独走を続けるバルセロナを追うことができていない今シーズンのマドリー。CLでも、難しいグループに入り、ドルトムントが素晴らしい出来だったとはいえ、アヤックス戦以外は勝利しても不安な試合が多かった。
こうした状況になった原因はどこにあるのか。そして、半ばを迎える今シーズン、これからどうなっていくのか。振り返りながら少し考えてみたい。
■オフは失策だったのか
今年の夏は、モドリッチ一色だった。トッテナムに主導権のある状態で交渉が続き、あまりにも時間がかかってしまった。経緯はこちらやこちらの過去の記事をご参照いただきたいが、モドリッチと、最後の最後でラスの穴埋めとしてレンタル移籍にこぎつけたエッシェンだけが新しい選手という結果になった。
モドリッチとの契約は、(今のところ進歩はすくないが)リトリートした相手を崩すため、シャビ・アロンソに替わるゲームメイクを求めてのものだったが、それ以外にも補強のポイントはあった。
セルヒオ・ラモスがセントラルでプレーすることになってアルベロアしかいなくなった右サイドバック。
以前に比べてモウリーニョの発言は減ったとはいえ、フォワードも出来れば3人体制を目指したかった。
ディマリアと争える中盤右も、改善が必要なポジションだった。
これらのポジションの中で少し噂になったのは、最終的にシティと契約したマイコンだ。
モウリーニョの指導を受けた選手であること、アルベロアとは違い、守備の不安はあれど攻撃面での大きな貢献が期待できそうな選手であることから、モウリーニョが希望する選手として過去にも移籍が騒がれた選手だが、年俸や年齢の面がネックになって、オファーは見送られたと伝えられていた。
もちろん、資金的な問題は常にあり、望む選手を全て揃えられるわけではない。
30を過ぎた選手に大きな契約をするのは、勇気のいることでもある。まして、マドリーはクラブの雰囲気として、若い選手が以前から好みで、マイコンのようなベテランに大きなオファーをしないのはある程度納得のいくことでもある。
いずれにしても、モウリーニョの望みは叶えられなかった。そして、オフ全体としても明らかに不十分な補強のみに終わった。
これは、果たして失策だったのだろうか。つまり、本来の望みどおりにできる方策があり、それを目指したのに失敗したという、純粋にスポーツ的な出来事なのだろうか。
今にして思えば、それだけではない、クラブ内部の問題がかかわっているように見える。
■契約延長の意味は
リーガ優勝を決めた後、比較的早い段階でモウリーニョの契約は延長となった。
当初14年までだったものが16年までとなり、新たなシーズンにリーガかCLを取れば、マドリーのみならず、リーガ全体としても極めて珍しい長期政権となるかもしれない、そうなれば安定的な運営が望めるとの期待が高まった。
当時も今もペレスはモウリーニョへの支持を表明しているし、モウリーニョも、これまでタイトルをもたらしては退任してきた監督のキャリアの流れを変え、マドリーに長く留まることも視野に入れた発言をしていたため、この契約延長は必然だったと言える。
しかし、その実態として、思惑が合致していたかと言うと、その後の経過を見る限りそうではなかったのだと考えられる。
つまり、契約の延長は、多くのファンもそれを求めていたし、マドリーとモウリーニョも双方が望んだものだったが、そこに込められた思いはクラブと監督では大きく異なっていた可能性があるということだ。
■また明日
チームの成績はプレーの結果であって、まずは選手たち、そして監督に原因が求められるもの。ここまでのマドリーは、ピッチ上で多くの課題を抱えており、それはこれまで試合のレビューを通じていくつか書いてきた。
だが、チームの成績に影響するピッチ外での有象無象の事柄があるのだということも、多くの方に理解していただけることだろうと思う。
試合での出来不出来はこれまで拙いながらも書いてきたので、今回は、ピッチ外の出来事を振り返り、ここまでの不振の原因を推測してみたい。
今日は前編としてここまで。続きは明日書きます。