを脅かせていたし、ここからコーナー、フリーキックを得れば何か起こせそうではあった。負傷で両者を失うことになったのはなんとも不運だった。

互いに徐々に運動量が落ち始め、チャンスを作りつつ得点は動かない後半。延長も視野に入ってくる時間帯となったところで、マドリーが勝ち越し。

76分、モドリッチのドリブルで得たフリーキックロナウド。かなり慎重に、ふかさないように蹴ったボールは低すぎたが、ちょうどボール一個分壁が割れ、そこを通過。ベナーリオも届かず、まっすぐゴールに入った。

望み通りのキックではなかったが、まさにボールのコースだけ壁に隙間ができた。まさに魔法のような瞬間。ロナウドはこれでハットトリック。今シーズンCLで15点目を挙げた。

■終盤と交代

得点が必要なヴォルフスブルクは復帰してきたドストを投入。ナウド、ダンチも前線に上げてハイボールで一発を狙う。マドリーはカウンター狙いでよくなったし、守備の運動量も欲しいので、ベンゼマをヘセに。

更にマドリーはモドリッチをバランに替えて高さを確保。いずれにせよバランスは乱れているし、残り10分あまりであれば、こうした交代で凌げる。ペペ、セルヒオ・ラモスも集中を保ち、ファールせずしっかり跳ね返し続けていた。

スペースだらけとなったヴォルフスブルクに対し、ダメ押し点が奪えなかったのは残念。最後のところが合わなかった。1点差のままでは何が起こるかわからないので、どこかで決めきって欲しかったというのが正直なところ。

とはいえ、さすがにこのステージで大きなポカはなし。ヴォルフスブルクのロングボール攻勢を何とか凌ぎきって、逆転で準決勝進出を決めた。

攻撃用に取っておいたイスコ、ハメスは出番なし。この大きな試合で出番が得られなかったのは見る側としても残念だし、今後の進路にも影響しそうなことではある。とはいえ、彼らを使って仮に点を取れた時、そこから守備を固める方へ再転換するのは簡単なことではない。守備的な中盤がカゼミロしかいない状況で、途中交代でリスクを負った後に取れる対策は少なく、終盤まで交代を引っ張ったのはやむを得ないところだろう。

逆に言えば、カゼミロ、クロース、モドリッチの攻守のバランスが優れているということでもある。クロースは底では軽さが目立つが、それを経験した上でインテリオールに入ったことで、守備のスタンスが変わったように見えるし、多少軽くてもカゼミロが控えているという形は非常に安定している。シーズン終盤でもあるし、現有戦力で、この3人のバランスを変えて入っていくのはなかなか難しいことのように思われる。

■残り3試合へ

ベスト4は、マドリーのほか、マンチェスターC.、アトレティコバイエルンとなった。

この先はどこと当たっても難しい。このラウンドでは第2戦で取り返したが、第1戦のような内容があればそのまま敗退となるレベルだ。2試合を通した集中、規律がより求められる。

不安なのは、この第2戦にピークを持ってきて、かなり損耗したのではないかという点。

逆転は素晴らしいし、こうした盛り上がりは見ていて楽しいけれども、シーズン中にそう何度もこういうピークがあると、肉体的にも精神的にも磨り減ってしまう。優勝を視野に入れるのであれば、そうした試合はできるだけ少なく、また後にあった方が良く、準決勝、決勝の3試合でそういうパワーを使いたかった。

とは言っても、シーズン前半を考えると、ここまでたどり着けたこと自体が予想外。ここにきてCLの可能性を考えられるようになったことだけでも嬉しい。12月や1月には、そんなことを考えることさえおこがましいような状態だったのだから。

連覇を狙えそうだったバルセロナがここで敗退するのを見ても、長いシーズンに何が起こるか、本当に分からないものだ。

リーガはバルセロナが死守するとしても、マドリーがCLで3試合戦えること、そして最後まで勝利で終えられることを願っている。