マドリーのGKの補強に関する話題は、獲得間近での「FAX故障事件」の後もデヘアが中心だった。アトレティコ出身ではあるものの、スペインからの興味は確かに彼を移籍に傾かせていたようである。
しかし、マンチェスターU.が一時の低迷を脱しCLに復帰してきたことで、プレーする環境としては問題なくなったことや、クラブとしても強気に出られるようになったことで想定される移籍金額も当時から高騰したこともあって、移籍の可能性は急速に低下した。
クラブの話題の少なくなる代表戦期間中は先々の移籍について、あることないこと書きたてられるものだが、最近はデヘアについての記事がかなり少なくなってきている。
そのことから、マドリー内部から彼の移籍可能性に関する話自体が出てこなくなってきていることが推測され、また、報道を通して反応を見るようなことも必要なくなってきているのだろうと考えられる。
一方で話題に上るようになったのが、アスレティックのケパだ。
デヘアより4歳若い23歳で、昨シーズンからアスレティックの正GKを務めており、先日のコスタリカ戦でA代表デビューも果たしている。
Kepa Arrizabalaga - Player Profile 17/18 | Transfermarkt
費用のかさむトッププレーヤーと契約するのではなく、若い世代と契約するようになっているのが最近のマドリーのトレンド。しかもスペイン国籍なので、ケパはその方針に良く合致している。
少し前のイスコ、アセンシオ、バジェホや今年の夏のセバージョスがこうした移籍の類例で、スペイン国籍ではないが、ビニシウス、テオも本格的に完成する前に契約したプレーヤーで、こうした前例が、ケパとの契約の信憑性を高めている。
実際、移籍は現実味を増しているようだ。
次のオフに契約満了となるため、今冬からボスマン移籍に向けた他クラブとの交渉が可能となるケパに対し、アスレティックは契約延長の交渉を行っているが、MARCAによれば、アスレティックは当初契約解除金1億ユーロで交渉を始めたものの、4000万ユーロで決着しそうとのことである。
年俸や契約年数はともかく、契約解除金の設定を下げる交渉がなされたということは、プレーヤー側が近い将来の移籍を見据えていることを意味するし、クラブもその希望を認知することになる。
契約延長自体は合意しそうとのことなので、アスレティックとしてはボスマン移籍は避けつつ、夏に移籍してしまう場合でも一定程度の契約解除金を得るで手を打つという選択をしそうだということだろう。
マドリーとしても、テオやセバージョスのケースでも見られたように、完全に敵対的な移籍となることは避ける意図があり、無理にボスマン移籍を目指すことはなく、契約解除金にも多少色をつけて支払う意思があるようだ。
4000万ユーロと若干の上乗せということなら、金額的な目安は付けやすく、また、ビニシウスも同程度の移籍金と報じられていたので、GKであるケパの実績や将来性を考えれば妥当な金額とも考えられる。
今年中にアスレティックとケパの契約延長交渉は決着するので、マドリーの動きはその後となる。
フロントとしてスペイン代表をゴール前に置きたいという考えはあるにしても、ナバスのプレーに波があることも事実で、高いレベルで安定したGKの確保は課題ではあった。
ケパとの契約が良い解決策となってくれるとありがたい。