久々の更新となってしまった。
昨シーズンの決勝をはじめ、近年は毎シーズンどこかで当たっているような気がするリバプールとの対戦。
序盤はリバプールの準備が勝るも、CLのマドリーらしい運と勝負強さによってアンフィールドで勝利した。
■マドリーの先発メンバー
GK:クルトワ
DF:カルバハル、ミリタン、リュディガー、アラバ
27分:アラバ→ナチョ、81分:ロドリゴ→セバージョス、87分:ベンゼマ→アセンシオ、モドリッチ→クロース
チュアメニ、クロースが先発で使えるコンディションになく、ピボーテはカマビンガ。
左ラテラルはアラバとなった。
インテリオールはセバージョスではなくバルベルデが選択された。
■リバプールの先発メンバー
GK:アリソン
DF:アレクサンダー・アーノルド、ゴメス、ファン・ダイク、ロバートソン
FW:サラー、ガクポ、ヌニェス
64分:ガクポ→フィルミーノ、ヌニェス→ジョタ、73分:ヘンダーソン→ミルナー、ゴメス→マティプ、85分:バイチェティッチ→エリオット
プレミアでは中位にとどまっている。
冬にガクポと契約し、巻き返しを狙っているようだが、CLではどうか。
リバプールの狙い通りの20分
リバプールといえば前からのプレスという印象。
チュアメニ、クロースが不在の中盤と組み合わせが固定できない最終ラインで、それをどの程度いなせるのかがカギかと思っていた。
しかし、本格的に試合が動く前にリバプールが先制。4分、右のサラーからのクロスをヌニェスがヒールで合わせ、クルトワの逆をついた。
早々に得点が入ったことで、リバプールは試合展開を選択できる立場に。
この時、マドリーにボールを持たせて、長所である守備で圧迫することもできただろうが、行ったり来たりの展開を選択すると、ビニシウスやバルベルデが生きてしまうことが考えられる。
実際、序盤からマドリーがプレスを外して前に運べそうな場面はあった。これを継続していては安定して優位をキープできないと考えたのか、ボールを失った直後の守備強度は保ちつつも無理はしない方針に見受けられた。
ボールを保持して、サラーとアレクサンダー・アーノルドがいる右サイドに人数をかけて押したら、勤勉なビニシウスはそれを放置して前残りせず戻ってくる。
彼らの特性を生かすには右で攻めた方が良いし、マドリーのカウンターの主力であるビニシウスを危険な位置から遠ざけることもできる。
速い展開を志向するよりも、この方が安定した試合展開が期待できると考えたのではないだろうか。
しかも、14分にはクルトワの凡ミスでボールを奪われ、サラーが追加点を挙げた。
2点差で相手も好む速い展開を選ぶ必要はもうない。
マドリーの中では脆弱なカマビンガやリュディガーのところで圧力をかけ、モドリッチには快適なプレーをさせないよう監視する。
20分までは完全にリバプールの狙い通りの試合となった。
無から同点を生み出す
21分、マドリーの1点目はビニシウスのプレーから。
左サイドでいつものようにボールを受けたビニシウスは、パスをあてる相手を探しながら中央へボールを運ぶ。
だが、縦に走ったモドリッチ、内側でフリーだったバルベルデは使わず、結局外側にいたベンゼマへパスし、すぐにリターンをもらう。
ここまでは何の変哲もない流れ。もっといえば、モドリッチやバルベルデと関われなかった時点で、すぐに突破できる形になるとは思えない動きであった。
ところが、ベンゼマからのリターンをエリア内で受けたビニシウスは寄せられることがなかった。
アレクサンダー・アーノルドは縦のコースを切ってステイ。かといって中のコースを見ていたゴメスも距離を詰めないままで、ビニシウスは出てくる足に当たらない高さでファーに精度の高いシュートを蹴り込んだ。
こういう守備になってしまうのが今シーズンのリバプールなのかもしれないが、ここまではその短所をうまく隠せていた。
試合の流れを無視するマドリーらしいゴールである一方、リバプールは人数が揃っていながらやられる一番避けたかった形。彼らが長所としていた右サイドの短所が露わになったという点でも、痛い失点だっただろう。
35分、今度はアリソンが致命的なミスを犯す。
バルベルデのスルーパスに対応したゴメスのバックパスを受けて縦に出そうとしたパスが、追ってきたビニシウスの足にヒット。跳ね返り浮いたボールがそのまま枠へ飛んで同点となった。
右サイドへパスを出そうとしたのだろうが、出てきていたのはビニシウスとベンゼマだけ。スピードアップしてもそこまで優位に立てるとは思えない場面だったから、シンプルなパスで良かった場面に見えた。
マドリーの散発のプレスには、GKを惑わす何かがまだ宿っているようである。
役割変更とナチョ
後半の立ち上がり47分に、ビニシウスが深い位置で得たフリーキック。
モドリッチのボールがリバプールの守備陣の前をまっすぐ寄ってきたミリタンへぴたりと合って、3-2とすることに成功した。
試合後にアンチェロッティが述べていたように、ファビーニョを見るのをモドリッチからバルベルデに替えたことにより、後半の陣形は安定感を増した。
前半はカマビンガが出ていくこともあって場当たり的な対応にも見えたのだが、本来の特性通りの使い方に整理したという印象。
しかもリードを得て、後半は非常にやりやすくなった。
左サイドの安定には、アラバの負傷交代で入ったナチョも大きく貢献している。
彼は決して無謀な挑戦をしない。一番外のエリアを駆け上がるような貢献は期待できないが、それを受け入れたうえで守備に注力する。
裏を取ることはできなくても、同様に裏を取られる心配もないのである。
ビニシウスを生かす形を狙いたくなる前半にも、優先順位は変えずにリバプール右サイドの攻勢を受け止めてくれたことによって、試合の流れを変えることができたのだった。
ゆるい守備を攻略
55分にはロドリゴとベンゼマのワンツーでエリアに侵入し、ベンゼマがシュート。これがゴメスに当たってアリソンの逆に飛び、4-2とした。
リバプールの守備陣の人数はいるのに、ベンゼマもロドリゴも監視されるだけ。1点目と同じようにシュートまでのプレーに余裕があった。
ゴメスは不運。とはいえ、チャレンジせずにコースを切ろうとだけすると、得てしてこういう跳ね返り方をするもの。
3点目のファールも、アレクサンダー・アーノルドのカバーに入った彼だったから、彼にとっては非常に厳しい試合となった。
リバプールは、サラー以外の前線を入れ替えて再び攻勢に出ようという意図。
ゴールは挙げたもののヌニェスはまだまだと聞いているし、ガクポも冬に契約した戦力で、信頼感はまだそれほどないのかと思われた。
だが、ここまで見てきたように、リバプールの躓きは後方のプレーによるところが大きい。
そこに手を加えたのは、67分にモドリッチのボール奪取からベンゼマが決めて5-2となったあと、73分のことである。
これが限界だったのだとすると、序盤の攻勢は計算できない守備を隠すための選択だったと言えるかもしれない。
マドリーはナチョが入ったことで、アラバの負傷という禍を転じて福と為した。
リバプールの「これしかない」という形を封じて、その後の反攻に繋げ、弱点を的確に突いたと言えよう。
最後に
第2戦は3月。
昨シーズンのチェルシー戦のように、ベルナベウで追いつかれるドラマは心臓に悪い。
落ち着いた試合で勝ち上がりを決めてほしい。
ここからの日程は過酷。
週末にラ・リーガ第23節アトレティコ戦、ミッドウィークにはコパデルレイ準決勝のバルセロナ戦が控える。
ラ・リーガはもう後がないし、コパも当然ということで、楽はできないが、何とか結果を出してシーズン終盤に繋げていってほしい。