レアルマドリードのある生活

レアルマドリードの応援日記。試合中心にお送りします。

コバチッチと契約

マドリーはインテルに所属していたコバチッチの移籍について合意したことを公式サイトを通じて発表した。

コバチッチは今日既にマドリーでメディカルチェックとパルコでのお披露目を済ませている。

移籍金は3000万ユーロ程度、年俸は300万ユーロと報じられており、マドリーとコバチッチは6年契約を結んだ。

契約が発表された後のサンチャゴ・ベルナベウ杯の記者会見で、ベニテス監督は彼について次のように述べている。

「彼は質の高いプレーヤーだ。昨シーズンチームはモドリッチが負傷した時に苦しんだね。コバチッチはディフェンシブなミッドフィールダーではないし、ボールを奪うプレーヤーでもないけれど、彼には高い質があり、より高いレベルでプレーしようとする。ダイナミックでパスがうまく、責任を持つことを恐れていない。」

モドリッチが負傷した時に中盤でボールを運べず、攻撃が停滞した昨シーズンのことを引き合いに出していることから、2列目ではなく、その後ろで起用するつもりであることが分かる。

そのポジションには既にモドリッチ、クロース、カゼミロがいるし、モドリッチと同じ役割を担ってもらうつもりならば、当然先発ではなく控えからのスタートとなる。

控えに3000万ユーロの移籍金は高いと言う人もいるだろう。将来を嘱望されてきたプレーヤーであることは間違いないが、マドリーで問題なくやれるレベルにはもう一歩二歩必要なのは確かだ。

だが、クロアチアの先輩であるモドリッチも30歳代に入り、そろそろ将来を考えなければならない時期になってきている。モドリッチの中盤でのいなしとパス捌きは唯一無二で、同じことができるプレーヤーはそうそういるものではないが、スタイルは違っても彼のように中盤と前線を繋ぎ、ボールを運ぶことのできるプレーヤーはチームに置いておきたいもの。

コバチッチとの契約は、長期的にはモドリッチからの世代交代をにらんだものとも言える。もしうまくいけば、3000万ユーロは良い先行投資になったと振り返ることができるだろう。

大きなポイントは、より低い位置でのプレーに適応できるかどうか。

本来トップ下であるプレーヤーのポジションを下げるコンバートは、最近のマドリーのトレンドで、アンチェロッティ期には、ディマリア、クロース、イスコを本来のポジションより低い位置でプレーさせ、それぞれ元の持ち味を生かしながら新たなポジションに順応させた。中でも、元来の運動量を攻守両面に発揮したディマリアは、こうしたコンバートで最も成功したプレーヤーだ。

しかし、守備の不安はどうしても出てくる。これは最終ラインの前でプレーすることが多いクロースが苦労した点で、最低限のことをやるにしても、トップ下とはまったくレベルが違う判断の早さと激しさが求められる。時にはカード覚悟で止めるようなプレーをしなければならない。そうしたことをスムーズにこなせるようになるには、どうしても時間がかかるし、人によってはいつまでも習得できないかもしれないものだ。

ベニテスが言うように、コバチッチは守備的なプレーヤーではない。

アンチェロッティがペレス会長の連れてきたプレーヤーを変身させたように、コバチッチをより高いレベルのプレーヤーへと変え、成功例を増やすことができるかどうかは、ベニテスの手腕にかかっている。