連勝のマドリーに対し、2連続引き分けと難しいスタートのユベントスとの対戦。
■マドリーの先発メンバー
GK:カシージャス
67分:ベンゼマ→ベイル、72分:イジャラメンディ→イスコ、80分:ディマリア→モラタ
トリボーテ。イジャラメンディが底に入り、ケディラ、モドリッチが前。右サイドバックはアルベロア。
■ユベントスの先発メンバー
GK:ブッフォン
50分:ジョレンテ→ボヌッチ、59分:ピルロ→アサモア、69分:オグボンナ→ジョビンコ
4バック。中盤の3人が素晴らしく、前線もボールを収められる選手達。
■ユベントスの時間を乗り越えて
アンチェロッティが前日会見で話していたように、マドリーはトリボーテではあったけれど特別変わった何かをしていたわけではなかった。ピルロのところをベンゼマがかなりケアしていたけれど、全体としてはいつも通りのやり方。
それで5分のうちに先制できたのは大きかった。ディマリアがドリブルで中に入ってきて、ラインと入れ違う形で裏を取ったロナウドにスルーパス。ロナウドはブッフォンをかわし、角度がないところから落ち着いて決めた。
ディマリアの得意の形。かなり対応されやすいプレーなのだが、大きな試合でぴたりと合った。
早々と先制して、落ち着いてボールを持っていきたいところだったが、このまま勝ち点を積み上げられないとグループステージ突破が怪しくなるユベントスが落ち着いてペースを取り戻し、マドリーは対応に追われることになった。
最初に書いたようにピルロのところは頑張って見ていたので、彼が基点となって何度もやられることはなかったのだが、テベスとジョレンテがボールを収められるので、奪ってから速攻に出て彼らにボールを入れる展開で危ない形があった。
また、サイドを変えられた時に中盤のスライドが追いつかず、時間とスペースを与えてしまう場面が何度も。トリボーテではしかたのないところもあるのだが、その形から良いクロスを入れられて対応に苦慮していた。ユベントスはクロスに合わせて入っていく形が良く、毎回ひやひや。
10分頃から25分くらいまではユベントスがこうしたプレーで良い形をどんどん作っていた。マドリーはリードしていることを忘れたかのような内容で、ボールをきちんと持つこともできない状態だった。
同点ゴールは22分。
ファーでクロスにフリーであわせたポグバのシュートのこぼれ球をジョレンテが押し込んだ形。ユベントスとしては狙い通りの形だった。
悪い時間が続いて失点もしたことでマドリーは苦しむかと思われたが、27分、フリーキックの場面でセルヒオ・ラモスがキエッリーニに引き倒され、PK。
ロナウドがいつも通り向かって左に蹴り、相変わらず素晴らしいコースに決めて2-1。
勝ち越し以降の問題点は相変わらずで、モドリッチやケディラがポジションを離れて攻めにかかった時の奪われ方と攻守の切り替え。
リードしているので低い位置でリスクを負う必要はないし、攻めに出るかどうかは慎重であって良いのだが、まだうまくできていないことがあり、危ない場面に発展しそうで怖いところがあった。
それでも、失点には至らず、前半は2-1のまま終了。
■数的優位でだれる
後半開始早々、48分にキエッリーニが併走するロナウドに肘を出したとして一発退場。
ユベントスとしては第4節にまで響くアンラッキーな判定。手が先に出てしまったこと、顔付近に入ってしまったことが印象を悪くしただろうが、厳しい判定だった。
マドリーはこれで完全に優位に立った。
とはいえ、最近の不安定な守備を考えれば3点目を取って試合を決めてしまいたかったところ。その意味でベンゼマが67分の決定機を”またも”外したのは非常に残念。
ピルロを見て、ボールも割と収めて良い落としもしていたベンゼマだが、フォワードとしてはこれを決められないようではどうしようもない。ケディラのタイミングのいいオーバーラップと、それをディマリアがうまく使った良い形だったのだが。
10人になって中盤で保護しきれなくなったピルロを下げ、運動量のあるアサモアを入れ、最後に勝負に出てジョビンコ投入という論理的な選手交代。
ピルロは下がったものの、ビダルも良いフィードを供給できるので、テベスを狙った一発のパスの可能性は十分。
ジョビンコも1人でエリアまで持ち込んであと少しでシュートという場面を作っていた。
マドリーはベンゼマをベイル、イジャラメンディをイスコ、ディマリアをモラタと替えた。疲れた選手を下げてシステムをいじりつつ入れ替え。バルセロナ戦も見据えた交代のように見受けられた。
それならば、3点目を狙うのか、試合を終わらせるのか、終盤の意思統一も図っておきたかった。70分過ぎからは特にだれてきていたのに、点をとりたいようなプレーをする選手もいて、完成度はまだまだ。
そんな中でジョビンコに決められるようなことがあっては目も当てられない。
結果的には得点も失点もなく、2-1のまま試合終了。
終盤を考えれば、返す返すもベンゼマのゴールで2点差にしておきたかった。そうすればベイルやモラタといった選手にもっとやりたいことをやらせることができたのだが、1点差で窮屈な展開になってしまった。
とはいえ、グループステージの重要な試合で勝利したことは喜びたい。
一番のライバルであるユベントスとの勝ち点差は7となった。これで余裕を持ってアウェイでの試合に臨むことができるだろう。
■週末に向けて
週末に向けては、中2日なのでまずはコンディションの回復が必要。特にディマリアはかなり頑張っていたし、現状のベイルでは不安なのでしっかり調整してもらいたいところ。
普通にいけば結果を出すのは難しいだろうが、今の時点でできることを示してもらいたい。そのためには、この試合で見られたチームのぶれは厳禁。
チームとしていい形を作り、90分を戦ってもらいたい。