レアルマドリードのある生活

レアルマドリードの応援日記。試合中心にお送りします。

リーガ・エスパニョーラ第9節 vバルセロナ

首位を走るバルセロナとの直接対決。昨シーズンは上位対決に敗れリーガのタイトルを逃した。今シーズンはその二の舞は避けたいところ。

■マドリーの先発メンバー

GK:カシージャス

DF:カルバハル、ペペ、セルヒオ・ラモス、マルセロ

MF:ハメス・ロドリゲスモドリッチ、クロース、イスコ

FW:ベンゼマロナウド

84分:イスコ→イジャラメンディ、87:ベンゼマケディラ、89分:モドリッチアルベロア

先発にサプライズはなし。これまで4-3-3表記してきたが、守備時に形がはっきり見える4-4-2表記に今後統一。ご了承ください。

バルセロナの先発メンバー

GK:ブラーボ

DF:アウベス、マスチェラーノ、ピケ、マテュー

MF:ブスケツ;シャビ、イニエスタ;メッシ

FW:スアレスネイマール

60分:シャビ→ラキティッチ、69分:スアレス→ペドロ、72分:イニエスタ→セルジ・ロベルト

出場停止が解けたスアレスが先発。左サイドバックにはマテューを起用した。

リバプール戦のプレーを続けて

マドリーはリバプール戦でレベルの高い守備を見せた。最終ラインは当然ながら、本来攻撃的なプレーヤーばかりが並んでいる中盤もきちんとスペースを埋め、熱心にボールを追いかけて奪っていた。両サイドのイスコとハメスが守備的な役割を全うしたことで、4-4のブロックの強さが発揮された試合だった。

ミッドウィークの守備が継続されるのかがこの試合の重要なポイントで、緩くなってしまえばバルセロナのレベルの攻撃を抑えるのは非常に難しくなるところだったが、期待通りのプレーをしてくれた。バルセロナの方がリバプールよりボールを持つ時間が長い分、我慢が必要なので、リバプール戦よりもずっと集中した守備を続けたと言ってもいいだろう。

バルセロナは両サイドバックが高い位置を取り、ブスケツが低い位置を維持するので、ボールを持っている時は3-5-2のようになる。

最終ラインはベンゼマロナウドの2トップが見てコースの制限をし、中央はモドリッチ、クロースと最終ラインからのヘルプで対応。ふわふわと中途半端なポジションを取ってボールを受けるメッシにはペペやセルヒオ・ラモスが寄せていた。また、人数が足りない場面では両サイドのイスコとハメスも適宜絞って中央を狭くし、現在のバルセロナの根幹であるシャビ、イニエスタを中心としたパス回しを難しくさせた。

その分、両サイドにスペースができるのはやむを得ないところ。開いた2トップとサイドバック、中盤の1人が絡んでくると、数的にも2対3になるので完全に抑えるのは困難になる。

3分、バルセロナの先制の場面は、遅攻ではなかったがそのサイド攻撃から。

メッシが自陣から持ち上がり、シャビ、右サイドのスアレスと繋ぎ、スアレスは逆サイドのネイマールへ。カルバハルが対応していたが、楽に中へ進入させてしまい、続いてペペもすれ違う形で簡単にシュートコースを作られた。

カルバハルとペペの守りが軽かったこともあるが、バルセロナのサイドを使った大きな展開が効果的で、ネイマールに仕事をしやすい環境を作っていた。

バルセロナは、マドリーがしっかり閉めている中央をパス回しで囮に使いながら時間をかけ、ゴールに迫る時は両サイドを使って攻撃すれば似たような場面を作れそうだったが、あまりうまくいかず。理由はいくつか考えられる。

まず、バルセロナの場合一番外に開いて攻撃の幅を作りたいサイドバックのプレーが良くなかった。

アウベスには全盛期のようなサイドでのアタッカーとのコンビネーションや中へ入って行ってのプレーがなく淡白な内容で、マテューはバルセロナサイドバックとしてのプレーにあまり慣れていない様子。駆け上がってのクロスは何度かあったが、それ以外はぱっとしなかった。バルセロナらしいパス回しはほとんどできず、周囲のプレーヤーにボールを預けるだけのショートパスが多く、彼のところでは守備をはずすことは望めなかった。

2つめに、マドリーは早々の失点にも拘らず、焦って陣形を乱すようなことをしなかった。

バルセロナが明らかにマドリーを上回っていた数年前であれば、先に失点してしまったが最後、焦りから落ち着きのない攻撃をしては悪いボールの失い方をし、失点を重ねていたものだが、この試合では慌てることなくプレーを続けていた。むしろ、しっかり守ってから攻める考え方が徹底されたようで、失点後はチームとして非常に集中できていて、全員が自陣に帰ってでも守っていて、マドリーの4-4-2の形は非常に強固だった。

マドリーの右サイドのスペースは何度も使われていたが、カルバハルが最初のミスを感じさせない熱意のある守備で対応。ネイマールには複数で対応し、上がってきたマテューにはまともなクロスをあげさせなかった。

そして、3つめはこの試合に限ったことではないだろうが、メッシのポジション取り。2トップの下で自由があり、トップと絡んだりサイドに出たりしながらゴールに向かってこられるのがマドリーにとっては一番面倒なのだが、トップ下のポジションからボールを受けに下がるとそのまま低い位置に居残ることが多かった。また、高い位置でボールを受けても簡単に捌くことが多く、ゴールへ向かってくる脅威は一時期に比べると明らかに低下していた。

その分ネイマールが最前線でいろいろやっているし、先制点の場面のように多少低い位置からでも数人引き連れて持ち上がれるスピードは見せていたが、中央で彼が独力で組織を壊してしまう脅威がなくなったことで、マドリーは守りやすくなった。

バルセロナの攻撃は、何度も苦杯を舐めさせられたモウリーニョ期より確実に変化しており、一時的にせよ圧力は落ちている。付け加えるならば、一方的に攻め立てるための前線からの速いプレスもその時期から比べればなくなっていて、マドリーはある程度計算して守ることができていたし、奪ったボールをクリアすることなく繋いで攻撃に移ることができていた。

バルセロナに問題があったことは事実だが、マドリーの守備の形とボールを繋ぐプレーの精度がしっかりしていたことは確かで、それは大きな進歩。

リバプール戦でも書いたように、このような技術の高いメンバーが守備をしっかりできればそれ以上のことは望めない。守備が解決するならば、彼らにとってはある程度のプレスをかいくぐるのは容易だ。彼らが精力的にプレーすることで、マドリーの守備と攻撃は同時にレベルアップする。今週の2試合を良いモデルにして続けていってもらいたい。

■マドリーペース

20分頃からはマドリーがペースを握る。

バルセロナを押し込んでエリア周辺に釘付けにする時間帯が続き、ベルナベウのスタンドにも同点にできそうな雰囲気が出てきていた。退いて守ることに慣れておらず、そもそもそうしたメンバー構成になっていないバルセロナにとっては辛い展開。

残念だったのは両サイドのイスコ、ハメスがアウベス、マテューに1対1で全く勝てなかったこと。彼らがサイドで抜きにかかっても、ボールを奪われるばかりで更なる展開に結びつけることができなかった。2人ともサイドのプレーヤーではないといえばそれまでなのだが、遅攻でサイドにボールを展開しても打開できないのは、今後に向けて改善したいところ。

とはいえ、マルセロとカルバハルが高い位置を取れ、バルセロナにクリアを強いることを続けて出来ていればチャンスは生まれる。彼らとイスコ、ハメスが絡めば、サイドバック以外に対応することが少ないバルセロナのサイドは崩せていく。

マドリーの同点ゴールは35分。

カルバハルが持ち上がり、クロースから左のハメスへとボールを動かし、オーバーラップしたマルセロが左サイドを深くえぐってグラウンダーのクロス。これをピケが手で止めてペナルティ。ロナウドが向かって右へ決めた。

この場面では、ハメスにボールが入ったタイミングでマルセロが追い越しに掛かっているのに、下がってきたイニエスタはアウベスが見ているハメスのところで足を止めた。

ハメスの進入をケアする必要はあったが、イニエスタが止まったことで、ハメスについて足を止めていたアウベスがスピードに乗って走りこんできたマルセロのマークにスイッチすることになって、これでは追いつけない。そのためにマルセロが深くえぐるスペースを得た。

イニエスタがそのまま走ってマルセロについていくのがベターだっただろうが、そこまで下がることをしなかった。また、スイッチするにしてもコミュニケーションがないまま(少なくとも身振りはなかった)だったことで、一瞬の隙間ができた。このあたりも、攻撃的なプレーヤーも退いて守ることが不得手だというところと繋がってくるかもしれない。

追いついたマドリーはベルナベウの声援もあって積極的に。

先に書いたように、失点以降の守備は集中しており、何度かピンチはあったものの、ボールを奪えることも多かったので得意の速攻が狙えそうな場面があった。

イニエスタがカウンターになりそうな場面でモドリッチを倒してイエローを貰うなど、やりたいことをしているのはマドリーで、バルセロナはその対応に振り回されているという状況。

そうした流れで、前半のうちに2点目もあるかと思っていたが、さすがに40分過ぎからは無理をしないプレーをするようになり、1-1のまま前半が終了。

■勝ち越して完全にマドリーの試合に

マドリーの勝ち越しゴールは51分。

クロースのコーナーを完全にフリーになっていたペペがヘディングで決めた。

セルヒオ・ラモス、ロナウドがファーからニアへ走りこむ形を見せたことで高さのあるマーカーはニアへ集中。ボールもほとんど見ないような向きでニアからバックステップでファーへ逃げていたペペはフリー。最終的にはアウベスがついたがベンゼマにぶつかって何もすることができなかった。

ニアへ飛び込むプレーヤーを超えるボールを供給したクロースのキックも見事。

ネイマールが下げようとしたパスがミスとなってベンゼマに渡り、相手を背負いながらの難しい状況ながら走るハメスへ良い落とし。ハメスからベンゼマと繋いで、最後は右に動いたロナウドがシュートし、ピケにブロックされたコーナーだったのだが、左に走っていたハメスはフリーで、大きなチャンスを逸したと思われた。

そのコーナーでゴールを決めて、失敗したカウンターの元を取った形。

リードを得たマドリーは前半にも増して守備を徹底。4-4のラインの間は非常に狭くなり、ロナウドも自陣深くに位置するほど。マドリーの個々のプレーヤーの守備意識はしっかりしていて、バルセロナもこれを効果的に打開する術がなかった。ピンチはあったが、かつてほどの頻度ではない。個人で守備組織を破壊していたメッシも後方でのプレーが引き続き多く、ドリブルで入ってくることが少ないので、マドリーとしては大きな不安要素とはなっていなかった。

バルセロナは60分、攻撃を支えていたシャビを下げラキティッチを投入。

疲労も考慮してのことだと思われるが、ラキティッチファーストタッチとなったコーナーが良くなく、マドリーは簡単にクリア。イニエスタとイスコが競走し、サイドライン際でイニエスタが先にボールに触れたものの、中へ戻したタッチに反応できるプレーヤーがおらず、イスコが入れ替わってボールを奪い中へ。

追いかけてきたロナウドへのパスは少し緩かったが、更に右のハメスへとパスを繋ぎ、裏に走ったベンゼマへ短いスルーパス。受けたベンゼマがファーのポストに当てる素晴らしいコースのシュートを決めて3-1。

パスは惜しかったが、その前のイスコの頑張りがカウンターのチャンスを生んだ。

運動量を惜しまない彼のプレーがゴールに直接繋がった。彼のような典型的なトップ下のプレーヤーがここまで熱心に走り回ってくれるとは。彼には期待していたが、このようなプレーをすることになるとはシーズン開始当初想像もしていなかった。

この日のマドリーの出来であれば、2点のリードは安全圏。

時間が経過するほど守ってカウンターで良くなり、この後は何度となく決定機の一歩手前まで至っていた。だが、エリア付近での最後のプレーに精度を欠き4得点目はならず。

精度が高いカウンターを続けていれば4得点に留まらず5,6点入っていてもおかしくなく、フィエスタになるような後半のプレーだったので、最後のところで失敗が続いたことは残念。得点を取りすぎて困ることはないので、こうしたチャンスをきちんとものにできるようになってくれれば。

マドリーのベンチには攻撃的なプレーヤーがチチャリートしかおらず、ビハインドのままであれば交代に非常に困るところだったが、この展開であれば念には念を入れて守備的なプレーヤーを投入して問題ない。

84分に素晴らしいプレーを見せたイスコに替えてイジャラメンディ、87分にベンゼマケディラ、89分にモドリッチアルベロアと良かった攻撃的プレーヤーを下げつつ後方のプレーヤーを投入。ロナウドを最前線に置き、4-5でがっちりエリア前を固める慎重さでリードを守る。

ただ跳ね返すだけでなく、カウンターのチャンスを作り続けていた点は評価に値するが、かえすがえすもゴールにならなかったのが勿体ない。そんな贅沢を言いたくなる内容で、3-1と勝利。勝ち点3以上の効果がある勝利となった。

■この勢いを本物に

リバプール戦に続き、素晴らしい内容で勝利を挙げ山場の1週間を2連勝で終えることが出来た。しっかり準備し、それを実践できたことによる勝利だ。

あとは、これらの試合での高いパフォーマンスを続けていけるかどうか。

特にリーガでは、だれて取りこぼすようでは、直接対決に勝利して縮めた差を再び広げてしまうことになりかねない。これほどに重要ではない試合で、こうした高いモチベーションでプレーするのは難しいにしても、統制の取れたプレーを続けて行くことが大事。

それができれば、シーズン中盤から後半にかけては、基本となる形がある分非常にやりやすくなるだろう。

今の勢いと形をものにできれば、シャビ・アロンソが年明けに復帰し形が固まってきた昨シーズンに比べ、ずっと早くチームの形が定まることとなる。

その点で、リバプールとのCLグループステージ第4節までの間にある、コパデルレイのU.E.コルネジャ戦、リーが第10節のグラナダ戦でどういったプレーをするのかに注目してみたい。