レアルマドリードのある生活

レアルマドリードの応援日記。試合中心にお送りします。

コパデルレイ準決勝第2戦 vバルセロナ

試合前の状況を覆すような力はベルナベウで現れず。「ごく普通」に敗戦、コパ決勝進出はならなかった。

 ■マドリーの先発メンバー

GK:ケイラー・ナバス

DF:カルバハル、バラン、セルヒオ・ラモス、レギロン

MF:カゼミロ;モドリッチ、クロース

FW:ルーカス・バスケスベンゼマ、ビニシウス

 

68分:ルーカス・バスケス→ベイル、75分:カゼミロ→バルベルデ、81分:ビニシウス→アセンシオ

 

ナバスが入ったこと以外特に目立った変更はなし。現状はこれが一番信頼を置いている形。

 

バルセロナの先発メンバー

GK:シュテーゲン

DF:セメド、ピケ、ラングレ、アルバ

MF:ブスケツラキティッチ;セルジ・ロベルト、デンベレ

FW:メッシ、スアレス

 

75分:デンベレコウチーニョ、79分:スアレスビダル、86分:ブスケツ→アルトゥール

 

バルセロナは4-4-2。セルジ・ロベルトが先発。

 

■守備でペースを握るも

4-1-2-3のマドリーは、4-4-2のバルセロナに対し人につく意識で守備を作っていた。この時、中盤の中央は3対2となるので、余るカゼミロがメッシについていくことに。それぞれ対面する相手を抑え、組み立てを阻害する意図。

誰かにメッシの相手をしてもらうことで守備を作る形は、かつてはペペ、最近ではコバチッチの例もあり、珍しいものではない。だが、近年と違うのはロナウドがいないこと。守備時は4-1-4-1のブロックをきちんと作ることができるようになっている。

 

守備でペースを握ったマドリーは序盤、カウンターでいい場面を作った。

問題はここで得点を挙げられなかったということに尽きる。

 

この対戦においては、マドリーがバルセロナ対策を講じることがもう何年も続いていて、前半はそれにより主導権を持てていることが多い。その時間帯に得点になるかどうかで、結果は大きく違ってきた。前述の、コバチッチにメッシ対策をさせた試合でも、後半にそれを逆手に取られて失点し崩れたのは記憶に新しいところだ。

用意してきたプランは一定程度成功しているのに、そこで点が取れないから、その後の時間帯(特にハーフタイムに修正可能な後半)に盛り返され、きっちり決められてしまうことを繰り返している。

前半に勝負をかけたが、この日も奏功せずに良い時間を無駄にしてしまった。

 

■ビニシウス

その意味で、前半のうちに迎えた決定機をものにできなかったビニシウスの責任は大きい。最低限枠に飛ばすことができないと怖さは半減する。どうしてもシュートコースだけは切らねばという応対、場合によっては複数がシュートモーションに釣られるといった危機感を相手に与えられない現状は何とも歯がゆい。

1対1の仕掛けでは成長しており、第1戦で抑えられたセメドを相手に、抜ききってサイドをえぐるシーンも作っていた。あとは中央でも違いを作れるかどうかだ。

 

ただ、加入最初のシーズンを過ごしている18歳に多くを求めなければならない状況そのものに無理があることも触れておきたい。それはこれまでも多く指摘されている通りだ。

サイドの崩しも中央でのフィニッシュもやるというタスクは、ビニシウスでなくても重過ぎる。しかも、私たちは無意識に若いロナウドのドリブルと、禁煙のボックスストライカーとしてのロナウドの決定力の両立を彼に求めてしまう。

 

そういう夢を見てしまうのも無理からぬことではあるのだが、そのロナウドでさえ、これらの両立はならず、時間経過とともに変化した結果今がある。ビニシウスの素材を生かすためには、彼と連携し仕事の幅を限定してくれるプレーヤーが不可欠だ。

夏のオフまで待たねばならないにしても、ベンゼマとは違ったタイプの相棒が望まれる。

 

■少数精鋭となってしまうかどうか

数的同数でやりあっていた両サイドにおいて、出て行くかどうかの判断は重要だ。

アウェイゴール分とはいえリードしていたので、前半は守備の意識もあり、多いな問題となることは少なかったのだが、スアレスにゴールを決められてからの後半はバルセロナがサイドを制した。

バランスを崩して攻めに出て行かなければならない場面が増えると、バルセロナのユニットが上回るのはやむを得ない。

言ったり期待の展開で疲労も増し、前残りも目立つようになってブロックの強度が落ちていった。

 

前半がスコアレスで、目論見どおりの展開とはならず、50分に先制を許したのだから、早い時間に方針転換を明確にする交代策がほしかったところだ。

ビハインドになってばたついた流れを制御できないと、スペースを与えて個の能力でやられる。これまで何度も見てきた展開だ。

2点目を取られるとほぼ勝負が決してしまう状況ではあったが、良かった前半を無失点でかわされての後半に先にやられたのだから、展開としてはかなり厳しい。どうせ我慢できないのであれば、マルセロやアセンシオで攻撃的な姿勢を打ち出しても良かっただろう。

 

最近の低調な内容を受けて、信頼の置けるメンバーで引っ張りたい意識が強くなってしまったであろうことが悔やまれる。招集リストの記事でも書いたように、勇気のある判断をしてほしかった。

 

そう考えるのは、こうした試合で起用法が今後にも影響を与えるからだ。

この傾向が続くと、ジダン期のような少数精鋭路線に一気に傾いていくことになるだろう。

主力の能力や経験を考えた時、ジダン期と同様の路線では最大出力に大きな差が出ることは否めない。それではCLの勝ち上がりは厳しく、ソラーリ解任の可能性が高まることになる。

今は先発に固執せず、我慢してプラスアルファの戦力の活用を目指すべきだ。

 

■最後に

前半を乗り切ってペースの落ちる後半勝負で良いという割り切りで、まんまとやられてしまったのだから、実力どおりの敗戦というべきだろう。

 

戦前のプランはある程度当たっているし、相手も様子見で入っていることも合って主導権は握れているから、あとは決めるかどうか。

もちろんすぐに改善するものではないから、序盤に得点できなかった時のその後の試合運びについては良く検討する必要がある。

守備の強度が落ちてスペースを与えるのは、能力で上回るバルセロナの思う壺。カウンター主体にしても、後半に力を残せるよう、攻め時を見極めてポゼッションで落ち着く時間帯も必要だ。

意識していないように見えても、点を取りたい、勝ちたいという欲が強くなってしまうのがバルセロナとの試合。それに飲まれてバタバタした展開にならないよう、コントロールしたい。

 

コパは敗退となったが、タイトルは別として、今週末の対戦でどういった修正が施されるのかは気になるところ。

リーガもほぼ可能性を失っているとはいえ、露骨にメンバーを落とすと士気に関わる。同じメンバーで同じやり方をとっても、バルセロナは耐えればその後に容易に勝機を見出せる。セバージョス、バルベルデ、アセンシオ、マルセロといったあたりを上手く組み込んで構成を変えるようにしたい。

 

ジダンの前例があるので、CLはもしかしたらと期待してしまうが、シーズン途中で監督交代があったのだから、普通に考えれば結果を出すことは難しいシーズンなのだ。

ここまできたら、上手くいかない時こそ思い切って変化を恐れずにやってほしい。