今更ながらチェルシー戦。
第2戦に向けてポイントをいくつか確認しておきたい。
両者の考え方
マドリーは、ボールを失ったらできるだけ早く取り返すプレスの実行を選択。
クロースをピボーテに置いていたことも併せて考えると、下がってブロックを作るやり方は考えていなかったということになる。
一方のチェルシー。
冬に大補強を敢行したがマドリーの比ではないくらい国内で苦しんでいるよう。監督もランパードに代わったばかりである。
現状の力量差を考えてか、ボールの保持は諦めて2トップをカウンターに走らせる選択をした。
マドリーの即奪回がうまくいけば攻撃継続、その守備を剥がせるとチェルシーにカウンターのチャンスが訪れることに。
このように、両者の考え方がうまくかみ合った格好で試合が進んだ。
マドリーの側から見ると、想定よりもずっと強度が高い守備を前線でできていた。チェルシーが組織立ってボールを運ぶ形をほとんど作らせず。
チェルシーが一番良かったのは、前半早々のジョアン・フェリックスの抜け出しと、先制点直後のスターリングのシュート。
前者はアラバが粘っていい対応をし、後者はクルトワが立ちはだかった。最後は個人能力で何とかできる守備陣の長所も出て、狙い通りの試合展開になった。
ラテラル問題
少し前までは「しっかりブロックで受けとめて、ビニシウスに走ってもらおう」という形でやっていたマドリー。
しかし、アラバ、メンディといった主力が負傷でほとんど計算できない期間が長く、国内でのバルセロナに対しての力負けもあって、既存の形がうまくいかなくなっていた。
リーグでこうした戦いをキープするのは難しいが、トーナメントでならとんでもなく高い出力を期待できるマドリーらしいクラブ風土もあって、コパデルレイのバルセロナ戦、そしてこのチェルシー戦と、攻撃的な姿勢で結果を出したのだった。
注目したいのはラテラル。
ラテラルがしっかりしていないと、守備は当然のことながら、プレスをいなすパスワークもエストレーモを助ける走りもない。攻守において重要なポジションとなっている。
そこで問題となるのは、常時ハイレベルではなくなってきたカルバハルと、今シーズンはほぼ計算できなくなったメンディをどうするか、という点だ。
カルバハルについては、チェルシー戦を見る限りまだやれそう。
ただ、シーズンを振り返ると毎週末は厳しいと思われ、信頼できるサブがいればよい。
守備以外ではボールを持てる能力が特に重要で、それがないとオドリオソラの二の舞になってしまう。
いい角度でパスを受ける技術とパスを出す技術があるプレーヤーがいるなら、市場に出て行っても良いように思われる。
メンディの場合、同様の事情からカマビンガにポジションを奪われた。
メンディのパス能力は守備の対人プレーのレベルの高さと引き換えにしていたが、パスがうまいカマビンガがラテラルでもそこまで悪くないことが判明。
カマビンガからメンディに戻す積極的な理由がなくなってしまっている。
来シーズンに向けてもフラン・ガルシアの帰還が決定しており、左は攻撃的なスタイルに順応できる戦力を揃えることができそう。
これなら、シーズンを通していろいろやれそうな期待が持てる。
チェルシー戦に話を戻すと、一発勝負にしっかり合わせてきたカルバハルが良いパフォーマンスをしてくれたことで、両翼ともに穴のないプレーとなった。
トーナメントではこのレベルの維持をお願いしたいところだ。
対照的だったロドリゴとアセンシオ
ただ、チェルシーのように中央を固めている相手だと、曲芸のようにタイミングが合わないと成功は望めない。
配置的にクロスがないこともばれている状況で狭いところに突っ込んでいくしかないので、チャンスになりかけてうまく合わない場面が頻発するのもやむを得ない。
得点に関与できていないので、好きな形で何とかしたい気持ちなのかもしれないが、ここは我慢が必要。
サイドに開いてクロスをあげるとか、ブロックの外からシュートを狙うとか、別の形を選択肢として見せて、相手を引き出せれば得意な形の成功確率も上がるだろう。
ミドルが得意なアセンシオが入ってきて、注文通りのシュートを決めたのが対照的。
狭いところをついてうまくいかなかった時間が長かった分、ミドルのエリアへの意識が下がっていたようでもあって、交代策がはまった。
シュートを完全に消されると逆足サイドで迷子になってしまうのだが、スタイルが違うロドリゴの後だから、好きなところが空いて足を振れていた。
定期的にこういうゴールを決めている時のアセンシオは、詰まった時に解決してくれる可能性を感じるので良い。
ロドリゴのサブという立場に忸怩たるものはあるだろう。しかし、チームとしては2枚で良い組み合わせとなっているように思う。
第2戦へ向けて
3点が必要なチェルシーが下がってカウンターを選択することはないだろう。
今度はマドリーがブロックを作ってカウンターを狙う番。守備の個人能力を生かしつつ、足の速い両翼で追加点を狙う、オーソドックスな形を徹底したい。
まずは前からの厳しい守備に備えるべき。慌てて早い時間に失点するともつれてしまうから、変なボールロストを避けられるよう、最終ラインはボールを持てる今のラインナップが望ましい。
中盤ではチュアメニを使ってブロック形成時の守備強度を高め、インテリオールはクロースとモドリッチで決まり。
一番悩ましいのが右エストレーモで、最近の傾向ならロドリゴ先発、途中からアセンシオとなる。
が、(暴力事件がなぜかクラブからお咎めなしの)バルベルデで守備を意識して入り、途中からロドリゴという選択肢もある。
下がりすぎて失敗し、後からエンジンをかけようとしても難しいというのは往々にしてある流れなので、守備は意識しつつも攻める姿勢は忘れるべきではない
その意味で、ロドリゴの先発を推しておく。