オフに入る少し前から語られていたことが、遂に現実になる日が来た。
昨日はグティが、今夜はラウールが退団を発表する会見を開き、これで2人がマドリーを去ることが正式に決定した。
グティのコメントはjumpinさんが相変わらず良い訳をしてくださっているので、そちらで。
ラウールのコメントは、後ほどまとまったものが出てきたら見てみます。
まずは時系列に沿ってグティから。
この2人が語られる時は”ラウールとグティ”であって、その逆であることはあまりなかったと思う。
得点という目に見える形で、素晴らしいキャリアを築きあげてきたラウールと違い、グティは必ずしも個人の記録に残る選手ではないから、それも仕方ないかもしれない。が、彼自身について言えば、そういう評価が当てはまらないことは全てのマドリディスタが知っている。
近くに常にラウールがいたから、グティの評価はその次に語られることが多かったが、彼のプレーは、パスは、今も昔も彼にしか出せないものだった。
奔放な発言もあった。
守備をさぼることもあった。
だけれど、マドリディスタは、そういうところを愚痴りつつも、グティの良いところを見たくて、いつも期待していた。
彼には、やんちゃな所を受け入れさせる、不思議な魅力があった。ベテランとは思えないような彼の性格を含めたプレーを、皆楽しみにしていたと思う。
ピッチの中でも外でも、グティはグティだったし、私も彼のプレーに愚痴ったものだけれど、それを楽しんだし、彼がいたマドリーで良かったと感じている。
そして、ラウール。
”フェラーリ”ことラウールは、素晴らしい得点記録の数々を作ってきた。それが全てこのクラブで達成されたということは、本当に信じられないようなことだし、ファンとして最高に誇らしいことだ。
どんな監督にどんなポジション・役割で起用されても、文句を言わず適応して見せた彼の能力、忍耐力は、選手の鑑だ。
ベテランになるに従って、プレー時間は減っていったし、もっと早く移籍をすることだって考えただろう。それを「ここまで粘った」と言っていいだろうと思う。
クラブへの愛着とプレーへの自信があったからこそ、ギリギリまでマドリーで続ける努力を続けてきたのだろう。
そういうことを表に出さない、寡黙な人柄は、スペインのクラブのカピタンらしくはなかった。けれど、彼の姿を見て、画面からでも感じるものはあった。
彼のプレー、姿勢に、チームは支えられてきた。
10年以上、ラウールとグティはマドリーで戦ってきた。そして、多くのタイトルはこの2人によってもたらされた。
だから、彼らのいないマドリーを想像することは、今は難しい。
けれど、もうあと1カ月で、彼らのいないシーズンは始まる。”終わりは始まり”なんて陳腐なことを言うようだが、彼らの退団によって一つの時代は終わるが、またすぐに新しい時代が始まるのだ。
ひとしきり別れを惜しんだら、次の扉を開けなければならない。彼らもそれを望んでいるだろう。
カピタン2人の退団に感じるものがない選手はいないはず。次にマドリーを引っ張る選手が、新しいシーズンに現れることを期待したい。