レアルマドリードのある生活

レアルマドリードの応援日記。試合中心にお送りします。

マドリーの移籍市場最後の数日

夏の移籍期間が終了した。

マドリーは例年になく売却が早く進んだ夏だった。

リーガで実績のあるケイラー・ナバスと契約して、世代交代を含めた将来への投資を行いながら、ディエゴ・ロペスにフリーでミランに移籍してもらいGK問題の一応の解決を図った。

フィールドプレーヤーでは、カゼミロ(ポルト)、モラタ(ユベントス)の移籍が早い段階で決まり、クロース、ハメス・ロドリゲスとの契約はあったものの、ディマリアがユナイテッドに移籍し、最終週になってシャビ・アロンソバイエルンへと発った。

アロンソチチャリートの移籍についておさらいしながら、今夏のマドリーの動きについて簡単に評価してみたい。

■シャビ・アロンソバイエルン

アロンソの移籍が取り沙汰されるようになったのは、移籍市場が閉まる5日前頃から。アロンソ自身が移籍を求めたと報じられ、バイエルンへの移籍が一気に決まってしまった。

移籍金は1000万ユーロ、バイエルンでは1000万ユーロの年俸で2年契約。

32歳となり、年齢的にフル稼働は難しいだろうと思ってはいたし、クロースが想定よりずっと順調にチームに馴染んでいたので、プレー時間は限られるだろうとは思っていたが、ベテランとしてチームを支えてもらうことはもちろん、中盤の選手層の厚みを保つためにも残留して欲しかった。

とはいえ、これまでの貢献により、希望すれば移籍を容認する条項が前回の契約更新時に契約に盛り込まれたと報じられており、そうであれば引き留めるのは難しい。引き留めに成功しても、モチベーションが低下する恐れは十分にあるし、契約更新時にはうまい話をするが、条項どおり移籍しようとすると阻害されるかのような噂がプレーヤー間で広まるようなことも考えられた。契約上互いに認めた権利をもって移籍希望したならば、それをスムーズにする方が問題は少ない。希望が出てからのクラブの対応は悪くなかった。

問題は時期。期限まであと数日では穴埋めも難しく、ことが動く時期が悪すぎた。クロースが来たからではないとアロンソ自身は述べているが、そうであればもう少し早く移籍の希望を表明してもらいたかった。

■最終日にチチャリート

モラタが移籍し、ベンゼマの1人体制となっていたフォワード。モラタはまだ若く、ベンゼマも波がありゴールという点では不満もあったことから、以前から継続的に補強の必要性があったポジション。

それにもかかわらず、マドリーは最終日まで動かず、最終的にチチャリートとレンタル移籍で契約することとなった。

当初はスアレス一本と思われたフォワードの補強策だが、W杯での噛み付き行為によりマドリーは獲得しないことになり、それ以降動きが乏しかった。

水面下で交渉があったとすればファルカオだろうが、彼も負傷明けで長期の契約にはリスクが伴った。代理人であるメンデスとの交渉もタフだったと思われ、マドリーが契約するならばレンタル後に6000万ユーロ程度での買い取り義務をつけなければならなかったとも報じられている。

スアレスの事件はマドリーが防ぐことができるわけもなく、ファルカオについてもメンデスに良いように扱われることは好まないだろうから、クラブとしてできることは限られていたが、彼らに次ぐプランがなかったことは問題。

最初に書いたように、以前から必要だったポジションなのだから、スアレスとの契約の可能性を排除した時点で様々な可能性が報じられるくらいにはなっていてほしかった。

安価にチチャリートと契約できたことは良かったが、1トップにあうプレーヤーではなく、その点の不安は残る。

チームに合ったプレーヤーと契約する機会を失ったのではないか、と思ってしまう。

■個々の契約はまずまずだが全体としては・・・

想定外だったアロンソまで移籍し、最終日にバタバタと契約する可能性が高かったのは中盤。急にプレーヤーがいなくなったこともあるし、ソシエダ戦で明らかに攻守のバランス調整ができていなかったのだから、ギリギリであっても手をつける必要に迫られるならインテリオールかピボーテのところだったはず。

ところが、最終日に契約したのはフォワードのチチャリート。ずっと補強の必要があったポジションに最後の最後で手をつけたということになる。

フォワードの補強候補が二転三転したであろうことに酌量の余地はあるが、昨シーズンよりも層が薄くなってしまう中盤に手をつけなかった(またはつけられなかった)ことは、今シーズン全体に大きな影響を与える恐れがある問題で、失敗と言う他ない。

W杯に出場したプレーヤーが多く、特に序盤はコンディションの調整が難しいので、層を生かしてリーグ戦を戦いたかったところなのだが、少ないプレーヤーをやり繰りせざるを得ないこととなってしまった。

カゼミロ、モラタ、クロース、ハメス・ロドリゲス、ディマリア、シャビ・アロンソといった面々の個々の移籍については、理由はある程度想像がつくし、結果もそれほど悪いものではなかったと思っている。特に売却については感情的になってしまいがちだが、適正かそれ以上の金額で取引できたことは評価したい。マドリーは移籍市場終盤の叩き売りが普通のクラブだったが、この夏は良い条件で手放すことができた。

だが、その分の補強もカスティージャからの引き上げもなく、登録人数が減ってしまった問題は大きい。

無計画ではなかったが、全てが遅きに失したという印象で、全体としては不満の残る夏になった。