レアルマドリードのある生活

レアルマドリードの応援日記。試合中心にお送りします。

CL決勝トーナメント準決勝第1戦 vバイエルン

アウェイで1-2の結果。アウェイゴールは奪ったが・・・というところ。早速簡単に振り返る。

■マドリーの先発メンバー

GK:カシージャス

DF:アルベロア、ペペ、セルヒオ・ラモス、コエントラン

MF:ケディラシャビ・アロンソ;ディマリア、エジルロナウド

FW:ベンゼマ

69分:エジル→マルセロ、80分:ディマリア→グラネロ、84分:ベンゼマイグアイン

コエントランの起用については後述。

バイエルンの先発メンバー

GK:ノイアー

DF:ラーム、ボアテングバドシュトゥバー、アラバ

MF:シュバインシュタイガー、グスタボ;ロッベン、クロース、リベリ

FW:ゴメス

61分:シュバインシュタイガーミュラー

シュバインシュタイガーはコンディションがそれほどよくないとか。注目は両サイドと、そこからのボールに合わせるゴメス。

■コエントランの起用

まず、この点に触れないわけにはいかない。

決勝トーナメントでのアウェイゲーム2試合(CSKA戦、APOEL戦)に、コエントランが先発していることから、戦前の報道でもコエントランの先発は濃厚とされており、実際に90分プレーした。

残りわずかという場面で致命的なミスを犯したのは彼を、こういった重要な試合にピンポイント起用する理由は見当たらないというのが正直なところだ。

より正確に言えば、CL決勝トーナメントのアウェイゲームで最終ラインに一般的に求められるのは、まず守備の安定であり、コエントランがそうした目的に即している選手だとは言えないだろうということだ。

ただ、ssfmさんは次のように書いている。

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彼のミスはいただけないですが、あのミスがあったからコエントランでなくマルセロをスタートすべきだった、とは必ずしも私は思いません。マルセロでスタートしていたらもっと守備面で苦労したかもしれないし、マルセロが同じミスをしていたら上に書いたような理由で同じく叩かれていたでしょう。

ただ、別にコエントランを擁護しているわけでは全くありません。念のため。

どちらがよかったとは簡単に結論出来ないと言っているだけです。

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この考え方は正しい。

つまり、この試合で明らかになったのは、”コエントランが”守備の安定に役立たないという絶対評価であり、マルセロとの相対評価ではないのだ。

とはいえ、ファン心理としては、コエントランがその程度なら、これまでレギュラーとしてプレーしてきたマルセロの方がまだ納得できるということも、触れておきたい。

敢えて変更する理由がプレーに見られない以上、レギュラーメンバーでやられた方が諦めがつくし、ロッベンを1対1で抑えられる選手などそうそういないのだから、それならロナウドとのコンビを期待してマルセロだろうという気持ちもある。

いずれにせよ、コエントランは、彼自身の問題として、課題をクリアできなかった。この事実は、忘れるべきではないだろう。

なぜ、モウリーニョがコエントランを重要な試合で起用するのか、ピッチで答えは見つからなかった。ピッチ外に話題を広げると、理由探しは推測の域を出ないところまで行ってしまうので、今はやめておく。

■サイドを中心に考える

さて、試合。

マドリーは前の4人がぐるぐる動きながらサイドで基点を作ろうとしていた。だが、ベンゼマがいない場合はなかなかうまくいかない。

ロナウドはまずまず収めていたが、ディマリアはいつも通り持ちすぎで、エジルは右サイドで孤立無援になることが多かった。サイドにボールが入ってもフォローを厚くしないくらい、慎重な前半の試合運びだったということだろう。

最近のマドリーは、以前書いたとおり、シャビ・アロンソに必ずボールを預けるという攻めではなくなってきており、その分、センターバックからサイドバック、そしてロナウドやディマリアの位置へというパス回しが増えている。

ロングボールでロナウドやディマリアへ届けるのではなく、ショートパスでいったん預け、そこからサイドを変える展開に変わってきている様子。

これが上手くいくと、逆サイドに広大なスペースが出来ていることになるが、一方で、狭いサイドで今日のディマリアやエジルのように取られたり、サイドチェンジに時間がかかるとディフェンスがスライドしておしまいになる。前半のマドリーはこの悪い部分にはまっており、後半はロングボールが増えたことで、サイドへのボールの展開がスムーズになっていた。

守備もサイドを重視。ロッベンとリベリにボールが入った場合は、そちらのサイドのピボーテがかなり開いて助けに行っていた。空いた中央を使うのはクロースやシュバインシュタイガーだったが、後者は今ひとつで助かっている。

問題は出て行った後にどれだけ帰ってこられるか、というところで、これが疎かになると、バイエルンの両サイドに好き放題にプレーさせることになる。

その点、ディマリアはさすがに良く走って戻っていた。ただ、それ以外の選手が置いていかれることはしばしば。現実問題として、それも織り込み済みとするほかないだろうが、守備にズレを生じるのは確か。サイドでのやりあいを考えると辛い。

高い位置から追い回すことはそれほどせず。

たまにベンゼマがボールに詰めることはあったが、個人の動きと言っていいだろう。両サイドにボールが入れられると厄介な状況になるのは今更言うまでもないのだが、何としてでもその前でという雰囲気はなく。

ただ、カウンターを受けそうなときは、カードも覚悟して潰しに行っていた。

互いに緊迫感ある攻守のバランスの中で、自分たちは上手く行かないけれども、バイエルンにも決定的なことをさせない時間を過ごしていただけに、セットプレーで失点したことは悔やまれる。

■1-1以降

マドリーは前述の通り、サイドへのロングボールを増やすことで広範に修正。ポジションチェンジをするのではなく、両サイドにきちんと人がいることを意識し、運動量が落ち始めたバイエルンに対しサイドで良い攻撃をできるようになった。

バイエルンは前半頑張った分、後半はプレッシャーが少しずつ弱まっていった。それはつまり、マドリーのパスの出し手に時間的余裕が出来てきたということ。

運動量で勝るマドリーは、カウンターからエジルがゴールし同点に。セットプレーの失点を乗り越えて、望みうるスコアとすることに成功した。

この後、終盤に向かって走り勝つ展開が理想だったのだが、そこまで踏み切れなかったといったところ。

モウリーニョは、マルセロを入れてサイドと速い攻めを活性化させることを意図したが、その一方でそういう展開が大好きなディマリアを下げてグラネロも入れた。これは明らかにコントロールを意図したものであり、支配率を上げる方向にシフトするもの。

最後はイグアインを出したが、2点目を取りに行くと、明確に打ち出せなかった。

攻めきってしまいたいなら、グラネロよりカカだったし、守りきるならアルビオルを入れて、セルヒオ・ラモス右、アルベロア左という方法もあった。

1-1として、ある程度スペースが出来てきたタイミングでマルセロの投入は、賭けとは言わない程度に攻撃に出る姿勢を出しており、モウリーニョには行ける手ごたえがあったはず。そこで一旦おとなしい方向に落ち着いてしまったのは残念。

2失点目はサイドでやられたコエントランが酷かったが、しっかり中へ入り込んだゴメスはさすが。

クロスに対して何度か飛び込んだものの、カシージャスの正面をつくシュートが続いていたが、最後に自分の仕事をした。

■もろもろ

1-2は、許容範囲の結果と見るべき。

だが、何も出来ない時間帯が、特に前半に多かったことに不安は残る。サイドを有効に生かす術を速めに見つけることが大事。ベルナベウでは、もう少し速い攻めにシフトするだろうか。

週末はいよいよバルセロナ戦。勝ち点に余裕はあるが、試合に向けての状況は厳しいと言わざるを得ないだろう。前線の戻りが悪い点、悪い時間帯を凌ぐ術が備わっていない点は特に気になる。

これまでの一発狙いのやり方では、15~20分が良いところ。バルセロナが慣れてしまえば続かない。

慣れていない特別なやり方を採るのではなく、今までやってきたことの継続性に自身を持つべきだ。