タイトルがかかっていない方のクラシコ。とはいえ、精神的な意味では悪い結果は当然避けたい、という試合。
簡単に振り返る。
■マドリーの先発メンバー
GK:ディエゴ・ロペス
FW:ベンゼマ
55分:ベンゼマ→ロナウド、カカ→ケディラ、68分:コエントラン→アルベロア
直ぐにCLがあるため、控えが中心のメンバー。
■バルセロナの先発メンバー
GK:バルデス
DF:アウベス、ピケ、マスチェラーノ、アルバ
FW:ペドロ、メッシ、ビジャ
67分:ビジャ→アレクシス・サンチェス、77分:ペドロ→アドリアーノ、85分:チアゴ→テージョ
プジョルがお休み。シャビは負傷で離脱しており、イニエスタが中盤に下がった。そのポジションにはビジャが入った。
■両クラブの立場は
両クラブの立場を確認しておく。
ミッドウィークのコパ準決勝には快勝した。これによって、仮にこの試合に負けても、タイトルがかかった方ではきっちり勝ったという免罪符を得ていたことになる。
だからこそ、この試合はかなり思い切ったローテーションをすることができた。
一方のバルセロナは難しいことになっている。
逃したタイトルの重みというよりも、カンプノウで良いように押さえ込まれたという感覚があるはずで、内容も良くなかっただけに、逆にベルナベウで巻き返し、強さを見せておきたい状態だった。
このままズルズルとやられていては、問題がどんどん大きくなっていってしまう。
だから、発熱したと伝えられるメッシを先発(結局フル出場となった)させなければならなかったし、プジョルと負傷のシャビ以外は変更はほとんどなかった。
■サイド
マドリーは無理して出て行かなくても良い。バルセロナには、良い時のような攻めがないので、4-4-2で守備をセットして、まずは守備をきちんとすれば良い。
カカとベンゼマが横並びになる最前線は、パスコースを限定するだけ。ボールは取りには行かない。ピボーテに入ったペペは、主にイニエスタを見ていたが、前線が狭めたコースを最後に潰すような役割。彼の守備面での能力は遺憾なく発揮されていたといっていいだろう。
右サイドのカジェホンは、基本的にはディマリアと同じ役割で、サイドバックのポジションに入ってでもサイドのケアを徹底。ただ、ディマリアより守備の意識が強く、アウベスだけでなく、ビジャにもついてエッシェンと横並びになることが何度かあった。
エッシェンの右サイドは狙われていたので、人数が足りなくならないように、人についていこうという考え方かもしれない。
左のモラタはロナウドよりは守備を頑張っていた。ロナウドのようにボールを運んで決定的な仕事ができるわけではないが、きちんとアルバについてサイドを数的不利にしないよう努力していた。
あとは、アウベスとの高さのミスマッチを利用したハイボールのターゲットとしての役割。高さを生かしていたし、ボールタッチもうまく、かなりの回数ボールを収めることに成功していた。
先制点もこのモラタのクロスから。アウベスは完全に油断して楽にクロスを上げさせた。ディフェンスラインとキーパーの間を抜ける速いボールにベンゼマが合わせて、開始早々にマドリーが先制。
■中央の変化と同点
リードしたこともあって、マドリーは全員で守備を意識。サイドは手堅く守っており、バルセロナは中央の攻略を図ることになった。
中央は、前回とは少し変化している。
シャビがおらず、イニエスタがその役割を負っていて、チアゴは前線に飛び出して顔を出すような動きを繰り返していた。
それに伴ってメッシも上下動をして、ラインの間のスペースで受けようという動きを見せていたので、縦の動きと入れ替わりは、ミッドウィークよりずっと多く、中央からやられそうな感じは強かった。
これは、中央にいることになったイニエスタと、サイドでラインと勝負するビジャの役割がはっきりした効果だろう。
中央が過密になることなく、スペースを確保してボールを持つことができ、サイドはそこからのボールをうけるべくラインと対峙する。
すっきりした形になっていたように思う。
同点ゴールは、裏をついたメッシの動きから。
セルヒオ・ラモスは1対1で負け、足の下を抜かれるシュートを許してしまった。完全に単独の攻撃だったが、寄せきれずにやられてしまった。
■停滞とロナウド後の動き
同点後は、かなり長い時間停滞する。
マドリーはリトリートしての守備はしっかりしていたが、攻撃に繋がるような守備の形がはっきりしておらず、ペペが1人で突出して帰って危ないかたちになるようなこともあるほど。
失点はしないけれど、攻撃から逆算した守備ということにはならなかった。
にも拘らず、バルセロナは同点後、非常に消極的なボール回しに終始することになる。
メッシの位置も少しずつ最終ラインから遠ざかり、直接的な得点への脅威とはならなくなっていった。サイドも封じられ、淡々と後方でボールを回すだけの時間はかなりあった。
マドリーが進歩しているのは、こういう時にがむしゃらに突進する無謀な守備をしなくなったこと。
もちろん今のチーム事情もあるが、ベルナベウで落ち着いて守っていられる状況というのは望ましい。
試合が動き出すのは55分のロナウド登場後。
マドリーは、モドリッチを一列上げ、ペペとケディラのドブレピボーテとし、ロナウドのカウンターを狙う形に変更した。
シャビ・アロンソと違い、ボールと一緒に前線に近い位置にいたいモドリッチを守備から解き放ち、ピボーテは固い2人で締める。また、前線は高さもあり、ロングボールがこぼれてロナウドが突破ということも狙える形に。
これによって、バルセロナは現実にロナウドへの対応を迫られることになった。マドリーは攻め方が確立したし、個人で見ても、ロナウドはピケとのマッチアップに勝ることが多く、やりやすくなっていった。
マドリーはコエントランをアルベロアに替え、温存とサイドの守備の改善を図り、1-1でもOK、あわよくば勝ち越しというスタンスに。
バルセロナはサイドの選手を単純に入れ替え、サイドの攻防で優位に立ちたい形。
決勝点はセットプレー。
セルヒオ・ラモスが高さでピケを上回ってコーナーを合わせ、試合を決めた。失点に絡んだ彼にとっては、名誉挽回となるゴール。
チームとしても、高い選手を揃えた甲斐があったというもの。
■CLへ
選手の温存と結果の両立に成功し、この連戦を最高の結果で終えることが出来た。
CLは素晴らしい精神状態で迎えることができるだろう。
わずかにリードを許した状態でアウェイの試合となるが、ミッドウィークのような結果を期待したい。