レアルマドリードのある生活

レアルマドリードの応援日記。試合中心にお送りします。

ラ・リーガ第9節 vバルセロナ

ピッチ外で大きな問題をはらみつつも、スポーツ面の戦力は揃えてきたバルセロナ

昨シーズンでさえ互角かそれ以上の試合だっただけに、今シーズンは苦戦も想定していたが、思ったよりも力の差を見せて勝利した。

 

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■マドリーの先発メンバー

GK:ルニン

DF:カルバハル、ミリタン、アラバ、メンディ

MF:チュアメニ;モドリッチ、クロース

FW:バルベルデベンゼマ、ビニシウス

 

78分:モドリッチ→カマビンガ、85分:ビニシウス→ロドリゴ、88分:カルバハル→リュディガー、ベンゼマ→アセンシオ

 

クルトワは間に合わず。前半戦でリスクを負う必要はなく、ルニンの起用は妥当。

GK以外は現段階でのベストメンバー。

 

バルセロナの先発メンバー

GK:シュテーゲン

DF:セルジ・ロベルト、クンデ、エリック・ガルシア、バルデ

MF:ブスケツ;ペドリ、フレンキー・デ・ヨング

FW:ラフィーニャレバンドフスキデンベレ

 

60分:バルデ→アルバ、ブスケツ→ガビ、ラフィーニャ→フェラン・トーレス、73分:デンベレ→ファティ、83分:ペドリ→ケシエ

 

バルセロナはセントラルに負傷者が多発しているとのこと。クンデは間に合った。

 

中央はやらせない

マドリーは4-1-2-3であるバルセロナの形に合わせ、モドリッチが前に出てブスケツを見る形で守る。これによって中盤はがっちりかみ合った格好に。

サイドではバルベルデが必要に応じて最終ラインまで下がり、人数を確保していた。

 

この形の狙いは2つあったように思う。

 

一つ目は、攻撃のスイッチを入れられるペドリとデ・ヨングが関与する機会を減らすこと。彼らがライン間で頻繁に前を向くと怖い。中央のルートを潰しておくことで、彼らが効果的にプレーする機会を奪おうとする狙いである。

 

同数で戦うのだから、ごく単純に言えば個人の質が高い方が優位に立てる。

全盛期のバルセロナは個人の質で上回り、さらにそれを引き出す仕組みも整備されたことによって世界を席巻した。

マドリーも何とかするためにペペを中盤起用するなどして工夫したが、しばしば打ち破られてきた歴史がある。

だが、今はそこまでの質はないし、守備をはがす仕組みもまだまだ。同数での勝負は、かつてのようなギャンブルではなく、互角以上に十分やれる見込みがあっての形だったように思われ、実際中央での崩しをやらせない守りができていた。

 

二つ目は、中央で苦しんでサイドに出てくるバルセロナの攻撃を裏返すカウンターを狙うこと。

バルセロナエストレーモ、ラフィーニャデンベレは幅を取らずに中を狙ってくる。よって、幅を取ろうとするなら、ラテラルが出てこざるを得ない。

頻繁に出てくれば、ビニシウスとバルベルデがその裏を取れる可能性が高まる。

中央を締めることによってサイドに追いやれば、マドリーの強みを発揮できる形になってくれることが期待できるのである。

 

ラテラルが出てきてしっかり崩してくるなら、ビニシウスも下がってサイドの2対2を確保することは想定していただろう。

だが、ラフィーニャデンベレも周りを使って自分も生きるという狙いが乏しい。やられる心配はなきにしもあらずであったが、単独で仕掛けてくれたことで、マドリーはさほど心配せず、カウンターを見据えて守ることができていた。

 

守備の緩さを突いて得点

12分、クロースが持ち上がったところからチャンス。

ブスケツにつかまれながらもセルジ・ロベルトの裏を取ったビニシウスにスルーパスを供給し、ビニシウスは得意の角度へ。

シュテーゲンの脇を狙ったシュートは阻まれたが、こぼれたところをベンゼマが落ち着いて蹴り込んで先制に成功した。

 

ビニシウスがセルジ・ロベルトの背後を突く狙い通りの形。

バルセロナにマドリーのブロックの外でプレーしてもらい、ボールを回収した後クロースが頑張ったことで縦に勝負することができた。

 

バルセロナは前からボールを取りに行きたいのか行きたくないのか、はっきりしなかった。

これが今シーズンの通常なのかはわからないので、バルセロナに詳しい方に解説いただくほかないが、中途半端な形で出てきてくれるバルセロナの守りは、マドリーの組み立て能力からするとはがしやすい部類。

最終ラインと中盤が入れ替わりながらボールを動かすいつもの形で、ボールを前に進めていくことができていた。

 

35分の追加点の場面は、自陣の何でもないフリーキックから。

マドリーとしてはモドリッチが下がっていつも通りの右サイドの組み立て。それに対しバルセロナが食いついてくれたので、中盤にスペースが生まれた。

乱れたボールをカルバハルが生かしたところ、エリック・ガルシアが跳ね返せず、ビニシウスへ。

1対3で勝負はせず、時間を作っている間に上がってきたチュアメニとクロス。左サイドのメンディを経由してクロスを見せてラインを下げさせ、空いたエリアに入ってきたバルベルデが突き刺した。

 

このように、2点ともバルセロナが緩く前に出てきたことによってきっかけが生まれている。

シャビが目指していると思われる全盛期バルセロナのスタイルから言えば、守備面では狭いエリアで即時奪回したいはず。

だからあっさり撤退してブロックを作る方向性ではなかったものの、そもそも守備強度が高くなく、同数でマドリーがあっさり剥がせたことでその背後の広いスペースを使うことができていたのだった。

 

狙い過ぎて失速

サイドからの散発的な単独突破しか形がなかったバルセロナは、時間経過とともにレバンドフスキへの速いタイミングの縦パスを狙うようになった。

スタイル的にはシャビのバルセロナらしくはない。が、シンプルに個人の質が高いところを使ってくる形への対処は面倒であった。

 

確かに、ミリタンを中心として、レバンドフスキ自身がゴールに向かう仕事をさせなかったが、楔のパスを落としてエストレーモやデ・ヨングに前を向かせるポストプレーで何度も速攻の危ない場面を作られた。

ここは潰したいという意思は分かるが縦パスに強く出過ぎた印象で、バルセロナらしからぬ速攻に苦しめられることになった。

 

また、プレス回避からのカウンターができる体験をしてしまったためか、ボールを奪った直後に急所を狙いすぎてあっさり奪い返される場面が散見されるようになって、バルセロナに息を吹き返されてしまった感がある。

守備面では名前を出す必要がないほど問題なくプレーしていたチュアメニであったが、2点リード後は狙い過ぎてチームのリズムを狂わせてしまう原因のひとつとなった。

 

1点目のような関与もカゼミロとは違う動きで良かったし、モドリッチやクロースを経由せずに自分でやれるのは、これまでの試合で見て取れた長所である。

それは間違いないところではあるとはいえ、手数をかけないプレーが増えてしまったのは改善すべきポイント。縦パスを当ててもらうことが多いベンゼマも、合わなくて「そこは焦らずにやってくれよ」という雰囲気に見えた。

ボールを回収した後、自分でやるかどうかを高いレベルの試合で適切に判断して使い分けるようになれれば、より安定した内容が期待できるのではないだろうか。

 

このように、前半の終わりごろから60分あたりまでは、守備そのものではなくその直後の選択の悪さによって流れを悪くしてしまっている。

2点リードしているのだから功を焦らずプレーしてよく、そうすることでかえってバルセロナが自壊してくれる可能性が高かった。

にもかかわらず一発を狙うプレーが多かったのは、余裕があったが故の緩み。

リーガでシーズンに何度か見られる、リードした後シビアに判断せず相手に合わせて

プレーして失敗する試合と同じものである。

 

バルセロナが2点を追って選手交代を先に行い、運動量を回復してきている状況で、攻撃の形が作れなくなっていったのはもったいない。

守備の時間が長くなって、結局失点もしてしまっているから、この部分はシーズン後半には締めていってほしい。

 

層、選択肢の幅の差

選手交代について触れると、バルセロナはガビ、ケシエを入れたものの先発以上の中盤の組み合わせを提示できていなかったように思える。

一方マドリーはカマビンガで守備強度を高められる。モドリッチに比べるとさすがに信頼感は劣るものの、守る態勢にシフトしていけるのである。

 

さらにこの試合ではクロースが攻守にシーズンベストの出来だったため選択しなかったものの、クロースをロドリゴと替えてバルベルデを中盤に下げて固めることもでき、タイプの違う組み合わせで試合に対応できる。

バルセロナはプランAが頓挫した時交代によってプランを変えることが難しい。それに対しマドリーは試合展開に対応して”変身“することができるのである。

 

この差は非常に大きい。

選手層は互角であるように見えたが、実際にやってみると控えも含めた練度、対応力でマドリーに分があったという印象だ。

 

最後にペナルティを得て自ら決め試合を決めたのが、主力と控えの中間くらいの位置にいるロドリゴというのも象徴的。

組み合わせによっては主力組に食い込める彼のような序列のプレーヤーが多くいる点、そしてそれをアンチェロッティがうまく活用している点が、今のマドリーの調子を支えている。

 

最後に

これでリーガでは首位に。

中断期間までリーガはあと4試合、CLは2試合。CLは勝ち抜けを決めていて、余裕を持てるから、リーガで取りこぼさないよう進んでいきたいところだ。

 

いまだ無敗を継続しており、W杯明けに落ちないかが心配になってしまう。

日程を見ると、年明け1月に予定されている16節から19節にビジャレアルバレンシアアスレティック、ラ・レアルとの対戦が組まれている。

1月は2月以降のCLに向けたペース調整のため落ちる時期とよく言われるが、W杯後の疲労などもあるから、ここでガタガタと落ちてしまう恐れは大いにある。

 

アンチェロッティは、今シーズンここまでも見られたようなローテーションでコンディションを管理していくと思われる。

まずは負傷のないことを祈りつつ、また何人か主力組に入っていける戦力を見いだせれば。

 

次節はミッドウィーク開催。

アウェイでエルチェと対戦する。