レアルマドリードのある生活

レアルマドリードの応援日記。試合中心にお送りします。

ペジェグリーニの評価とモウリーニョのリスク

インテルを3冠へと導いたモウリーニョ。マドリーへの移籍間近とここ数日報じられているが、さすがに簡単には決まらないようで。

ペジェグリーニの解任はもはや既定路線となってしまった状況だが、バルセロナの後塵を拝したとはいえ、歴史的な勝ち点の高さで優勝争いを演じたマドリーのリーガでの成績に、ペジェグリーニが何も貢献していないかのような報じられ方は納得のいくものではない。

逆に言えば、モウリーニョとて、昨シーズンはCLではベスト16で敗退したことを忘れてはいけないし、さらに言えば、チェルシーでは最後まで栄冠に手が届かなかったという事実も忘れるべきではない。

ペジェグリーニのリヨン戦でのディアラの起用は確かに疑問手ではあった。だが、以前にも書いたように、それだけがCL敗退の理由ではないし、各選手にプレーしやすいポジションを与え、かつバランスをある程度保ったチームを維持したという功績はあるだろう。

そして、控えの選手たちが出場すれば結果を出したという事実は、規律とモチベーションの管理に成功したことを示してもいる。

だからこそ、2年目で真価を問いたい、というのが個人的な考え方だ。

2シーズン目にもトーナメントで改善が見られなければ、どうにもならないかもしれないが、最初から必ず結果を出せるなら苦労はない。

そして、モウリーニョがマドリーへきて最初のシーズン、やはりCLでは新しいチームの構築に苦労してベスト16で敗退となった場合に、「”モウリーニョなら”2年目を任せる」と言うのはフェアではないし、かといって1年目でダメだと言う理由で首を切ってしまえば、もはやなり手はいないも同然だ。

そのあたりを、しっかりと天秤にかけておかないと、後々苦しいことになってしまうだろう。

・・・・・・・・・・・・・・キリトリ・・・・・・・・・・・・・・

さて、極東の片隅でぼやいたところで、モウリーニョの招聘が時間の問題ならば、一応そのための考えもまとめておきたい。

たいていのビッグクラブが通る道だが、マドリーはリーグ戦とCLの戦い方の違いを出せずに苦しんでいる。

リーガでは、相手は守備に下がるし、技量も低いことが多いので、選手たちにのびのびやれる形を与えることが大事だ。

一方、CLでは力量が拮抗しているので、必死で守らなければいけない時間帯が当然出てくる。

その時に、リーガの時と変わらない姿勢でいると失点が増えるので、勝つ確率は必然的に下がる。

そこで勝ち切るチームの力を付ける必要があるが、その点ではモウリーニョに期待できる。

勝つためなら何でもやる、そしてそれを選手に表現させられるのが彼の長所だ。

一方リーガ、特にホームでの試合でがっちり勝ちを得る試合を続けているとサポーターからの突き上げが厳しいのは周知の事実。

また、マドリーの現有戦力から考えて、なかなか守備意識を高めていくのは難しいように思われる。

そのあたりの事情を見て、リーガ向きの形を早く作れるかが、モウリーニョの課題となる。

また、フロントとの関係も忘れることはできない。

モウリーニョと契約に至った場合、どれだけの権限が彼に委譲されるのかはわからないが、GMやSDといった立場の幹部たちが有名無実化することもあり得るし、ペレスもただの”お財布”でしかなくなる可能性もあるので、契約時にも抵抗があるだろうし、失敗してしまえば、これまでの監督よりもあっさりと首を切られる恐れもある。

スペインではGM、SDといった役職が監督と兼ねられるケースはあまりないので、ここをペレス会長が思いきれるか、その後もモウリーニョ1人に任せておけるのかが気になるところ。

モウリーニョは、こうした問題があるのを承知で、それでも大きな成功を収めてみせると思ってやってくるのだろうから、契約してしまえば、やって見せてくれとしか言えないが、ペジェグリーニを不当に評価しているメディア等が、モウリーニョにどれだけ忍耐強くいられるのかが不安でならない。