レアルマドリードのある生活

レアルマドリードの応援日記。試合中心にお送りします。

CL決勝トーナメント準々決勝第2戦 vチェルシー

第1戦を3-1で勝利した分を全て投げ捨てて逆転されてからの再逆転。

マドリーらしさ前回の2試合であった。

マドリーの形は同じでありながらやられたのはなぜか。最近の試合との共通項から確認しておきたい。

 

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■マドリーの先発メンバー

GK:クルトワ

DF:カルバハル、ナチョ、アラバ、メンディ

MF:カゼミロ;モドリッチ、クロース

FW:バルベルデベンゼマ、ビニシウス

 

73分:クロース→カマビンガ、カゼミロ→ロドリゴ、78分:メンディ→マルセロ、88分:ナチョ→ルーカス・バスケス、115分:ビニシウス→セバージョス

 

ミリタンが出場停止でナチョとなった。バルベルデが第1戦に続いて右のエストレーモ。

 

チェルシーの先発メンバー

GK:メンディ

DF:リース・ジェームス、チアゴ・シウバ、リュディガー

MF:ロフタス・チーク、カンテ、コバチッチ、マルコス・アロンソ;マウント

FW:ハフェルツ、ベルナー

 

83分:ベルナー→プリシッチ、100分:カンテ→ツィエフ、コバチッチ→ジョルジーニョ、106分:ロフタス・チーク→サウール

 

こちらは第1戦からガラリと変えてきた。クリステンセン、ジョルジーニョをベンチに置き、身体能力に優れ動けるメンバーを揃えたように見える。

 

第1戦振り返り

3-1だった第1戦は、バルベルデを組み込んだ前線の守備が機能していた。

闇雲に追い回すのではなく、チェルシーがボールを下げた時や後ろを向いてプレーした時に寄せることで、選択肢を奪い難しいプレーを強いることができていた。

そうできない場合はバルベルデが最終ラインに下がり、5-3-2となって、チェルシーのサイド攻撃封じを徹底。

ボールがなければ最終ラインに加われ、ボールを持てば縦に運べるバルベルデの能力がいかんなく発揮され、右サイドに一人多いかのような状況を作っていたのだった。

 

出ていける時は相手ボールを狙い、そうでない時は明確に下がってブロックを作る。

自分たちがやりたい試合を作れたのは、この守備の使い分けの選択に間違いがなく、プレスを裏返されるリスクを負わずに済んだから。

 

また、攻撃においては、ビニシウスがクリステンセンにスピードで上回れることが早いうちに共有され、彼が走った時は前のスペースにボールが出てくる。

右サイドはバルベルデが支配し、左サイドはビニシウスが周囲との関係で生きていた。

 

定石通りだったが

翻って第2戦。

マドリーはメンバーこそ同じながら、2点リードを守る姿勢に。

前から追ってくるチェルシーをいなすプレーは安定していたが、第1戦でチェルシーを苦しめた積極的な守備は影を潜め、下がって受ける時間が長く続いた。

 

スコアレスの試合なら、ボールを奪える気配がなければチェルシーが追うのをやめて試合が落ち着くのを期待できるが、2点以上が必要なのでそうはならず。

試合の流れを変えるきっかけをつかめないままであった。

 

そんな時に相手を押し下げるために頼りにしたいビニシウスは、リース・ジェームスにつかれて機能せず。

身体能力に優れたディフェンスをつけられると、縦に行くプレーに怖さがなくなって動きが悪くなるのが彼の今の課題。

苦しい時でも一発があると警戒されることでチームを助ける形になってほしいのに、今はチームが苦しいと彼も苦しくなって、何もできなくなる。それを超えられるかどうかが一流と超一流の差と言えるかもしれない。

 

攻撃に繋がる守備か否か

このように、チームとして下がった結果攻め手を失い、打開してほしい個人も抑えられてしまうというのは、PSGとの第1戦と同じ流れである。

あの時も自ら下がることを選択し、ビニシウスはアクラフやダニーロに抑え込まれていた。

 

もちろん下がること自体が悪いのではない。しかし、どんな守り方もそこからの攻め手がセットであるべきで、どちらかが欠けているとうまくいかないということだ。

下がって受ける守り方から攻撃に繋げられない、または繋がると相手に思わせられないことにマドリーの問題がある。

それができないと、いくら狙いがあっても漫然と下がっているのと変わらなくなってしまう。

 

いくらクロースやモドリッチを下げて相手のプレスをいなせても、その先の手がなければ守備側が勢いづく。

先述したように、この試合ではチェルシーが矛を収める可能性はなかったのだから尚更だ。

「ブロックを作るやり方ではカウンターにうまく繋がらなかった」というのが今シーズンの中盤で得た知見なのだから、その時からプレーの改善を図るか、そもそもそうしたやり方を採らないことを考えるべきだろう。

 

マドリーらしさとベルナベウの変化

0ー3となったところからリスクを負うプレーを思い出し、ロドリゴの同点ゴール。

ナチョを失ってカルバハルがセントラルに入る緊急事態も凌ぎ、ベンゼマの勝ち越し点まで盛り返せたのは、何ともマドリーらしいというしかない。

 

他のクラブなら淡々とリードを守って追加点さえ奪っていたかもしれないし、0-3になってしまったらそのまま沈んでしまうもの。

そういうシチュエーションにしてしまう脆さも、PSG戦と連続してこういうことができる反骨心も、どちらもマドリーならではのもの。

 

CL3連覇期においてさえ、盤石に勝ち続けて強いというよりも、断崖絶壁の細い道をギリギリ落ちないような試合を経てタイトルまでたどり着いていたものだ。

単純な能力の足し算で言えばあの頃と同じ数字にはならないだろうが、似たような空気を纏ったチームにはなりつつあるように思える。

 

あの頃と違うことと言えば、ベルナベウが劣勢でもチームを後押しするようになったように見えることか。

この試合の途中、もっと厳しい雰囲気になっていてもおかしくなかった。

コロナ禍を経て、スタジアム観戦ができることの喜びが勝るようになっているのかもしれない。

 

…と思ったが、先日はベイルが盛大にブーイングされていたのを思い出した。

ベルナベウに集うシビアなマドリディスタの気質が変わったというより、そんな彼らをも巻き込んでしまうものが、CLでのマドリーにはあるというべきなのだろう。