レアルマドリードのある生活

レアルマドリードの応援日記。試合中心にお送りします。

CL準々決勝第2戦 vアトレティコ

今シーズン8回目の対戦。その中の、おそらく最も重要な試合。

■マドリーの先発メンバー

GK:カシージャス

DF:カルバハル、ペペ、バラン、コエントラン

MF:クロース;セルヒオ・ラモス、イスコ

FW:ハメス・ロドリゲスチチャリートロナウド

89分:コエントラン→アルベロアチチャリート→へセ、イスコ→イジャラメンディ

出場停止のマルセロの替わりはコエントラン。センターバックコンビをぺぺとバランとしモドリッチのポジションにはセルヒオ・ラモスが入った。ベンゼマの代役は同じポジション同士でチチャリート

アトレティコの先発メンバー

GK:オブラク

DF:フアンフランミランダ、ゴディン、ヘスス・ガメス

MF:アルダ・トゥラン、コケ、ティアゴ、サウール

FW:グリースマン、マンジュキッチ

46分:サウール→ガビ、65分:グリースマン→ラウール・ガルシア、85分:ティアゴヒメネス

サウールが先発。マリオ・スアレスは出場停止で、替わりはティアゴ

セルヒオ・ラモス

マドリーの一番のサプライズはセルヒオ・ラモスの中盤起用。しかも、中盤の底ではなく、その一列前での起用となった。

底だと、ボールを受けた瞬間に背後からプレスをかけ、不慣れなところを狙われると一気に致命的なピンチになりうるが、インテリオールなら多少なりともその危険性は下げられる。また、底でクロースがパスを捌く強みを残したとも取れる。

これにより、中盤の守備と高さは改善された。イジャラメンディやルーカス・シウバではなく、セルヒオ・ラモスを使ったのは大胆だが、この点においてはもっともな起用。

流れの中ではマンジュキッチの相手を行い、ロングボールからの展開を自由にさせなかったし、アトレティコの速攻の芽を早めに潰せていた。

また、アトレティコの危険なセットプレーでは、高さのあるプレーヤーを多くしたことで優位を確保。仮に、両センターバックマンジュキッチ、ラウール・ガルシアと4枚入っても、マドリーも両センターバックロナウドセルヒオ・ラモスで対応可能な状況を作っていた。

一方、縦パスを入れる能力はぐっと落ちる。

セルヒオ・ラモスはサイドを変えるパスは得意だが、縦にボールを入れるプレーはあまり多くなく、ましてプレッシャーの多い中盤ではかなり難しくなる。誰にも真似ができないモドリッチのようなパスはもちろん、中盤が本職のプレーヤーと比べてもこの点では厳しく、アトレティコの強固な守備ブロックを崩すにあたり、足かせとなる恐れは十分にあった。

また、一番怖いのは、最初に書いたように彼が受けたところを狙われること。最終ラインでは基本的に受けることがない背後からの寄せに対応を誤ってボールを失うと、非常に危険な状態になってしまう。

では、アトレティコの出方はどうだったか。

アトレティコアウェイゴールを取れば準決勝進出に大きく近づく状況であり、ゴールを奪うために第1戦に比べれば前に出てくるのではないかと思っていた。そうなると、負傷者が多く不慣れな形であるマドリーがボールを運ぶことは難しくなるし、セルヒオ・ラモスの中盤起用で得られるメリットよりデメリットの方が大きくなってしまう。

今シーズンの対戦成績から言って、1点取ってしまえば2点取られることは考えづらいので積極的に、という出方となることを個人的には恐れていた。

ところが、アトレティコは第1戦と同じようにしっかり退いて守ることを選択。

4-4の守備ブロックは相変わらず強固だが、マドリーの後方でのボール回しは脅かされることが滅多になくなり、セルヒオ・ラモスのところも奪われる心配は多くはなくなった。

アウェイゴールの心配をしながら恐る恐る攻撃せざるを得ないような状況に比べ、崩すのは難しいものの後方では落ち着ける。アトレティコのこのやり方は、マドリーにとってはありがたかった。

マドリーはアトレティコのカウンターを発動させないよう、最初のパスを跳ね返しマイボールにすることに集中すれば良くなり、そこでペペ、バラン、セルヒオ・ラモスが大いに活躍してくれていた。アトレティコはアルダが中心となってボールを運んでおり、マンジュキッチに当ててグリースマンを使う意識も見えたが、速攻には鋭さがなく、マドリーの守備陣はきちんと対処できていた。

怖さがあったのはセットプレー。

ヘスス・ガメスのロングスローは大きく跳ね返すのが難しく、エリア付近で混乱したまま相手ボールとなる危険性があった。右サイドであろうと左サイドバックのヘスス・ガメスが入れるのだから、これを繰り返せば何か起こせるという考えはあったのだろう。

コーナーも相変わらず危険で、マドリーの高さもあるとはいえ、良いボールが入ると合わせられそうな雰囲気はずっとあった。

第1戦でもそうだったが、セットプレーを契機に押し下げられると、そこから陣地を取り戻し流れを元に戻すのにかなり時間を要する。セットプレーの後で通常の布陣からずれているので、そうした混乱した状況で判断を間違うと、一気にやられてしまう。

セルヒオ・ラモスのところが狙われ、きれいに奪われたのも1度だけあり、セットプレーとその後の対処は慎重さが求められる。マドリーはそれ以前に高い位置でアトレティコにセットプレーを与えないよう、うまく守ってボールを動かすようにしていた。

■サイドを狙うも

マドリーはアトレティコの守備陣をどう崩すか。

アトレティコのカウンターの脅威はそれほどでもないとはいえ、アウェイゴールを奪われれば2点を挙げることは非常に難しくなってしまうので、あまりにバランスを欠いて人数をかけるわけにもいかない。

出し手と受け手で特別な存在であるモドリッチベンゼマも欠いており、バイタルにボールを入れてそこからサイドを使って、という展開も難しかった。

そうなると、アトレティコ守備陣の外側でボールを動かし、少しでも遅れたところをサイドで仕掛けるしかなく、両サイドで誰かが相手をはがすのを待つという状況が長く続いた。

突破できれば、チチャリートがマークを外して飛び込むことは期待できたし、セルヒオ・ラモスが飛び込んでくることも考えられるので、クロスを入れるメリットはいつもより大きい。どうにかしてサイドから良いボールが欲しかった。

しかし、人数が揃ったアトレティコの守備をかいくぐるのは本当に難しい。独力での突破もなかなか成功しない。マドリーの攻めは、予想されたことではあるが、攻めきれないじりじりした展開となった。

マドリーもアトレティコのミス待ちといった状態で、カウンターにでかかったところやセットプレーの後が狙い目。

サウールのところで奪い、ハメスからのパスでロナウドがオブラクと1対1になった場面は、理想的な形。こうした数少ないチャンスをものにしたかったが、オブラクが第1戦に続き安定したセービング。最後の壁を破ることができず、前半を終えた。

アトレティコの交代とアルダ退場で

アトレティコは後半開始からサウールに替えてガビ。サウールは狙われていたので、ガビで落ち着くことを狙った。これによりコケがサイドへ。

アトレティコは後半も無理をしない形で、試合は前半同様我慢比べ。先に致命的なミスをした方が負ける。

アトレティコが続いて手を打つ。65分にグリースマンに替えてラウール・ガルシア。

危険なプレーヤーであるグリースマンだったが、この試合ではスピードを生かしたカウンターやラインとの勝負はできず。カウンターよりも、高さを生かせるラウール・ガルシアでセットプレーに期待する意図だったかもしれない。

この交代は、マドリーにとっては幸運。カウンターを警戒する必要性が下がり、セットプレーに絞って対応すればよくなった。流れの中で何か起こしうるプレーヤーが下がったことで、守りやすくなり、そのために攻めを考えやすくなったと言える。

そして、76分にアルダが2枚目のイエローで退場。無理しなくても良い場面で足の裏でチャレンジしてしまい、彼とアトレティコにとっては悔やまれる判断となった。

彼の退場により、アトレティコはボールを運べるプレーヤーがいなくなった。ラウール・ガルシアを中盤に下げ、4-4-1とするも、前に残るマンジュキッチはマドリーがきっちり消しており、中盤からボールを持ち上がれることもなくなって、アトレティコは逼塞。これまでは主体的に守れていたが、10人となってからは守らざるを得ない状況となった。

85分、アトレティコは守りきろうという意図を明確にし、ティアゴヒメネスに替え、5バックに。

凌ぎ続けて、セットプレーを狙いながら、延長、ペナルティまで見据えようというようなシメオネの選択。

しかし、最後にマドリーはアトレティコの壁を破る。

88分、右サイドでボールを持ったロナウドがハメスにパスを当てる。ロナウドは中へ入り、うまいコース取りでミランダの前を取る。オブラクはしっかりコースを消しに出たが、ロナウドはフリーで待つチチャリートへ。チチャリートがこれをきっちり決めた。

チームにとってはもちろん重要なゴールだが、それ以上に彼にとって価値のあるゴール。ここまで出場機会が非常に限られる中、チャンスを逃さず結果を出したのは本当に素晴らしい。忍耐と集中力、彼の価値を示すゴールとなった。

アディショナルタイムは5分。マドリーはここまで残してきた交代枠3つを時間稼ぎに活用。アルベロア、ヘセ、イジャラメンディと投入し守備を固めて、そのまま逃げ切り。1-0で勝利し、準決勝進出を決めた。

アトレティコは交代が結果として裏目に。グリースマンを下げたあたりからマドリーは組し易くなった。

■先へ、先へ

ゴールを挙げたチチャリートは、90分を通して精力的にプレー。ボールを引き出し、クロスに飛び込み、ラインの裏を狙った。チチャリートのゴールゲッターとしての動きは、迫力があった。

80分にゴディンにつかれながら振り切り、シュートに持ち込んだ場面のプレーは、対格差をものともしない力強いもの。ゴールに向かうプレーはベンゼマにはない長所で、この試合にかける気迫もチームを大いに鼓舞し、助けてくれた。今、マドリディスタの中で彼を認めない者などいないだろう。

チームは5シーズン連続の準決勝進出。

負傷者続出の状況を乗り越え、ここまで来たことに価値がある。コンディションは厳しいだろうが、チームの精神状態は上向いたはず。勝ったからといって終わりではないし、負傷者がすぐに帰ってくるわけでもないが、やられ続けていたライバルを倒したことで、良いメンタリティで残り試合に臨めるだろう。

準決勝はユベントスと対戦することが決定しており、第1戦アウェイ、第2戦ホームの日程となっている。

ここまで来たからには、更に上、もちろん優勝を目指してほしい。

こちらもタイトルのかかる週末のリーガは、アウェイでセルタと対戦。

大きな試合の後で、集中が切れて勝ち点を落とすとリーガのタイトルは遠のく。日程的には厳しいが、勝ち点3を持ち帰ってきてくれれば。

■お知らせ

転居に伴い、ネット環境がしばらく使えなくなります。

確認したところ、環境が整うまで最大で1か月程度かかるとのことでした。拙文をお読みいただいている皆さんには大変申し訳ありませんが、その間本ブログの更新はお休みさせていただきます。

シーズン終盤、ここからというところで、更新をストップせざるを得ないのは残念です。

少しでも早く復帰できるよう調整しますので、それまでお待ちいただければ幸いです。