公式戦がスタート。
今シーズンも毎試合見て(できるだけ)書いていきます。よろしくお願いいたします。
■マドリーの先発メンバー
GK:クルトワ
DF:カルバハル、ミリタン、アラバ、メンディ
MF:カゼミロ;モドリッチ、クロース
67分:モドリッチ→ロドリゴ、76分:バルベルデ→カマビンガ、85分:ビニシウス→セバージョス、クロース→チュアメニ、カルバハル→リュディガー
先発は昨シーズンと同じ。
控えの序列については後述。
■フランクフルトの先発メンバー
GK:トラップ
DF:トゥーレ、トゥタ、エンディカ
MF:クナウフ、ローデ、ソウ、レンツ;リンドストロム、鎌田
FW:ボレ
58分:ローデ→ゲッツェ、リンドストロム→コロ・ムアニ、70分:トゥーレ→アラリオ
コスティッチがユベントス移籍間近となって離脱している。
先週末の開幕戦はバイエルン相手に散々だったよう。
続くバルベルデの進化
前半のフランクフルトはブロックを作って守る形からのカウンター狙いで、5-4-1の形。
4バックに比べると、5バック相手の場合クロースを中心としたサイドチェンジによってサイドでスペースを得るのが難しい。
これを主にして狙うと、押し込んでから手数をかけても両サイドを行ったり来たりするだけになりがちなのが、これまでの傾向。
この懸念を打ち破ったのは、大事な試合の右エストレーモでお馴染みのバルベルデであった。
ミドルサードで相手をはがすプレーをフランクフルトは止められず。身体能力を生かして前に出て行ってくれるので、右サイドで攻撃を完結することができる。
「右で出て行けないので、戻して左に振る」という本当によく見られた形が、彼の存在によって必要となくなってさえいるようだった。
右のエストレーモはなかなか定まらず、かつ左に比べて推進力不足だったことで右サイドは添え物となっていることが多かった。
縦に出て行ってくれる進化版バルベルデは、このような近年の流れを変え得る存在となるのではないだろうか。
彼は元々インテリオールであるため、サイドの深い位置からのクロスは得意としていないが、この試合でも見られたようなグラウンダーでのマイナスのボールや、昨シーズンのリバプール戦のアシスト(シュートだったらしいが…)のようなアーリークロスなら、可能性のあるボールを供給できる。
深い位置のプレーはカルバハルが担当できるので、カルバハルが万全なら住み分けも良い。
メンバーは同じでありながらも、昨シーズンからの上積みを示す内容となった。
ビニシウス、今シーズンもいけそう
右サイドが良かったことで、左サイドのビニシウスは存在感が薄かった。
これは良い傾向。ビニシウスが運んで、勝負して、エリア内で得点に関与もしなければならないというのは負担が大き過ぎる。
彼とベンゼマのコンビでなければできないことがあって、そこにパワーを使ってもらいたいのだから、タスクの分散を進めていくべきだ。
そのビニシウスは、先制点の一つ前の場面でのカットインシュートが印象的。
一昨シーズンまでは、同じようなアングルのシュートはファーの遥か彼方に消えていた。トラップに触られたとはいえ、低いボールでポストギリギリに蹴れているのは良い兆候である。
こういうところで使うエネルギーを残せていれば、今シーズンも引き続き期待できると確信できるプレーであった。
そしてコーナーから先制点。
カゼミロの反応と折り返しが素晴らしく、アラバは押し込むだけ。
なかなかセットプレーが決まらない問題がある中、一発勝負の舞台でこういう場面をものにできる。この勝負強さがマドリーらしい。
プレス回避とクルトワのパス
リードを得てマドリーは試合をコントロール。
シーズン初頭であり、コンディションもまだまだ仕上がっていないから、無理せずリードを守っていくのは正しい判断。
これによって、フランクフルトは前からプレスをかける姿勢を見せ始めた。
ベストメンバーのマドリーは、プレス回避にかけては手慣れたもの。
カゼミロを高い位置に逃がし、モドリッチとクロースを中心とした形に変化してボールをスペースに動かしていく。
この強みに加えて、クルトワのパス精度が高まったことで、彼を含めた最後方の回避能力がアップしている。
地味にクルトワがSBまで正確に飛ばせるようになってきている
— きのけい (@keigo_ashiki) 2022年8月10日
少し前まで、クルトワに下げさせられると良いボールが出てこなかった。特に利き足でない右足は絶望的であった。
それを嫌ってフィールドプレーヤーが無理に引き取ると、苦しい形になってプレスの餌食になる恐れが強まる。バランがやられていたのを懐かしく思い出す方もいることだろう。
今はサイドバックに正確に飛ばすことができる。右足でも、ノーチャンスのボールはほとんどなくなった。
GKに圧力をかけて外されてしまうとその分ずれていくから、高い確率で外されるなら追わない判断となることが増えていく。
セービングが話題になることが多いクルトワだが、実は攻撃面でも貢献してくれるプレーヤーとなってきているのである。
理想的な2点目
守備から形を作れないフランクフルトはゲッツェを入れて鎌田を一列下げ、それまでよりボールを持って攻めることを意図。
ボールを受けに下がることもあったものの、ライン間で工夫しようとしていた鎌田が一列下がってくれたことで、マドリーとしては余裕ができた。ボールを持たれても、4-1-4のブロックの外にボールがあることが増えるからだ。
時々あるカウンターの機会はカゼミロが早い段階で消す。
フランクフルトとしては、ボールを持てるようにはなったものの、そのポジションが想定より低くなってしまい、時間経過とともにそこから出ていく術も失っていったような格好となった。
逆にマドリーが速い攻めを狙えるように。
63分、高めの位置を取るようになったフランクフルトのウイングバックの裏を使ってビニシウスが抜け出し、最後はフリーのベンゼマが蹴り込んだ。ビニシウスの動き出し、シンプルにそこを使ったメンディのパスが見事。
リードして、相手が出てきたら速攻を狙うという、理想通りの試合運びで2点リードを得た。
今の序列はこれ
こうなるとマドリーは盤石。
モドリッチを下げてロドリゴを入れ、バルベルデをインテリオールに移したのを皮切りに、バルベルデをカマビンガに、ビニシウスをセバージョスに替えて試合を締めにかかる。最後に新加入の2人を公式戦デビューさせる余裕も残しての戦いぶりであった。
右エストレーモは状況に応じてロドリゴとバルベルデのどちらかを先発させる。
中盤はベテラン3人衆のコンディション管理をしながらカマビンガとチュアメニを組み込む。
こうした運用がメインで、そこにナチョ、バスケスくらいまでが常時使われる序列ということになるのではなかろうか。
意外だったのはセバージョスの起用。
単純な序列でいけば若手3人衆より下になるのだが、このようにして使われるところを見ると、同じタイプがいないため出番を増やすことになるかもしれない。
こういう試合の終盤を落ち着かせることはできるし、ローテーションする試合では彼が先発する機会も考えられる。
あとはリュディガーの配置がどこになるか。
左ラテラルで先発起用していくのかとも思ったが、公式戦であるこの試合の先発を見る限り、今のところ重要な試合では昨シーズン同様の4人がベストメンバーになると思われる。
右ラテラルはローマ時代に経験があるとのことなので、左セントラルのポジション争いをしつつ、もしかするとナチョと2人で最終ラインの全ポジションをカバーすることになるかもしれない。
チェルシーの3CBの左しかリュディガーのイメージない方へ
— あんだるさん (@andalfb) 2022年8月10日
安心してください、ローマ時代に4バックの右ラテラルやってます。
最後に
今週末からはラ・リーガも開幕。
スーパーカップが開催されたヘルシンキから帰ってきても、第1節アルメリア、第2節セルタ、第3節エスパニョールとアウェイが3つ続く、いきなり移動が大変な日程となっている。
W杯が11月21日から12月18日までで予定されており、その後は代表組のコンディションの大きな落ち込みが予想される。
前半戦はできるだけ取りこぼさずにいきたいところだ。