レアルマドリードのある生活

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ミリタンとの契約とセンターバック再編に見える補強の変化について

ジダン体制最初となる補強の公式発表はセンターバックとなった。

ポルトに在籍するブラジル代表のミリタンについて、契約解除金5000万ユーロを支払うことでクラブ間合意。ミリタンとは6年契約を結ぶこととなった。

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サイドバックピボーテにも入れるというから、器用なタイプ。

21歳と若く、ポルトではペペの側でプレーしており、良い環境で育っているといえる。マドリーのレジェンドであるカシージャスもおり、マドリーについても良く把握した上で来てくれるだろう。

少なくとも2番手を狙う位置からのスタートとなる。即戦力としての活躍に期待。

 

ミリタンについての基本的な話はここまで。

ここからは、彼の加入から見えるセンターバック陣容の変化、ひいては他のポジションの補強の方向性についても考えてみたい。

 

まず、ミリタンの公式発表から数日して、バランの退団希望が報じられた。

現状をバラン側から見ると、2番手争いにライバルが現れたといったところ。実績は確かなナチョもおり、立場がより不安定になる可能性も出てきていた。

逆にマドリーから見るとどうか。現場としては優秀な戦力が揃っている方が良いから、バランもミリタンも確保したいと考えるのは当然。それがそのままクラブの意向とイコールとなっていれば、こんなタイミングでこうした退団希望報道はマルカで取り扱われない。バランの意向を把握し、移籍を容認する可能性も含んで報じたと考えるのが自然だ。

 

出入りだけで捉えると、ミリタンが入りバランが抜け、バジェホも出ることが確定的であるため、1減となる。

もちろん1減で終結する可能性もなくはないが、ジダンが就任会見で述べた「変化」の言葉から受ける印象からは遠い。ラモス、ナチョもベテランとなってきており、世代交代もそう遠いことではないと皆感じている。そんな中での就任最初の移籍に絡んでの報じられ方としてはネガティブで、マドリーはそうした印象を広めることを望まないだろう。

ということは、センターバックについて1減で終わらせるつもりはなく、今後も続いて動きがある可能性が高い、と読み取ることができる。

 

そこに出てきたのが、アヤックスのデリフトの名前である。

マドリーがCLで直接戦い敗れた相手で、ペレス会長はじめフロント陣の印象に残った可能性もあるが、もとより彼は名の知れたプレーヤー。彼についてこのタイミングで報じられたことは示唆的である。

19歳で将来を嘱望されるセンターバック。カピタンとしてのメンタリティーもあり、マドリーでも将来的には・・・とマドリディスタに期待を抱かせるものがある。世代交代に希望が見え、「変化」を印象付けるには良いプレーヤーだ。

 

デリフトにはもう1つ、「変化」の流れを強くする要素がある。それは代理人の存在だ。

彼の代理人は、ミノ・ライオラである。ポグバ、イブラヒモビッチなどトッププレーヤーと代理人契約を結んでいるが、そうした仕事ぶりとともに彼を有名にしているのは、その強いキャラクターである。

メディアに頻繁に顔を出し、顧客の利益を訴える。強気な表現で耳目を集め、交渉の主導権を握ろうとする。顧客の待遇改善を図っていくことが本来の役割とはいえ、こうした劇場型とも言うべき手法はクラブにとっては悩みの種となる。優秀なプレーヤーと契約はできるが、処遇が悪いとすぐに揉めるようでは、安定的な戦力確保は難しくなりがちだからだ。

 

マドリーは以前メンデスとの関わりを持ち、ロナウドモウリーニョといったように彼の顧客の多くと契約するに至ったが、ライオラとの関係は避けてきた。両者の顧客を同時に抱えるのは、戦力のコントロール、年俸の維持という意味で難しいからだろう。

 

時は流れ、今やマドリーにメンデスの顧客はいなくなったが、以前からの年俸の序列は概ね維持されており、外部からの補強を考えるにしても、長年の主力との年俸の比較は避けられない。

だが、その制約を守っていては、高額の年俸で契約しているプレーヤーとの合意を得ることができないという問題を避けては通れない。

そうしたことを考えると、ライオラとの関係を築くことを真剣に検討することは、この問題を打破するために、現在の枠組みを取り払うことまでも意味することになるのではないだろうか。

 

この10年ほどの序列を再構築するなら、ライオラの案件をはなから拒否する必要はなくなる。少数なら受け入れることも可能だという判断も出てくるだろう。

それはまさに近年のチーム構成、そのための契約関係についての大きな「変化」だ。そうなれば、センターバックに限らず、他のポジションでも前例にとらわれない契約先がテーブルに載ることになる。契約先の幅を広げるという意味で、これまでにはなかったルートからの補強が増える可能性があるわけだ。

 

もちろん、ジダンが就任会見でそこまで踏まえて「変化」と言ったとは思わない。あの段階で彼が述べたのは、あくまでイメージとしてのものなのだろうが、こうした移籍報道にもその具体化の一端が見えるようには思えないだろうか。

 

勝っているうちに変化を声高に求められることは少ない。今、こうした話題が増えることはマドリーにとっては必然のタイミングだとも言える。

モウリーニョのような監督の下では、より大胆なやり方がなされたかもしれず、強い軋轢が生じる恐れもあったが、ジダンが復帰したことで比較的緩やかな手法となるだろう。

そのどちらがマドリー再生に近いか、同時に検証はできない以上比較はできないから、ジダンのやり方を信頼して見ていきたい。

前回の成功をもとに、ジダンが良い形でチームを作り直してくれることを願っている。