レアルマドリードのある生活

レアルマドリードの応援日記。試合中心にお送りします。

CL準々決勝第1戦 vガラタサライ

大分遅れてしまったので、簡単に振り返っておく。

■マドリーの先発メンバー

GK:ディエゴ・ロペス

DF:エッシェン、バラン、セルヒオ・ラモス、コエントラン

MF:ケディラシャビ・アロンソ;ディマリア、エジルロナウド

FW:ベンゼマ

エッシェンの先発起用以外は驚きはない。バランは間に合って、先発に復帰した。

65分:ベンゼマイグアイン、80分:エジルモドリッチ、86分:ディマリア→ペペ

ガラタサライの先発メンバー

GK:ムスレラ

DF:エブエ、セミフ・カヤ、ヌンク、リエラ

MF:アルティントップフェリペ・メロ、セルチュク・イナン;スナイデル

FW:ドログバ、イルマズ

46分:スナイデル→ギョクハン・ザン、78分:アルティントップ→ブルト、83分:リエラ→アムラバト

懐かしいというと語弊があるが、各国のリーグで活躍してきた選手たちがたくさん。そうした選手とトルコ代表クラスの選手が中心のチーム。

■両チームのマッチアップ

ガラタサライは2トップの下にスナイデルを置き、その背後を3人でカバーするような形だった。スナイデルは自由に動き、3トップのようになる時もしばしば。

アルティントップフェリペ・メロ、イナンの3人のうち、アルティントップ、イナンは攻撃時にはサイドに張り出してプレーもするが、基本的には中央に寄ってプレーする。

国内ではボールを持ったプレーを志向しているようで、CLでもそのスタイルは変えていないようだった。

マドリーはいつもの4-2-3-1で、週末に休みを取ったシャビ・アロンソも問題なくピッチに立っていた。右サイドバックエッシェンを起用したことは驚きだったが、それ以外はお馴染みのメンバーで、攻め方もマドリディスタにとってはいつもの形。

大まかにはこうした状況の両チームで、マドリーにとってのアドバンテージが2つできた。

1つ目は、ガラタサライがボールを捨てなかったこと。

ガラタサライはあからさまにボールをマドリーに渡すという印象ではなく、比較的時間をかけて攻撃を作ろうとしてくれたことで、奪われた後の守備に余裕があった。

後述の通り、しっかりセットした後の高い位置からのプレスはそれほど効果的にはならなかったが、奪われた直後の局面での守備は機能しており、また、ガラタサライがボールを回してくれるので、守備陣形を整える時間もあった。

CL準々決勝ともなれば守備の集中力は普段より高く、ロナウドも低い位置に戻ることもあったのだが、それでもアウェイゴールのリスクを低くすることができるだけの時間を与えてもらえたことは、非常に大きかった。

マドリーにとって問題となるのは、高さと強さのある2トップにどんどん放り込まれ、スナイデルがシャドーのように振舞われることだったはず。

セルヒオ・ラモスとバランもそうそう負けはしなかっただろうが、うまく収まってしまうと厳しい状態になっていただろう。1度成功すれば良いガラタサライが、こうした形に賭けてこられる方が不安。それをできるだけの2トップ、そしてスナイデルがいるにもかかわらず、ボールを持つスタイルに殉じる選択をしてくれたことは幸運だった。

2つ目は、サイドで余裕があったこと。

ガラタサライのサイドの守備は、サイドバックとそのサイドの”3”の1人、たまに2トップの1人も下がるという感じで、サイドバックの負担が大きい形だった。

中盤の寄せは確かにあったのだが、そのずれが大きく、サイドを基点としてボールを動かすことはかなり簡単だった。

大きなサイドチェンジを多用するような形は取らず、この優位性を生かした攻めを多くすることはなかったが、サイドで余裕があったことで、マドリーは少なくとも落ち着いて攻撃の糸口を探すことはできていた。

■先制に成功

先制は9分。

シャビ・アロンソの縦パスが入り、ベンゼマからエジルエジルのスルーパスを受けたロナウドが左足でのループで落ち着いて決めた。

シャビ・アロンソのマークが甘くなったところで良い楔が入り、ガラタサライが守備を整える間もなくフィニッシュに至った、マドリーらしい得点。

早い時間に先制できたことで、マドリーが陥りがちな攻めあぐねで不安定な状態になることなく、ボールを持っても落ち着いてプレーできるようになった。

また、ガラタサライがロングボールを多用しなかったこともあって、マドリーにとってはやりやすい展開に。

奪ってからの速い攻めで、何度も良い場面を作っていった。

ただ、悪い意味でいつも通りだったのがディマリア。

サイドでボールを持てるのは上に書いたとおりで、ディマリアもボールを持つ機会が多く、ドリブルできるだけのスペースもあることが多かったのだが、プレーの選択が悪かった。

一度他の選手に預ければ決定的な場面になるところを、直接ラストパスを出してしまったり、ルックアップできていないためにドリブルで突っ掛けてしまったり。

この試合に始まったことではなく、これまで何度もこうしたことは書いてきたので、目新しいことではないが、非常にもったいない。

また、切り返してのクロスが多いのも相変わらずで、攻撃面で違いを作れたとは言い難い内容。

もちろん、ディマリアを使う一番の意味はそこではなく、運動量と守備面での貢献にあるのだが、少しでも改善してくれるとサイドのバランスは良くなるので、今後に期待しておく。

先制以後も、ロナウドはかなり楽にプレーできていた印象。エブエとのマッチアップでは完全に優位に立っており、カットインする形でも、ガラタサライの守備が曖昧なことが多く、人はいても入り込んでいくことができていた。

2点目はエッシェンのクロスから。サイドバックではなかなか難しい時間をすごすことが多いエッシェンは、この試合でも素晴らしい出来というわけではなく、ディマリアがボールを持ちたがることもあって、オーバーラップも報われないことが多かったのだが、この場面ではあまり警戒されない状態から良いボールを供給。

左サイドから入ってきたロナウドが前に飛び込んだ分、後ろのベンゼマがフリーに。落ち着いて隅に流し込んで2-0。

以降、前半は非常に落ち着いた試合運びで時間を進めた。

危なかったのはドログバがエリアすぐ外でバランをかわし、ターンしてシュートを放った場面と、エブエが中に入ってきた場面くらい。

1つ目の場面は、バランが前でパスカットしようとしてドログバに入れ替わられたもので、ちょっと軽い守備だった。とはいえ、全体としてみれば、バランはいつもの通り落ち着いて守備をできていたと言っていいだろう。ドログバにゴール前で仕事をさせたのも、このプレーくらいだった。

■停滞した後半

後半、ガラタサライスナイデルを下げ、3バックに変更。3-5-2の形となった。

ガラタサライにとってこの変更が良くあることなのかはわからないが、守備はぐっと良くなった。サイドはウイングバックと3バックの1枚が見るようになって、バランスが崩れることはなくなり、中央もスペースができることは少なくなった。

一方で、2トップはちょっと孤立気味に。

前半のスナイデルが効果的に前と後ろを取り持つことをしていたわけではなかったが、中盤が2トップと絡める機会は減り、守備と引き換えに攻撃の良さを失ってしまったような格好に。

ロングボールに頼れば、もう少し違った展開があったかもしれないが、ガラタサライは自分たちのスタイルに殉じた。マドリーとしては、そのおかげで大いに助かったのが正直なところ。

マドリーも後半はリスクを避け、無理をしなくなったことで、試合は停滞。カウンターの姿勢は時折見せるものの、下手な奪われ方は避けていた印象。

そんな中、裏狙いで輝くイグアインが登場。セットプレーで得点を挙げることに成功した。

守備面では、危ない位置のセットプレーも何度かあったものの、セットプレーでの大きなピンチはあまりなく一安心。

3-0という非常に大きなアドバンテージを得たマドリー。最後はディマリアに替えてペペを投入し、石橋を叩いて渡る慎重さでアウェイゴールのリスクを避け、このまま試合終了。

後半は停滞してしまい、試合としては、このラウンドのわりに見所が多くない展開とはなってしまったが、アウェイゴールなしの3-0での勝利という結果は満点。

シャビ・アロンソセルヒオ・ラモスが警告を受け、第2戦に出場停止となっても、消化と考えられる余裕を持って試合を終えることができた。

何度も書いたように、ガラタサライドログバを主とした高さに頼ることなく、自分たちのやり方を貫いてくれたことで、マドリーはやりやすくなった。

第2戦も同じ展開となれば、慣れないトルコでの試合も対処しやすくなるが、果たしてどうなるだろうか。

■次へむけて

CLは、リーガを挟んで直ぐに次のミッドウィークにやってくる。他の国にはない雰囲気のトルコのスタジアムに飲まれることなく、リードを生かしてプレーしてくれれば、準決勝は非常に近いところにあると言える。

これほどやりやすい相手は今後いないだろうから、ボールを持った時にどうするかや、カウンターの精度といった点の改善を、少しでも図って頂点を目指してもらいたい。