イスコの古巣、マラガをベルナベウに迎えた第9節。マラガの監督はシュスターで、何かと関係があるクラブ。
■マドリーの先発メンバー
GK:ディエゴ・ロペス
DF:カルバハル、ペペ、セルヒオ・ラモス、マルセロ
MF:ケディラ、イジャラメンディ;ディマリア、イスコ、ロナウド
FW:モラタ
72分:イスコ→モドリッチ、76分:モラタ→ベイル、81分:ディマリア→ヘセ
ピボーテはケディラとイジャラメンディ。右サイドバックはカルバハルで9番はモラタ。そういう意図ではないだろうがスペイン人が多めの先発メンバーとなった。
■マラガの先発メンバー
GK:カバジェロ
DF:ヘスス・ガメス、セルヒオ・サンチェス、ウェリグトン、アントゥネス
MF:ティッソーネ、カマーチョ;サムエル、ポルティージョ、エリゼウ
FW:エル・ハムダウィ
70分:サムエル→ボブレイ・アンデルソン、77分:アントゥネス→ダルデール、ポルティージョ→サンタクルス
シュスター率いるマラガ。監督が替わり、攻撃の中心イスコがマドリーに移籍ということで、こちらも新しくチームを作っているところ。
■中途半端
マドリーは序盤から優位に立つ。
ロナウドのシュートがバーに当たった場面をはじめ、早い時間帯からシュートまで辿りつけていた。これは、最近のスロースタートから見れば大きな進歩。
こうした展開になったのには、マラガに助けられた面も大きい。ここ数試合、マドリーは序盤の出来の悪さが目立ち、相手チームは立ち上がりに何か起こすべくハイプレスをかけて勝負に出ることが多かったのだが、この試合でのマラガはあまり積極的には出てこなかった。
もちろん、低い位置でブロックを作って守るのもマドリーに対しては有効なのだが、マラガがまずかったのは、そうして奪ったボールをなかなか前に運べなかったこと。奪った後の切り替えでマドリーを上回れず、クリア気味のボールしか蹴れないことが多かった。
マドリーが全面的に良かったと言うより、マラガのやり方がうまくいかなかったことで、マドリーが上回って見えたという印象。
こうした展開で気をつけなければならないのはボールの奪われ方。
今のマドリーのやり方では、ピボーテのどちらかか二人ともがサイドに出たり高い位置に進出したりすることが多いのだが、そのタイミングでボールを奪われると、最終ラインが完全に晒された状態でカウンターに対処しなければならなくなる。
この試合でも何度かそうした場面があったものの、マラガのミスに助けられ、危ないところまで持ち込まれることはあまりなかったのだが、CLのようなレベルでは致命傷になる。
そうなることを防ぐ手段は2通り。
1つは、ピボーテのどちらかか両方がポジションを常に維持し、バランスを崩さないようにしておく方法。
もう1つは、バランスを崩して攻めにかかった時にボールを奪われないようにする方法。
後者は当然のことを言っているようだが、ポゼッションでの攻めを考えている今のマドリーがまず選択すべきはこの道だろう。
ピボーテがポジションを維持すると、前線の選手のパスコースが限られてしまい、相手を押し込んで崩す形を作りづらい。近くに寄ってパスコースを作りながらの攻撃を志向する今、ピボーテが良いタイミングで前線と絡んでいくことは不可欠だ。
この試合でも、ケディラは遠く右サイドに頻繁に顔を出していたが、こうしたタイミングでは、仕掛けるかどうかの判断をきちんとしていかなければならない。仕掛ける場合は、奪われるリスクばかり負うことになるので、当然相応のスキルも求められる。
さらに言えば、そもそも高い位置に進出するかどうかもしっかりした判断がなければならず、いつでもポジションを外れて出て行っていい訳ではない。
そう考えると、特段スキルが高いわけではないケディラがポジションを外れてプレーすることが多い現状は、あまり良いものではないと言えるだろう。
技術よりも運動量で勝負するタイプの彼は狭い局面でアイデアを出せない。出て行って下げるだけでは、運動量を割いてバランスを崩したわりにリターンが少ないので、もったいない状態になるし、奪われるリスクが高まることになる。
昨シーズンくらいから、こうしたプレーをするようになったケディラだが、それならばもっと技術の高い選手にやらせるべきだろう。
リスクを減らす選択をし、守備に専念させることも1つの方法だが、それならば守備能力に特化し、攻撃面で欲張らない選手を置いた方が良いだろう。また、ケディラ自身がそうした役割を望んでいないようにも見えることも気になるところ。
守備に不安が残るのでケディラを起用しているのだが、攻撃面での課題から高い位置に出て行くことを認めているという矛盾を抱えている状態で、今は非常に中途半端な形になっている。
攻守のどちらかに特化した選手の組み合わせにしていく方が、今よりはバランスが取りやすくなるだろう。現有戦力で言えば、モドリッチを攻撃、ケディラかカゼミロを守備といった形が考えられる。
今のままではぼんやりとしすぎていて、どこかで大きな痛手を負うことになりそうだ。
■CL、バルセロナ戦へ
カバジェロが素晴らしいプレーを見せ、マドリーのゴールはディマリアのクロスが入ったラッキーゴールと終盤のベイルが得たPKのみ。
ただ、ゴール前での失敗を数えるより、ゴールチャンスの数を作れていたことを評価する方が良い。
崩してシュートまで持っていくこともなかなか出来ないような試合が続いていたので、相手の問題があったとはいえ、今後に向けて良い材料を得た試合だった。
ユベントス、バルセロナとの連戦は、今のマドリーの出来をはっきりと見る良い機会。
勝ちを狙うのはもちろんだが、強いチームを相手に良い点も悪い点も明らかにして、今後のシーズンに生かしていきたい。