レアルマドリードのある生活

レアルマドリードの応援日記。試合中心にお送りします。

モラタを買い戻すべきか。フォワード補強はマドリーの試金石に

事前の予告もなくしばらくお休みさせていただいておりましたが、そろそろ落ち着いてきたので、再開させていただこうと思います。

セビージャ戦は結果的には快勝し、インターナショナルマッチの週末となったので、今回はリハビリがてら表題の通りモラタの買い戻し、フォワードの補強について現時点で思うところをまとめておこういう次第です。

さて、フォワードの補強の必要性については、ことあるごとに触れてきたつもり。

理由は単純で、頭数が足りないから。ベンゼマのみという陣容はあまりにも不安が大きい。ロナウドやベイル、イスコといった面々も9番の位置に入ることは出来るが、皆帯びに短したすきに長し。特にロナウドとベイルでは攻撃が機能不全になることが何度も確認されており、彼らの存在をもって「非常時でも何とかなる」とは言いがたい。

マドリーのようなクラブが、ベンゼマを欠けばたちまち困難に陥るような状況を続けていることは信じがたいことだ。長いシーズンを戦う上で、自ら制約を課すようなことはすべきではない。

とはいえ、フォワードなら誰でもいいかというと、もちろんそうではない。

現状においては、2列目とうまく絡んで彼らを生かすことのできるプレーヤーが求められている。その上で優秀なフィニッシャーであれば尚良いといったところ。逆に言えば、フィニッシャーとしては優れていても、「決めるだけ」というプレーヤーでは難しい。例えばロナウドは、ゴール前で仕事はできるがポストプレーの点で難があるし、中盤との距離も離れがちになる。そうしたタイプだとなかなか効果的な攻撃になってこないのだ。

そうした意味で、チチャリートは付け焼刃的な獲得だった(CLアトレティコ戦でのゴールは忘れがたいものではあるが)といわざるを得ないし、商業主義的な中盤の補強にかまけ、ベンゼマに完全に依存する形で数シーズンに渡りフォワードの陣容の解決を回避して来たことは明らか。いい加減手をつけて欲しいというのが率直なところだ。

では、実際にはどういったプレーヤーを求めるべきだろうか。

少し前であれば、ベンゼマに取って代われるプレーヤーが必要だった。当時のベンゼマはうまさはあるがゴール前で消極的で怖さがなく、ポストプレーができ、かつ得点も期待できるレバンドフスキのようなプレーヤーに置き換えた方が良いだろうというのが専らの意見だった。

だが今は違う。ベンゼマは周囲を生かすプレーとともにゴールを期待できるようになり、かつてのように上位交換となるプレーヤーを探すことはより困難になった。ベンゼマと入れ替えるならば世界トップクラスの数人から選ばざるを得なくなり、予算的にはもちろん、実現可能性という点でもそうした契約は考えにくくなっている。

そうなると、安価にはなっても経験がありチームへの貢献が期待できるベテランか、完成はしていないがこれからに期待できるより若いプレーヤーかの選択になるが、マドリーは伝統的に前者の獲得を好まず、「拾いものが大当たりだった」という可能性に賭けることを良しとしない雰囲気があるのが実情。獲得しても数合わせのようなものになりがちで、効果的に経験を生かせていない。

振り返ると、市場に出たベテランをうまく活用できたかもしれないと思うことはあるが、どうしてもそういう方向には進んでいかないようである。

そこで買い戻しオプションのあるまだ若いモラタを3000万ユーロで連れ帰ってくる、というのは、マドリーにとって良いアイデアのように思える。

以前は頼りなかったがユベントスで精神的に強くなったように見受けられ、今後まだまだ伸びると思われるプレーヤーだし、カンテラーノであることからチームへの献身は当初から期待できる。良くも悪くも彼がエゴイスティックに振舞うことは想像しづらく、周囲とうまく絡んでいこうとしそうである。

問題は、彼がチーム内でどういう立場になるかということ。

彼のようなプレーヤーをチームに加えるからには、今後を見据え継続的に出場させていく必要がある。緩やかな世代交代を目指せるのならば、モラタも納得できる出場機会が与えられるだろうし、長く計算できる契約となりうるだろう。

逆に、ベンゼマの酷使が否応なく続くのであれば、誰を獲得しようと状況は変わらない。モラタが帰って来ても、3000万ユーロのコパ要員となるだけの話だろう。それは余りにも馬鹿げた話だ。クラブにとってもモラタにとっても利がない。

結局のところ、ベンゼマ依存から脱却する決意がなければ、いつまでも手薄な前線で戦う羽目になることを意味する。

ベンゼマ依存からの脱却」は、かつてのようにベンゼマの上位交換を目指すという意味ではなくなったものの、ベンゼマなしでもチームのスタイルとレベルを維持するという点は変わらない。それがなければ、どれだけ良いプレーヤーを当てはめようとフォワードの問題は解決しない。

モラタの買い戻しは良いアイデアだし、その可能性を残しておいた当時の移籍契約は周到なものと言えるが、その分、マドリーが彼の能力と今後の可能性を信じ、チームに組み込んで生かす気があるかどうかが問われている。

つまり、ペレス会長のマドリーが最も不得手な、長期的な視野を持った契約をできるかどうかが、フォワード問題の解決の一番の鍵になるということだ。

もちろん、個人的にはそろそろそういう手を打つところを見たいと思っているが、そうした変化は見られるだろうか。