レアルマドリードのある生活

レアルマドリードの応援日記。試合中心にお送りします。

マドリーの今オフのポイントを考える

まだまだW杯も始まったばかり。代表の話題が賑やかなタイミングだが、今回はマドリーの今夏のポイントについて考えてみたい。

各ポジションはシーズン後半の4-3-3をイメージして、次のリンクで大会ごとに整理されている’13~’14シーズンの出場時間や得点数を参照しながら話を進める。

・リーガ

・コパデルレイ

・CL

■基本的な考え方

現有戦力について簡単に。

まず、CL優勝を果たしたメンバーだから、来シーズンも一定程度信頼できるだろうと言うことはできる。

ただ、シーズン終盤にかなり疲労が見えていた面々の多くがW杯にも出場しているということ、先発をまったく変えずに新たなシーズンに入るとマンネリに繋がりやすいことを考えると、先発を入れ替えるポジションをいくつか想定しつつ、層の厚みを増し、疲労を軽減しながら新シーズンに入って行くことを考えるべきだ。

マンネリ感はアンチェロッティのマネージメントで多少回避できるにしても、疲労はどうしても残ってしまうもの。普段より1か月半ほどオフが短く、暑いブラジルで試合を重ねているメンバーがクラブに返って来た時のコンディションは最悪の状態だろう。

その後1か月程度のプレシーズンはあるが、完全休養できる期間はほとんどなく、序盤は出場時間を制限する必要が出てくるかもしれない。

そのため、最低限1ポジションに2プレーヤーを確保ことを達成し、可能であれば先発に割って入れる可能性のあるプレーヤーを増やしておくことが重要だと言える。

そうした考え方をすると、各ポジションが次のように分けられる。

■補強が必要なポジション

(1)センターフォワード

このポジションに入るのはベンゼマとモラタだが、ベンゼマの出場時間が4,025分なのに対し、モラタの出場時間は996分であり、4倍近い差がある。モラタはリーガで8得点を挙げたものの、この出場時間ではアンチェロッティの信頼を得ているとは言い難い。僅かな時間ずつ出場して経験を得るような起用が多かった。

そのモラタも出場時間を求めているとのことで、完全移籍かレンタルかは未定ながら移籍することが濃厚であり、そもそも1ポジションに2プレーヤー確保することができなくなる見通しだ。

ファーストチョイスだったベンゼマは、リーガ17ゴール、コパ2ゴール、CL5ゴールとゴール数は伸ばし、リーガのバルセロナ戦など大きな試合でゴールをあげる改善を見せた。ただ、CL準々決勝第2戦のアウェイでのドルトムント戦のように、劣勢の試合で流れを変えられない面は変わっていない。チームの調子が良い時は波に乗れるが、そうでない時に雰囲気を一変させることができないのは非常に惜しい。

ボールを収める技術、パスの精度は素晴らしいが、ゴール前での信頼感はまだまだで、非常に技術が高いがゴール前の怖さはいまひとつのプレーヤー。彼と先発を争えるプレーヤーと契約したいところ。

求められるのは、ベンゼマほどうまくなくても身体能力でボールを収められ、エリア内できちんとゴールを奪える純粋な9番タイプ。

特に後者は、次に触れるウイングの状況との兼ね合いもあり必須。

(2)ウイング

ロナウドとベイルがファーストチョイス。ロナウドが4,023分の出場で51得点、序盤はコンディションが整わなかったベイルも終盤はフィットし3,327分の出場で22得点を挙げた。

他にはシャルケ戦で靭帯を損傷してしまったヘセしかおらず、そのヘセも今年中の復帰が目標と伝えられており、シーズン前半は戦力として計算できないため、ロナウドとベイルしかいない状況。強いてあげればすっかりインテリオールのプレーヤーとなったディマリアが元に戻るくらいしかない。

また、ロナウドはシーズン終盤の無理に続き代表での試合があり、コンディションは最低レベル。彼の性格からして、恐らく無理を押してでも出場することを希望するだろうが、できることなら少し時間を制限し、他の選手と時間をシェアしながら起用していきたい状態。

これらのことを考えると少なくとも1人は加えておきたい。

センターフォワードにゴールが計算できるプレーヤーが入った場合、ウイングにはロナウドやベイルほど何でもできるプレーヤーを置く必要は必ずしもなく、9番にしっかりボールを届けられるプレーヤーを求めたい。

(3)インテリオール

モドリッチとディマリアがファーストチョイス。モドリッチが4,055分の出場、ディマリアはウイングでのプレー時間もあるので一概には言えないが3,742分の出場。

続くのがイスコの3,163分だが、その次は本来ピボーテのイジャラメンディの2,489分、そして負傷で長期離脱したケディラ

と続き、カゼミロは僅かな出場時間に留まった。

モドリッチとディマリアを上回れるプレーヤーは数少なく、シーズン中から報道されたビダル、ポグバくらいで、彼らと契約するのは非常に難しい。ケディラに移籍の可能性がありイジャラメンディはできればピボーテで使いたい、カゼミロも恐らく移籍となることを考えれば、まずは選手層を厚くするとともに、全体的なレベルの底上げも図るべきだろう。

その上で、できれば先発2名の立場を脅かし得るプレーヤーとの契約の可能性があれば模索する必要がある。モドリッチとディマリアが頼れるからといって、彼らに任せきりではマンネリになる恐れが強まる。

枚数を確保しつつ、先発を争えるプレーヤーを1人か2人は加えたいところ。予算はかかるが、センターフォワードの補強との兼ね合いで、経済的な面で上手に立ち回ってもらいたい。

■可能であれば改善したいポジション

(1)センターバック

セルヒオ・ラモスとペペがファーストチョイスで、それぞれ4,348分と4,222分出場。その次に来るのがバランで1,603分の出場、そしてサイドバックでの起用が多かったナチョの1,374分となっている。

数は揃っているものの、バランには膝の不安があり、新しいシーズンにフル稼働できるかどうか現状ではわからない。また、サイドバックが怪我がちだったこともあるが、ナチョはそちらのバックアッパーという立場。

先発2人が素晴らしいプレーを見せたこともあり、彼らとバラン、ナチョの出場時間差が大きい。バランが負傷問題をクリアすると楽観視し、ペペと緩やかな世代交代を図るにしても、もう1枚増やして左センターバックのセルヒオ・ラモスのバックアップに置きたいところ。

センターバックの控えが若いナチョだと、緊急的に出場しなければならない時に不安が残る。そうしたプレッシャーの大きい場面を任せられる経験を持ったセンターバックがいれば、選手層としては磐石。

ナチョはサイドバックとしてもう少し出場時間を得られるよう頑張ってもらいたい。

■現状維持を目指すポジション

(1)ピボーテ

シャビ・アロンソは、前半戦負傷で出場できなかったにも関わらず3,152分の出場。イジャラメンディは2,489分の出場となった。

新シーズン中に33歳となるシャビ・アロンソだが、彼の存在感はいまだ大きく、CL決勝では彼の不在が大きく取り沙汰された。この状況であれば、新シーズンも彼に負うところはかなり大きくなるだろう。

イジャラメンディは不慣れなインテリオールでもプレーし、チームに馴染みながら経験を得る1年となった。ドルトムント戦でのミスが印象的で、大きな試合での落ち着きとそこから来る信頼感を得るにはまだまだというところだが、シャビ・アロンソの直系の後継者と言える彼を1シーズンで手放す理由はない。

国内育成のプレーヤーで世代交代を図れる現状は理想的。シャビ・アロンソに無理をさせないためにもうまく時間を分け合って出場し、マドリーで成熟してもらいたい。

(2)両サイドバック

右はカルバハル(3,370分出場)とアルベロア(2,353分出場)、左はマルセロ(3,001分出場)とコエントラン(1,506分出場)がおり、枚数は揃っている。

コエントランの出場時間はほかのプレーヤーと比べると短いが、負傷したマルセロの穴を埋め、終盤は信頼できるプレーを見せてくれていた。

今シーズンは負傷に泣かされたポジションで、2人とも負傷離脱ということも何度かあったが、センターバックを1人増やせば、ナチョを左右でうまく使っていくことも可能になる。

何より、枚数が揃っているにも拘らず無理に手をつけて予算を使いたくない。上に挙げたポジションを改善するのが優先されるべきで、サイドバックは現状の2枚ずつを維持したい。

(3)ゴールキーパー

リーガはディエゴ・ロペス、コパとCLはカシージャスというほとんど前例のない併用策をアンチェロッティは1シーズン維持した。

決勝での飛び出しのミス、代表での低調なプレーと、精神的な不安定さが垣間見える状況で、カピタンをレギュラーにと強く推すことは難しいが、CL準決勝までのプレーならばカシージャス未だ健在という印象。

また、ディエゴ・ロペスもカシージャスを押しのけるほどのプレーではなかったが、1シーズンリーガでのゴールをしっかり守り続けた。

併用策には一長一短あり議論は絶えないが、新シーズンにおいて彼らのうちどちらかがマドリーのゴールを守ることに異論のある者はいないだろう。

敢えてこのポジションに手を入れる必要性は見当たらない。

■最後に

マドリーの今シーズンの登録人数は、GK3人、フィールドプレーヤー20人だった。

上のポイントを整理すると、想定される増減は5増3減で、GK3人、フィールドプレーヤー22人となり、登録は可能。

もし人数のスリム化を図りたい場合は、もう1、2名の放出が必要となる。

今シーズンのチームはCL優勝という大きな目標を達成したもので、勝ったチームはいじらないという考え方はもちろんある。だが、最初に書いたように、新シーズンのコンディションは万全と考えることは難しい。先発と控えの差が大きく、特定のプレーヤーに頼らざるを得ないような状態はできれば避けたいのが本音。

また、モウリーニョ期に見られたように、序列が固定化されチームがマンネリに陥ることは避けたい。良いチームであっても、2、3のポジションに手を入れることで、競争意識によってチームが活性化させることは必要不可欠だ。

チーム全体の底上げを図りコンディションを維持しつつ、いくつかのポジションでポジション争いを起こすような動きを期待したい。