レアルマドリードのある生活

レアルマドリードの応援日記。試合中心にお送りします。

CLグループステージ第1節 vバーゼル

CL初戦、リーガでの不調ということもあってか空席が目立つベルナベウにバーゼルを迎えた。

■マドリーの先発メンバー

GK:カシージャス

DF:ナチョ、ペペ、セルヒオ・ラモス、マルセロ

MF:クロース;モドリッチ、ハメス・ロドリゲス

FW:ロナウドベンゼマ、ベイル

66分:セルヒオ・ラモス→バラン、73分:モドリッチ→イジャラメンディ、82分:ベンゼマチチャリート

サイドバックアルベロアではなくナチョとなった。

バーゼルの先発メンバー

GK:バツリーク

DF:シェル、サムエル、スヒー

MF:フライ、エルナニー;ジャカ、デルリスゴンサレス、ズッフィ、サファリ

FW:シュトレッラー

64分:サムエル→柿谷、73分:シュトレッラー→エンボロ、83分:フライ→デルガド

3バックでスタート。右サイドのジャカはW杯で名を挙げたジャカの兄、タウラント。

■変形しない

マドリーの前線は、これまで利き足と反対サイドだったロナウドとベイルが入れ替わっていた。

もちろんポジションチェンジはあり、ずっと同サイドということはないのだが、ロナウドが右でベイルが左の時間が長かったのが印象的。特に左サイドはベイルがサイドで幅を使い、中へ入るのが好きなマルセロが絞るという場面が何度もあった。

これまでは、サイドはサイドバックが担い、ウイングは中央に絞っていくという分担だったのだが、ロナウドとベイルが利き足サイドにいることでその役割が少し変化していた。

それに加え、昨シーズン成功をもたらした4-3-3から守備時の4-4-2への変形が、この試合では見られなかった。

これまでであれば左にいることが多かったロナウドがトップに居残ってベンゼマと2トップになり、ディマリアが左サイド、ベイルが右サイドに入る形で4-4-2に変形していたが、この試合では3トップがそのままの形で前線に残った。

このことで、ブロックは4-3の7人で作ることに。もちろん前線の3人も全く守備参加しないわけではないが、かなり遅れて自陣に戻ってきており、リトリートする意識の高さは感じられなかった。

ロナウドは中盤より後ろのプレーヤーに対し、前に出てくるよう促すジェスチャーを何度かしていたこともあって、どちらかというと、相手との力関係も考慮して前線から寄せられるなら寄せたいというような意識に見えた。

確かに、4-4-2の振りをした4-2-4になってしまうよりは最低でも4-3で守れる方が人数的には計算が立つ。

前線は戻ってくる計算ができないから、中盤より後ろはきちんとポジションに帰るというルールを決めれば、計算上は4-2よりは1人多くなる。

しかしながら、押し込む時間が多かったこの試合では特に、失った瞬間の陣形はかなり乱れており、奪われた瞬間、人数が多くなっている相手陣内で強くプレッシャーをかけた方が、再びボールを奪い返すには効果的。

とはいえ、高い位置でプレスが掛からないことが多く、その際に修正して守ることが出来なかったので、散発のプレッシャーをかわされるとバーゼルの縦パスが簡単に入り、戻りながらの守備を強いられることが多く、危険。失点もそうした形からで、既に4得点していたため痛手にはならなかったが、これを繰り返すようでは守り切れそうもない。

4-3で守る形が将来を見据えたプラン変更の基礎なのか、バーゼルとの力関係でこの試合のみそうした選択となったのかは今後見続けていかないと分からないところだが、4-3では両サイドに振られることに弱くなるので、どうしてもウイングの帰陣が必要になってくる。

ハメスを含めた現状の4-3では、リトリートして守ることを考えるレベルにはなりそうもないので、高いレベルの試合での安定を考えるなら、現時点ではうまく4-4-2を使う方法を検討した方がいいだろう。

モドリッチ、イジャラメンディ

今、中盤の柱は間違いなくモドリッチだ。

2点目のベイルへの素晴らしいアシスト、ロナウドが決めた3点目に繋がるベイルへの展開と、モドリッチの高い位置でのパスが非常に冴えている。彼はそれに加え、後方での短い距離での捌きにも顔を出していて、幅広い仕事をこなしてくれている。その中でこのパスを見せてくれるのであれば、彼を攻撃的に使わない手はない。後方での役割をある程度譲って、高い位置でプレーできる時間を増やしたいところ。

彼を攻撃的に振舞わせたいと考えた時、後方でのパス捌きと守備に一定程度信頼を置けるのがイジャラメンディであり、73分からのプレーには期待が持てた。

シャビ・アロンソのような長いパスは目立たないが、後方で最終ラインとパス交換してマイボールを安定させ、リズムを作ることができるし、大量リードしていた影響もあるが、ポジションもいいので彼を経由したやり取りが自然と後方で起こっていた。

また、守備時もしっかり寄せられており、その辺は一列前のプレーヤーとは基本が違うといった印象。これをできるプレーヤーが前にいると最終ラインも安心できる。

攻守においてモドリッチ(ともう1人のインテリオール)を下支えできるイジャラメンディは、チームが必要とする役割に彼の能力が合っているので、もっと起用されるべきだ。アンバランスになりがちなチームを整えられるようになるはず。シャビ・アロンソにはまだまだ及ばず、昨シーズンのドルトムント戦のような脆さもあるが、持っているものは大きい。時間を与えればもっとやれるだろうプレーヤーなので、うまく遣って言ってもらいたい。

■落ち着きをもたらす勝利に

内容的にはまだまだだが、ベイル、ロナウド、ハメス、ベンゼマと決めて欲しい面々がきちんとゴールを挙げてすっきり勝てたことは評価に値する。

先程書いたようにベイルへのモドリッチのパスは素晴らしかったし、ロナウドの得点の場面でもベイルはきっちり中へボールを送った。ハメスはセオリー通りこぼれ球を狙っていたしベンゼマのゴールはロナウドと美しいパス交換を見せてくれた。

こうしたプレーができたことは攻撃面の自信になるし、観客への鎮静剤としての効果もある。

カシージャスがボールに触れるたび、彼へのブーイングとそれをかき消そうとする拍手が入り混じるという奇妙な雰囲気だったこの試合だが、こうした形で一部の騒がしい人々が静まってくれればプレーにも集中できるだろう。

様々に思うことはあるが、チームを作り直すことになってしまったし、それは今となってはどうしようもない。昨シーズンの素晴らしいプレーと栄光との比較は現時点では余りにも酷だ。今は新たなチーム作りを少しでも早く進ませたい。

そのためには、こうした試合できちんと結果が出せたことは大きい。小さいが確かな一歩と言っていいだろう。