レアルマドリードのある生活

レアルマドリードの応援日記。試合中心にお送りします。

コパデルレイ第2戦 vアトレティコ

遅くなったけれどアトレティコ戦。残念な結果となってしまった。

■マドリーの先発メンバー

GK:ケイラー・ナバス

DF:カルバハル、ペペ、セルヒオ・ラモス、マルセロ

MF:クロース;イスコ、ハメス・ロドリゲス

FW:ベイル、ベンゼマロナウド

59分:ペペ→バラン、72分:ハメス・ロドリゲスチチャリート

GKは予定通りナバスとしたもののそれ以外は現状のベストメンバー。

アトレティコの先発メンバー

GK:オブラク

DF:フアンフラン、ゴディン、ミランダ、シケイラ

MF:マリオ・スアレス、ティアゴ;ラウール・ガルシア、コケ

FW:トーレス、グリースマン

57分:トーレス→アルダ、73分:グリースマン→ガビ、81分:ラウール・ガルシア→ラウール・ヒメネス

2点のリードがあるアトレティコ。彼らの力を考えればこの差は大きい。

■1分で終わり

ビセンテカルデロンでの第1戦では、アトレティコは基本的に退いて守り、マドリーにボールを持たせていた。そのためマドリーは7割近くボールを持っていたが、アトレティコのブロックを崩せず。2トップが横パスを制限し、意図するよりも攻撃の展開を速めさせることで、アトレティコは自分達が待ち構えるところへマドリーの攻撃を誘導できていた。

ただし、ただ退いてしまうのではなく、マドリーのボールの持ち方に隙があれば高い位置に出て行って狙う準備もされているのがアトレティコの守備の周到なところ。失点にはならなかったものの、数字に表れるよりもずっと意図通りにボールを持てていなかったマドリーは最終ラインでおかしなプレーが何度かあってピンチを作ってしまった。

攻撃がうまくいかない状況でセルヒオ・ラモスがペナルティを与え、アトレティコに先制点を献上。セットプレーに強いアトレティコの目論見どおりコーナーからも失点を喫し、アトレティコの整備された守りを攻略できず、思い通りに試合を運ばれたのだった。

ベルナベウでの第2戦ではアウェイゴールは厳禁、追いつくまでに2点が必要という状態で始まり、1分でトーレスに先制点を許し、90分で4得点することが求められることになって勝ち抜けの可能性をほとんど失うことになった。

アトレティコが退いてブロックを作るだろうと決め付けたわけではないだろう。第1戦の内容からして、何かあれば狙われることは意識していただろうし、もっと言えば、これまでの対戦の中で中盤でのやり合いになったことは何度もあったわけで、高い位置で奪い攻撃に繋げるためのアトレティコの守備を軽視したとは考えづらい。

だが、それにも拘らずこうした失点をしてしまうことにマドリー全体の状態の悪さが表れている。

90分で4点は、良い時のマドリーならば不可能なゴール数ではない。とはいえ、こうしたトーナメントの第2戦で「○点取らなければならない」というふうに複数得点が義務付けられた時に、それを達成できたことは滅多になく、4点ともなればほとんど不可能と言うしかない。しかも相手は堅守のアトレティコアウェイゴールを得たことで精神的にも落ち着いて守ることができるようになっていた。

それでも、失点以後のマドリーの攻撃はなかなか迫力があった。バレンシア戦でも追い詰められた状態で攻撃をしていたが、トーナメントで敗退してしまう場面で攻めまくるマドリーを見るのは、幸いなことに久しぶり。普段は技術の高さで何とかしてしまえるようなプレーヤー達が必死に攻める姿勢を見せてくれたことは評価したい。

その攻撃が実を結んだのは20分。クロースのフリーキックセルヒオ・ラモスが合わせて同点。合計スコアを1-3とした。

この場面はセットプレーだが、流れの中でもこの試合のマドリーはクロスを入れる場面が多かった。両サイドからはある程度やらせてもらえていた印象。

これは逆に言えば、中央はきっちり閉められていたということでもある。

ツイートしたように、ベンゼマがボールに絡む回数が最近減っており、この試合ではそこから更に数字が悪化した。ゴールは少なくても彼の価値を高めている組み立てへの貢献、ロナウドやベイルを生かすポストプレーが少なくなっていることで、マドリーの中央の攻撃は頓挫していると言うことができるだろう。

出し手も彼に入れるための手数をかけられておらず、この試合のように攻め急ぐ必要がある場合は仕方のない部分もあるとはいえ、簡単にサイドに逃げてしまっている。これで高いレベルの相手が守備を固めているところを突き崩すのは難しい。

ベンゼマに中央でもっとボールを入れるようにし、ベンゼマもそれを受けるためにコースを作る必要がある。コンディションが改善されてくれば大丈夫だろうとも思うが、それまでベンゼマが生きないようだと苦しい攻めを強いられることが続くだろう。

この試合では、アトレティコは中央を閉めており、マドリーは急ぐ必要があったことからサイドへサイドへと攻撃が開いていった。得点に繋がったし、良い形にもなっていたので、まずまずといったところ。だが、アトレティコ守備陣の周囲しかボールが動かなかったということでもあり、もっと中央を崩す工夫を見たかった。

■後半のもろもろ

マドリーは46分にもトーレスに決められ万事休す。

前半と同じようにミスをつかれ、高い位置で奪われてやられた。アトレティコも良く狙っていたが、第1戦も含めれば三つ目の失敗。これで勝ち抜けるレベルの相手ではない。

このシュートはケイラー・ナバスに何とかして欲しかったコースで、それは少し悔やまれる。彼にとっては難しい2試合で、アトレティコの攻撃もさることながら、ディフェンスとの連携に苦労していた。最終ラインとの間のボールをどちらがどう処理するのか、コミュニケーションがうまくいかず、繋げるところを相手ボールにしてしまう場面もあった。

コパはメンバーも入れ替わるので、普段とは違う状況だったところもあると思われるが、まだチームに慣れていないところを露呈した。

この敗退により、先発が保障された試合はなくなるので、カシージャスの負傷か出場停止がなければ、ところどころリーガで出ることになるだろう。そこで良いパフォーマンスを見せて、来シーズン以降につなげていってもらいたい。

マドリーは54分に同点に追いつく。左サイドに移っていたベイルのクロスにロナウドがあわせた。

これもサイドからの攻撃。ロナウドのヘディングは難しかったが、良くコースを狙った。

マドリーにはあと3点が必要。追いついてベルナベウも多少盛り上がった。

今のマドリーの光明はイスコ。技術の高い彼が動き回っていろいろなところへ顔を出してくれることでリズムを作れるし、1人ならかわせるのでディフェンスを複数ひきつけられる。ハメスとクロースとの噛み合わせも良くなってきており、守備面の不安を措いておけば、面白いことを起こせそうな3人になってきている。

惜しいのはシュート。終盤のチャンスではオブラクの正面へ弱いシュートになってしまった。エリア外からディフェンスの股を通すシュートはうまく、コースも隅に決めるだけの技術があるし、相手を外すアイデアはマドリーでも1,2のものを持っているのに、ここぞという場面でのシュートになると面白くない選択になってしまう。そのあたりはシュートのアイデアもいろいろ見せてくれるハメスが良いお手本になりそう。

チャンスの場面でそこにいる、というところまでは来たので、次はそれを決めること。守備もできるようになった彼がゴール前でも脅威になれれば、もっと頼れるプレーヤーになる。ハードルは高いけれど、そこまで期待しても良いだろう。

同点後、アトレティコトーレスをアルダに替えて火消し。中盤を厚くしてマドリーの攻めに対応した。慌てず磐石な構えのアトレティコを相手に30分で3点はあまりにも厳しい。

マドリーは72分にハメスをヘセに替えてサイドからのプレーに活路を求める。

ただ、退いた相手を前にボールを持ってもヘセの良さは出ない。バレンシア戦ではオルバンに完封され、この試合でもシケイラ相手にほとんど何もできなかった。

彼にボールを持たせるならカウンターの場面であるべきで、そうでないなら裏へ抜け出す動きをしてもらって周囲がうまく使ってあげたい。昨シーズンのアトレティコ戦でディマリアのアシストに抜け出したような場面を作りたいところ。

ボールを持ってもスペースがないのでスピードを生かせず、かといって中盤にボールを下げて勝負を避けていては僅かな可能性も放棄することになるので、とにかく仕掛けてはボールを失う繰り返しだった。

コンディション的には問題なくても、チームの中でどういうプレーをするか、という判断を取り戻すためには、酷な試合、使われ方が続いている。どこかの試合で先発させ、状況として制約がない中でらしいプレーをさせて試合勘を取り戻してほしい。

アンチェロッティはうまくいっていないベンゼマは下げず、交代枠は1つ残した。

手を打たなかったということもできるし、この状況でチチャリートを出してもあまり効果はないと判断したということもできる。いずれにせよ勝ち抜けの可能性が少ないのであれば、コンディションやモチベーションを考えるとベンゼマチチャリートか、更にリスクを負ってサイドバックのどちらかとチチャリートという交代はあっても良かった。

この交代をしていればあるいは、という状況ではないので、交代をしなかったことは大きな問題とはならないが、現有戦力のままで今シーズンを戦うのであればチチャリートを活用する道を考えたい。このままではベンゼマは一切休めなくなってしまう。

アトレティコはグリースマン、ラウール・ガルシアを順に下げ、ガビ、ラウール・ヒメネスを投入。結局マドリーに勝ち越しは許さず、4-2で勝ち抜けを決めた。

■最後に少し

スコアレスで推移していた第1戦、攻撃はうまくいっていなかったが、アトレティコにもあまりやられてはおらず、狙いはともかくお互いにそこそこといった状態だった時に安易にペナルティを与えたところから始まり、この試合でも立ち上がりに不用意なプレーを続けたと考えると、ホームアンドアウェイのトーナメントを勝ち抜けるためのプレーを続ける我慢が、今のマドリーには決定的に不足していたと言える。

自分達が先手を取るよりも、相手に先手を取らせないことが重要なトーナメントで、アトレティコのプレーとそれを支える統一された意思はマドリーを上回ったということ。

やりたいことをやるのではなく、相手のやりたいことをやらせないようにしていれば、アトレティコのようにこうしてチャンスは転がってくる。そうした戦い方をする必要性を実感して、一つ目のタイトルから去ることとなった。

マドリーにとって良かったのは、皮肉にも早めに敗退が決まったことだろう。

プライドの問題を別にすれば、準々決勝や準決勝で敗退するよりも早く、この時期にミッドウィークの試合が減ることで、1試合ペースにできる週が増えることになる。コンディションが大きな課題となっているマドリーにとっては大きな違い。

この敗退で得た教訓を生かし、コンディションを整えて残りのリーガとCLに向かえれば、タイトルを狙えるレベルに改善することができるだろう。