レアルマドリードのある生活

レアルマドリードの応援日記。試合中心にお送りします。

リーガ・エスパニョーラ第29節 vバルセロナ

素晴らしい試合だった前半と、全てを台無しにした後半と。前後半で極端な色分けとなったバルセロナ戦を振り返る。

■マドリーの先発メンバー

GK:ディエゴ・ロペス

DF:カルバハル、ペペ、セルヒオ・ラモス、マルセロ

MF:シャビ・アロンソモドリッチ、ディマリア

FW:ベイル、ベンゼマロナウド

65分:ベンゼマ→バラン、85分:ディマリア→イスコ、89分:カルバハル→モラタ

層が薄くなってしまっており、これしかない、という11人。

バルセロナの先発メンバー

GK:バルデス

DF:アウベス、ピケ、マスチェラーノ、アルバ

MF:ブスケツ:シャビ、セスク

FW:ネイマール、メッシ、イニエスタ

69分:ネイマール→ペドロ、78分;セスク→アレクシス

イニエスタが前線に入り、セスクが中盤。

■長所を生かして

マドリーは、ディマリアとモドリッチがサイドに出て行くいつもの形。前回対戦のようにメンバーをいじることもなく、無敗を続けてきたやり方をそのまま採用した。

特にディマリアはどんどん左サイドに出て行くので、その分中盤の人数が足りなくなるリスクは常に抱えることになったし、実際奪われた後の速攻を受けて序盤から危ない場面があったのだが、自分達の長所を生かすことを選択したということ。

バルセロナも当然自分達のやり方を変えないため、互いに攻撃面での長所を出し合うことを優先した内容で序盤から試合は進んだ。

先制はバルセロナ

右サイドからボールを動かし、マドリーの守備を1つずつずらして、最後は左のイニエスタ。強く蹴り込んで、ディエゴ・ロペスを破った。

このスペースはベイルが戻って埋めるべきだったが、ベイルは居残っていた。このあたりの戻る判断は、普段求められるレベルからすればずっと頻繁に、かつ素早くしなければならない。ベイルの推進力を生かしたいのはチームとしての意図だが、この場面はこうした試合へ不慣れなところを見せた。

早い時間に追いかける展開となったが、マドリーは慌てずにプレー。

以前のように畳み掛けるバルセロナのプレスがあまりなく、センターバックとシャビ・アロンソ、たまにモドリッチというメンバーでボールを落ち着かせることが計算できたのも大きかった。

バルセロナのプレスは以前ほど速くも頻繁でもなく、マドリーは奪った直後に奪い返される心配をほとんどせずに済んだ。

マドリーは後方でボールを動かし、ディマリア、マルセロ、ロナウドが出入りする左サイドで勝負。バルセロナが特段の対応を取らなかったので、進出したディマリアが自由を得るようになっていく。

同点は20分。ディマリアのクロスをベンゼマが頭で合わせた。いつも通りのクロスではあったが、フリーであれば精度の高いボールを供給できるディマリア。

24分にも左サイドに出たディマリアがベンゼマへクロスを送り、ベンゼマがうまく決めてあっという間に逆転。

前半の左サイドは完全にマドリーのものだった。

最初に書いたように、中央での不利を覚悟で左サイドを生かす選択をしたのだが、それが当たった。バルセロナの最終ラインはピケ以外高さがなく、きちんとボールを供給できれば中では勝算があったこともあるだろう。

守る側からしてみれば、この形は非常に面倒。入れ替わり立ち替わり左サイドに顔を出す3人をしっかり掴まえるには相応の準備が必要だ。アトレティコはある程度人についてしっかり抑えてきたが、それも数度の対戦があってから。最初はどのクラブもやりづらさを感じるだろう。CLのように2試合しかない相手に対しては、このやり方でどんどん左を制圧していけるかもしれない。

今朝の前半の左サイドの出来は、それほどの手ごたえがあった。

一方、右サイドは見るべきところがあまりなかった。

ベイルが数人を抜いてしまう縦への速さと強さを見せた他は、数人で崩すような形はなく、カルバハルはボールタッチが悪く、ちょっとナーバスになっていた印象。

ヘセを失った今、右サイドはとにかくベイルを中心にすることになるので、このタイミングでしっかり形を作れるようになってもらいたい。

42分、メッシがエリア内で抜け目なくシュートを決め、2-2。

この前にも守備がずれるシーンがあり、守り切れるという信頼は持てそうになかった。

ディマリアの運動量がなければ、攻守にバランスを取ることは難しい。この試合で見せた長所をできるだけ残しながら、守りのレベルをどこまで引き上げられるかが、今後の大きな課題となりそう。

■試合の魅力を吹き飛ばした後半

22人が素晴らしい試合を見せてくれたのはここまで。

後半は、重要な場面での判定が全てを動かす展開となった。

ロナウドのPKはエリア外だったし、ネイマールのPKは接触があったとはいえ安易なもの。バルセロナの勝ち越し点となったPKもここまでの判定を考えると疑問なものだった。

前半は、エリア周辺にせよ中盤にせよ互いの接触に寛容な判定をしていたマジェンコ主審だったが、後半はどんどん笛が”軽く”なっていった。

前半からの判定の積み重ねで結局試合をコントロールできず、ある時点で一気にブレーキをかけるようなやり方では、スタジアムも刺激してしまうし、良いことはない。

互いに不満があるということは公平だということだ、とテレビで紹介されていたマジェンコ主審だが、正当に判定が下されるので互いに不満が残るのではなく、両者に分け隔てなくミスをばらまくから不満が残るのだ、ということが改めて明らかになった。それを一般的には「レベルが低い」と言う。

時間が経つにつれ、審判が試合とともに熱くなってしまうことは、リーガでは往々にしてあるものだが、この試合も似たような印象。

前半は認められたものが後半では認められなくなる、いきなりカードが乱発される、というような光景は、これまでも見てきたし、今後もリーガではお馴染みの光景として続いていくのだろう。

こうした判定が繰り返されると、メディアも人々の求めに応じて判定に関して騒ぎ立てることになる。今回はバルセロナが勝ったが、立場が逆でも同じこと。

そうなると、良い試合だった前半は隅に追いやられることになる。それはリーガにとっては損失でしかない。

ビデオで何度も当該場面がリプレイでき、ネットでも確認できるようになった現代では、判定の話題が中心になりがちだ。その場で満点の判定ができるかどうかは別として、時代に合わせた新しいシステムの構築をフットボール全体として考えていかなければいけない時期だ。

そうでなければ、勝っても負けてもどこかすっきりしないスポーツに成り下がってしまうかもしれない。

■まだまだこれから

この敗戦でマドリーの無敗記録はストップ。アトレティコに勝ち点で並ばれ、直接対決の結果により、首位を明け渡すことになった。

とはいえ、まだあと9試合ある。

ミッドウィークにはアウェイでセビージャ戦を控えているが、試合間隔が短いことを切り替えの良い機会と捉えたい。

すっきり出直して、残り試合へと臨んでもらいたい。