レアルマドリードのある生活

レアルマドリードの応援日記。試合中心にお送りします。

CL準決勝第2戦 vドルトムント

大逆転の夢は見られた。だが、決勝への切符が手の届くところにあったとも感じた試合だったのも確か。良くやったという思いと、あと一歩のところの力不足の実感がないまぜになっている。

■マドリーの先発メンバー

GK:ディエゴ・ロペス

DF:エッシェン、バラン、セルヒオ・ラモス、コエントラン

MF:モドリッチシャビ・アロンソ;ディマリア、エジルロナウド

FW:イグアイン

57分:コエントラン→カカ、イグアインベンゼマ、67分:シャビ・アロンソケディラ

ドルトムントのプレスが速かったことを受けて、足元がより良いモドリッチを起用。ディマリア、エッシェンが復帰した。

ドルトムントの先発メンバー

GK:ヴァイデンフェラー

DF:ピシュチェクスボティッチフンメルスシュメルツァー

MF:ベンダー、ギュンドアン;ロイス、ゲッツェ、ブワシュチュコフスキ

FW:レバンドフスキ

13分:ゲッツェグロスクロイツ、87分:レバンドフスキ→ケール、89分:ベンダー→サンターナ

カウンターで良いドルトムント。ただ、メンバーは第1戦と変わりなし。

■改善されたマドリー

最低でも3点が必要なマドリー。会見でモウリーニョはフォーメーションの変更も示唆していたが、結局は戦前の報道通り、変更はケディラモドリッチに替えたのみ。長くやってきたメンバーに託す方が良いということだろう。

ただ、第1戦と大きく違っていたのは、攻守の切り替えの速さ。特に、ボールを奪われた後のプレスの速さは、第1戦とは雲泥の差で、ドルトムントと同じような速さでボールホルダーに仕掛けていっていた。

大差を追いかけなければいけない以上、ドルトムントにボールを落ち着かせないようにするのは当然の策で、ドルトムントもマドリーが前に出てくることは予期していたと思うが、恐らくドルトムントの想定を超える速さでマドリーの前線は守備に当たれていた。

第1戦とは明らかに違うスピードに慌てていたし、後方でうまくプレスをかわすことができず、ひっかかったり、蹴り出したりする場面が、特に序盤は多かった。

また、レバンドフスキにも複数で対応。第1戦のように楽なプレーを許すことはあまりなかった。

マドリーとしてはドルトムントを慌てさせていたこの時間帯に先制してしまいたかった。

イグアインの決定機は、この素早い切り替えで奪ったボールからのもの。ヴァイデンフェラーの良い飛び出しもあって、ファーを狙ったシュートは阻まれてしまったが、そう何度もない絶好機だっただけに、フォワードには決めてもらいたい場面だった。

マドリーのもう1つの修正は、2列目の飛び出し。

トップの位置に入った選手に縦パスを当てて、飛び出した選手にワンタッチで落とす形は、かなり練習したように思われる。トップの選手が長くボールを持っても、ドルトムントの守備陣に囲まれるばかりで良い展開が期待できなかった、またはそもそも収まらなかった、という第1戦の経験を踏まえ、ダイレクトプレーで抜け出す狙い。

縦パスに食いついたところを入れ替わるような形で抜け出すこのやり方は何度か成功。一番のチャンスはエジルがシュートを外した場面で、完全に抜け出すことに成功していた。

この場面、エジルはファーを狙うと見せてニアを抜くシュートを選択したが、巻き込みすぎてニアに外してしまった。先日のリーガでもこの狙いでゴールを決めているので、得意の形ではあると思うのだが、力んでしまった。

ドルトムントには余裕があったのも確かだが、マドリーはところどころでドルトムントを上回るプレーを見せ、ゴール前で良い形を作るところまではできていた。まともにシュートまで行くこともできなかった第1戦からすれば大きな改善。

だが、シュートが決まらなかった。最後の場面、個人がゴールを奪う技術という点で、足りないものがあるのは明らかだった。

■前半の半ば以降

マドリーが序盤の勢いで点が取れなかったので、ドルトムントは徐々に落ち着きを取り戻していった。

第1戦ほどの繋ぎは多くなかったけれど、レバンドフスキと2列目の絡みは健在。彼らだけでゴールに迫るような迫力は素晴らしいものがある。

ゲッツェが13分に負傷交代してしまったため、核が1つ欠けたことはドルトムントにとっては不運、マドリーにとっては追い風となる要素だったが、それでもギュンドアンを中心にボールを動かし、危険な攻めができることを随所に示していた。

マドリーの序盤の勢いを90分持続することは不可能なので、こういった流れになることは仕方がない。モウリーニョは序盤に勝負をかけに行ったので、いくつかの場面で決めきれなかったのは、本当に悔やまれる。

そこまではチームとしてやりたいことはできていて、後は仕上げだけだったのだが、得点を挙げられず時間が経ってしまったことで、良い雰囲気が次第になくなり、ずるずるといつものマドリーに戻ってしまった。

そうなると、単独で仕掛けてはドルトムントの守備網に引っかかる場面が多くなる。フォローが少なかったせいもあるが、ディマリアは何度となく1対複数の場面を作られてやられていた。

結局前半は得点が動かず、0-0。

ドルトムントも決着をつけられず、終盤にドラマ

前半の途中から手痛いムードとなっていたので、後半開始時点で選手交代があると考えていたのだが、交代はなし。

結局、交代は分。コエントランとイグアインを下げて、ベンゼマとカカを投入し、ロナウドベンゼマの2トップ、最終ラインは2バックに近い状態で最後の勝負。

狭い局面での質が改善することはなく、個人が仕掛けることが多いのは前半途中から変わらなかったが、人数をかけての攻撃で、ドルトムントへの圧力は増した。

一方、ドルトムントはカウンターで対抗。

守備を考えていられないマドリーに対し、2,3度決定機を作ったが、ディエゴ・ロペスの素晴らしいセーブと、シュートがバーに当たる幸運で望みを繋いだ。

ここでどれか1つ入っていれば、完全に試合は終わってしまっていたのだが、ドルトムントも決めきれず。彼らにとっては、ここで決め切れなかったことで最終盤の緊張を招いたということ。

マドリーもそうだが、決めるべきところで決める重要性を再認識する展開となった。

80分を過ぎ、ドルトムントが時間を使い出したあたりでようやく得点が動く。

83分にエジルのクロスをベンゼマがあわせてまず1点。89分には流れたクロスを拾ったベンゼマのパスを受けたセルヒオ・ラモスが浮き球でうまくコースを抜くシュートを決め、最後の最後に盛り上がる展開を作った。

この時間帯のマドリーの選手たち、そしてベルナベウの雰囲気はもの凄いものがあった。久しぶりにスタジアムが全体でアウェイのチームを押しつぶすような、そんな勢いがあった。

だが、時間が足りなかった。

ドルトムントもあと1点となって冷静さを保つのが難しい状況となったが、最後は凌がれ、マドリーは1点に泣いた。

■改めて、個々の質

第1戦の結果から見れば、ここまで追いすがったこと自体に大きな価値がある。アウェイゴールを許して早々に決着がついてしまうような差があるようにも思われる状況で、自分たちの流れを作ることができたというのは、並大抵のことではない。

だが、だからこそ、決定機を逸したことが悔しい。

チームとしてやれることはやっていただけに、最後の質が足りなかったという思いが大きく、落ち着いて決められていれば、と思ってしまう。

また、決定機に限らず、組織としてしっかり守っていたドルトムントに対し、単独突破を仕掛け、ボールを奪われることが多かったことは、個々の質の問題として、夏に解決しなければいけないところ。

もちろん、単独突破を”せざるを得なかった”状況、チームとしてのフォローの少なさも改善しなければならないが、決定機を数度逸してしまったことと合わせて考えると、大きな舞台で計算できる選手の重要性を痛感する。

■ベルナベウに拍手を

最後になるが、この試合でのベルナベウの雰囲気は本当に素晴らしかった。普段ならマドリーに対してもブーイングが飛ぶスタジアムだが、最後までチームをサポートする雰囲気が継続してあったし、いつもよりも後押しする声が大きかった。

勝ち抜けは難しいことはわかっていながら、こうした雰囲気でチームを応援した現地のマドリディスタに拍手を。

そして、願わくば、こうした雰囲気が来シーズン以降も維持され、マドリーに常に力を与える場所であって欲しい。

■残されたタイトル、コパへ

マドリーに残されたタイトルはコパのみ。決勝は5月17日。

CLの傷は大きく深いが、タイトルを取って、少しでも良い気分でオフに入れればと思う。