レアルマドリードのある生活

レアルマドリードの応援日記。試合中心にお送りします。

リーガ・エスパニョーラ第12節 vエイバル

いかにも地方の小さなスタジアムといった感じのエイバルのホーム、イプルアでの試合。

■マドリーの先発メンバー

GK:カシージャス

DF:カルバハル、ペペ、セルヒオ・ラモス、マルセロ

MF:クロース;イスコ、ハメス・ロドリゲス

FW:ベイル、ベンゼマロナウド

74分:セルヒオ・ラモス→バラン、79分:ハメス・ロドリゲス→コエントラン、85分:ロナウドアルベロア

モドリッチの不在でアンチェロッティが選択したのは、イスコとハメスをインテリオールに置いた4-3-3。これだけ攻撃的なプレーヤーが並ぶと壮観。

■エイバルの先発メンバー

GK:イルレタ

DF:ボベダ、アルベントサ、エキサ、アブラアム

MF:カパ、エラスティ、ダニ・ガルシア、サウール・ベルホン

FW:マヌ・デル・モラル、アルアバレーナ

71分:マヌ・デル・モラル→アンヘル、79分:アルアバレーナ→レキッチ、サウール・ベルホン→ララ

昇格組ながら前半戦を終えて中位につけているエイバル。ホームでもアウェイでも勝ち点を取れている。

■4-3-3

今節は、モドリッチを負傷で欠いてどういう形になるかに注目したい試合。アンチェロッティの選択は、ハメスを一列下げ、BBCの前線とともにイスコとハメスをインテリオールに並べ、クロースを底に置いた形。前半は4-4-2への変形がなく、3トップはそのままに4-3を中心に守っていた。

攻撃時は、特に左サイドにハメスが出て行くことが多く、マルセロやロナウドと絡んでサイド攻撃を作ろうとしていた。昨シーズンのディマリアのような動きだ。イスコは中央寄りに位置することが多く、クロースの近くまで降りて組み立てを助けたり、エリア付近でボールを振ったり。

右の一番外側はベイルが担当。左にエイバルの守備を寄せておいて右にサイドチェンジしベイルを生かそうというプレーが前半何度も見られた。ベイルのサポートはカルバハルが担い、早い時間帯には得点には至らなかったものの良いコンビプレーがあった。

この形で想定しているのは、長い時間ボールを持って攻めること。

ボールを失った後に奪い返す守備は整備されるまでに時間はかかるが、とにかく押し込んで攻めておけばある程度の相手であればロングボールを蹴らせるくらいはできる。そうすれば最終ラインから攻めなおすことは出来る確率が高まる。

問題は、押し込んでも押し込んでも点が取れない状況になってしまうこと。マドリーではしばしばあることだが、アタッキングサードの崩しで手詰まりになってしまうと、ボールを持たされている雰囲気になってしまう。そうなると、中盤を放棄して素早く退いてしまえば良いという相手が増え、特にリーガで勝ち点を落とすことに繋がる。

そうならないためには、当然ではあるが、きっちり点を取っていくことが重要。退いてもリスクが高いと思わせれば、引きこもるだけではなく出てきてくれる。そうなれば、マドリーはやりやすくなる。

その意味で、前半のうちに先制、追加点を挙げられたのは今後に向けて非常に大きい。

先制点の場面はベンゼマオフサイド気味であったが、右サイドでクロスを上げるロナウドのフェイント、跳ね返ったボールへの反応が良く、エイバルのプレーヤーの何人かがプレーを止めてしまう中、ハメスはプレーを止めず頭で押し込んだ。

オフサイドかどうか怪しいプレーではあったけれど、勝手に止まらず最後までやりきることが大事。ロナウドの粘りと、動き続けていたハメスの集中力が鍵となった。

2点目は42分。

右サイドでカルバハルがベイルとのワンツーで抜け出し、ロナウドへマイナスのボール。難しい対応だったがロナウドがうまく枠に蹴り込んだ。ベイルとカルバハルの関係が奏功。右サイドの狙い通りの形だった。

ある程度狙い通りだった攻撃とは裏腹に、守備は不安定さを露呈。

先程も書いたように、ボールを失った直後の守備はあったりなかったりで、奪い返すだけの組織立ったものとは言い難い。そうなると、カウンターを受ける回数は増えていく。

また、4-4の守備とは違い、4-3で守るこの試合の形では、単純に枚数が1枚少なくなるというだけではなく、クロースの両脇のスペースのケアが難しくなる。実際、この試合でもこのスペースをエイバルに何度か使われていた。

イスコやハメスが下がって埋めるのが第一だが、サイドに振られると彼らも出て行かざるを得ず、危険な位置を使われることになる。

攻撃はある程度成功し、その点では期待が持てるが、同時に守備の不安もはっきりと見えた前半だった。

■どう守備を整えるかで見えた点

前半で2点リードしたことで、後半は少しペースダウン。特に守備のレベルが落ちてきて、攻め合いの様相に。

代表戦明けということもあって、コンディションは全体的に良くなかったことは原因のひとつとして挙げられるが、このメンバーで4-3-3ではどうしても緩むということもある。

リードを得たこともあって、少しずつルーズな試合展開になっていった。

守備の引き締めをどう図るか、というところで、アンチェロッティはまずカードを貰っていたセルヒオ・ラモスをバランに替えてリスクを回避。

79分にハメスをコエントランに替え、中盤をベイル、イスコ、クロース、マルセロの4-4-2へ変更。85分にはロナウドアルベロアに替えベイルをトップにし、右もカルバハルを中盤に上げた。

この交代によって明らかになった点がある。

第一に、守備を考慮するなら4-3-3より4-4-2だということ。アンチェロッティの過去にもそうした発言をしているが、この交代ははっきりとその考え方を示したと言える。

逆に言えば、4-3-3は攻撃的な選択ということ。相手がなかなか出てきてくれず、攻撃する時間が長くなることが想定されるこうした試合ではこの形の出番が今後もありそう。

第二に、これはベンチに誰がいるかにもよるが、守備を整備する際にケディラをそのままイスコやクロースの位置に置き換えるのではなく、サイドバックの同時起用で解決を図ったということで、ケディラの序列がかなり低いということが言える。

サイドバックを縦に並べるやり方は過去にもやっており、全くの初めてではない。とはいえ、左だけに留め、3つ目の交代をケディラ投入に使うことも出来たはず。

この時点ではベンゼマロナウドのゴールで4-0となっており勝敗は決していて、試運転に数分を使ったとしても何の問題もない状況だった。それでもアルベロアだったということは、ケディラについてそうした起用をするつもりがないということなのだろう。

次の記事となるが、ケディラはCLバーゼル戦でも招集リストに入っていない。アンチェロッティは負傷と述べているが、この試合で出場機会が得られなかったこと、ほとんど消化試合であるバーゼル戦でも招集されなかったことは非常に暗示的である。

イジャラメンディがベンチにいたらどんな手を打っていたのかは気になるところで、彼ならばイスコやクロースに替えていたのだろうかと思ってしまうが、彼の使われ方は今後徐々に見えてくるだろう。

■最後に少し

70分のベンゼマのゴールは、その前のハメスのところでラインを割っていたのではないかというゴール。エイバルとしては1点目と同様微妙な判定に泣かされた格好で不運な試合展開となった。

完全にフリーで、シュート自体は難しいものではなかったが、このゴールでもベンゼマが最後まできちんとプレーしていたのは重要。これでリーガ7ゴール目。ゴール以外の部分の質は維持しており、その上こうしてゴールも挙げられていて調子の良さが伺える。

84分のPKもエイバルにとっては厳しい判定だったが、ロナウドがいつものコースに決めた。イルレタはほとんどコースを分かって反応していたが、それでも届かないスピード、コースのボールを蹴れる彼のペナルティは本当にレベルが高い。

代表戦明け、モドリッチの離脱と不安要素のあるアウェイでの試合だったが、結局4-0で勝利。

コンディションも良くない中、前半のうちに2点リードして、余裕ある試合運びができたことが大きい。モドリッチ不在に対する解答のうちの最初の1つとなった4-3-3は、リーガで守ろうとする相手に対してのこうした試合でうまく使って行けそう。危うくなれば交代も使って4-4-2に変形するという対応策も取れるので、攻めてしまいたい時は考えるべきオプション。

ミッドウィークはCL。首位通過をかけてバーゼルとアウェイで対戦。週末のリーガはマラガとアウェイで対戦する。