レアルマドリードのある生活

レアルマドリードの応援日記。試合中心にお送りします。

どこよりも早い今シーズン振り返り

CL敗退により今シーズンのタイトルレースがすべて終了した。

リーガがあと3節残っているが消化試合なので、一足先に今シーズンの振り返りを。

 

 

 

序盤は昨シーズンの延長線上

昨オフにカゼミロが抜けたことは大きな変化であった。チームにもたらしてきた経験、世界最高のユニットであったCMK・・・

これらを失うことを覚悟のうえで、チュアメニへの世代交代を図った。

 

当初のコンセプトは、カゼミロをチュアメニに単純に置き換えた形。

志向するスタイルも当然CMKの延長線上にあり、ブロックを作っての守備の固さとともに、ビニシウスとベンゼマを中心としたカウンターで刺す狙いだった。

 

ボールを持たされる国内での戦いに不安があるのも相変わらずながら、シーズン序盤はいい滑り出しとなった。

 

ドミノ倒しの変化

変化の兆しが出てきたのは年明けころ。

シーズン中のW杯開催による過密日程にCWC、スーペルコパと1月2月は大変な日程で、コンディション不良からの負傷離脱者が増えた。

中でも、セントラルでありつつ左ラテラルもできるアラバ、左ラテラルの序列トップであったメンディと今シーズンの目玉であったチュアメニの相次ぐ離脱は、昨シーズンから続いてきたチームのコンセプトを変えざるを得ない結果をもたらした。

 

1つ目は左ラテラルの人材不足によるカマビンガの起用である。

恐らくは左利きということもあってコンバートされたのだろうが、慣れないポジションで意外と守れた。しかももともと技術が高く、メンディへの不満の大きな要因であったボールを持った時のプレーが改善された。

これによって、メンディのいるいないに関わらず、カマビンガが左ラテラルで起用され続けることとなった。

 

2つ目はカマビンガのコンバートによって不足したピボーテへの対処から始まる中盤の再編である。

クロースは守備的なプレーだけ見ればカゼミロはもちろんチュアメニにも見劣りするが、彼以外にピボーテに置ける選択肢がなく、やむを得なかった。

更に、クロースが一列下がったことによりインテリオールも1枠空いた。セバージョスが再び輝くこともあったが、ビッグマッチではクロースの守備的負担を軽減する目的もあり、バルベルデが起用されることとなった。

 

3つ目は、中盤に移ったバルベルデが抜けた右エストレーモの対応で、ロドリゴ、アセンシオの序列に。

彼らを比較すると、技術はないがよく走れるバルベルデからそこまでの走力はないものの足元の技術が高くアタッキングサードベンゼマと絡めるロドリゴとアセンシオに置き換わったという言い方ができるだろう。

 

こうして振り返るとドミノ倒しのよう。

後半の陣容は、シーズン当初の形からこれらの変更を経て修正されていったのだった。

 

実は歪な状態に

カマビンガのラテラル、クロースのアンカー、ロドリゴとアセンシオのエストレーモという面々をそれぞれメンディ、チュアメニ、バルベルデと比較すると、守備強度を維持したとは言い難い。

ある程度ボールを持ってプレーするのが快適なメンバー構成になったというべきであろう。

 

ところが、アンチェロッティはメンバーを変えざるを得なかったのにスタイルは変えなかった。これは歪な状態である。

リーガはベストメンバーで試合をし続けるわけではないし、ボールを持てる相手が多いのでメンバーとの相性が良く、この歪さが見えづらかったのかもしれない。

だがCLは準決勝までたどり着き、ボールを持つマンチェスターシティ相手には、守れないメンバーで限界を迎えた。

 

シティ戦に臨み、アンチェロッティには、シーズン後半の実績を踏まえたメンバーか、スタイルに即したメンバーかの2つの選択肢があった。

 

昨シーズンのリベンジマッチであり、ホームでモチベーションも高かったマンチェスターシティ相手ということを考えると、後者で堅実に試合に入り、途中で前者にシフトしていき攻撃のギアを上げていくのが無難なように思えた。

前者を選択したアンチェロッティの判断は、結果としてうまくいかなかったが、年明けに落ち込み、そこから最近の調子を取り戻してきた上述のような経過を踏まえれば、的外れな選択と非難することはできまい。

 

今後へ向けて

今後に向けた改善点を挙げるとするなら、シーズン後半の形でも守備強度を維持できるような戦力の整理を挙げたい。

 

まずはカマビンガを中盤に戻せるだけの左ラテラル。

メンディは能力的に疑問符がついていたのに加え、今シーズンの稼働率の悪さで更に評価が下がった。彼を手放して攻守ともに貢献できる戦力を加えたい。

 

次にモドリッチとクロースにそろそろ引導を渡せるインテリオール。

「シーズン中はなんだかんだあるが結局彼らが主役だったな」というシーズンをもう何年も過ごしており、彼らのレベルの高さには驚くほかないが、さすがに休んでもらえるような戦力が望まれる。

層が薄くクロースに守備的負担を強いてしまっては長所が出せないし、そんな彼らに勝てない競争相手ではCLではやはり苦しいということが浮き彫りとなった。

この点においては、今シーズンはビッグディールを成立させられるかどうか、というところ。

 

ベンゼマも・・・と言いたくなるが、まずはこのあたりに手を加えて、今シーズン後半に得た成果を確固たるものとしていくべき。

モドリッチとクロースに頼る時代に戻る選択ではなく、今シーズン台頭したカマビンガ、ロドリゴの能力を組み込んで生かせる選択を望みたい。