レアルマドリードのある生活

レアルマドリードの応援日記。試合中心にお送りします。

CL決勝トーナメント1回戦第1戦 vシャルケ

昨シーズンはドイツ勢を相次いで退けて頂点に立ったが、ドイツに対する苦手意識はなくなってきただろうか。

■マドリーの先発メンバー

GK:カシージャス

DF:カルバハル、ペペ、バラン、マルセロ

MF:クロース;ルーカス・シウバ、イスコ

FW:ベイル、ベンゼマロナウド

78分:ベンゼマチチャリート、82分:カルバハル→アルベロア、85分:イスコ→イジャラメンディ

ペペがいきなり先発で復帰。中盤ではルーカス・シウバが初先発となった。

シャルケの先発メンバー

GK:ベレンロイター

DF:ヘベデスマティプナスタシッチ

MF:内田、ヘーガー、ノイシュテッターボアテング、アオゴ

FW:チュポ=モティング、フンテラール

33分:フンテラール→プラテ、57分:ノイシュテッター→キルヒホフ、80分:ヘーガー→マイヤー

ディマッテオのもと、守備が整備されているという話のシャルケ。負傷者が多いのが気の毒な状況。

■守備の改善

シャルケは内田とアオゴをウイングバックに置いた3-5-2。

マドリーの泣き所であるロナウドとベイルの裏で、ボアテングやヘーガー、2トップとうまく絡んで序盤にサイドから良い形を作っていた。

また、マドリーがボールを持った時は最終ラインに組み込まれるので5-3-2となり、その全員が自陣で守るので使えるスペースを非常に制限されていた。アタッキングサードまではボールを運べるが、その先をなかなか打開できず。シャルケウイングバックは周囲とうまくマークを受け渡しながら守っており、致命的なずれはほとんど出来なかった。

特に内田はさすがの対応。イスコ、ロナウド、マルセロを相手に、しっかりとした守りを見せていた。

シャルケが3-5-2の形をうまく生かしていた一方で、マドリーも手堅いプレーでアウェイの第1戦に入ることができた。これには3つの理由を挙げることができる。

1つ目は、復帰してきたペペ。

1対1で負けることはほとんどなく、厳しい体勢でもファールなくボールを奪える守備の技術は、復帰直後のこの試合でも問題なく発揮されていた。

また、後方で詰まった時に彼のフィードがあるかないかの差は大きい。何度も前線にボールを届けてくれ、攻撃を前に進めることに貢献していた。

バランもペペの隣で落ち着いたプレー振り。ナチョとの組み合わせでは不安定さを露呈し、アトレティコ戦で顕著に見られたように組み立てではナチョとともにパスを狙われていたが、この試合ではほとんど問題は起きなかった。まだまだペペやセルヒオ・ラモスに引っ張ってもらう立場なのだと実感する。

2つ目はルーカス・シウバ。

寄せるべきところできっちり寄せてくれ、信頼できる守備を試合を通して継続できていた。いかにも底のプレーヤーらしい守備で、彼とクロースの組み合わせで中盤がかなり落ち着いた。

クロース、イスコ、ハメスの組み合わせがいかに大胆か、ルーカス・シウバが入ったこの試合を見るとよく分かるだろう。

彼がいることでクロースが少し前でプレーでき、縦にボールを入れるなど攻撃に多く関わることができるようになっていたのも良い影響。ルーカス・シウバがいたことで中盤のバランスが取れていたと言える。

3つ目はベイルの守備参加。

ベイルが前残りしてしまい4-3で守らざるを得ず、中盤の守備が間に合わず苦しくなることはこれまでの試合で何度も書いてきたとおりであり、遅れてもせめて戻るだけのことはしてほしいと考えていたが、この試合ではかなり勤勉に戻ってきていた。

それにより4-4-2の形で守ることができるようになり、陣形としても安定。

完璧とは言えず、遅くなった時は最初に書いたようにシャルケのサイド攻撃が機能してしまっていたが、放置するよりは遅れても戻る方がずっと良い。

これが継続するかどうかは今後の試合を見てみないとなんともいえないが、まずは失点を避けたいトーナメントで、相応のプレーをしてくれたことで、今後に向けて期待が持てる。

これらのことから、最近の試合の中ではバランスの良い守備ができており、トーナメントにふさわしい手堅い内容の試合を作ることができた。アウェイゴールは避けたいシャルケが人数をかけずに攻めることが多かったこともあるが、この内容は評価できる。

■落ち着いて

守備で良い状態だったのとは裏腹に、がっちりリトリートしたシャルケを前に攻撃は停滞。

光明はBBCの距離感が良かったこと。彼らとイスコやマルセロ、カルバハルがパス交換して崩そうとする場面があり、純然たる3トップとなってボールを待つ状態とは違っていた。こうした連携ができる距離感を保っていければ、さすがに足元の技術はあるので90分のうちにチャンスをいくつか作ることはできる。

守備同様、この関係性は継続していってもらいたい。

26分、カルバハルがアオゴとの1対1。縦にはいかず左足に持ち替えて柔らかいクロス。ロナウドが完全にフリーとなり、頭で流し込んで先制に成功。カルバハルのボールとロナウドの進入がぴたりと合った。どちらも質の高いプレー。

カルバハルはアオゴの対応が悪かったのを見逃さず。ドリブルを警戒して距離を取ったアオゴを前に置いて、左足に持ち替えることでクロスを上げる角度を得た。

サイドでの完全な1対1はこの場面くらい。その1回のチャンスをゴールに結びつけた。

シャルケは33分にアクシデント。フンテラールがバランとの接触の際負傷し、プラテと交代。前線でよくボールを収めていたフンテラールがいなくなり、内田やアオゴ、ヘーガーが出て行くタイミングを取りづらくなった。

ボアテングから良いボールは出ても、厚みのある攻撃を作ることが難しくなり、マドリーとしては負担が減った形に。

ベンゼマのシュートなど、少ないながらもチャンスは作ったマドリーだったが、後半に入っても堅実なスタイルは維持。

どうしても昨シーズンの6-1のイメージが残っており、先制できたこともあって第1戦で勝負を決めてしまえるような結果を求めたくなるような状況の中、チームは冷静に試合を運んだ。

無失点で終えられればアウェイゴールは1つでも十分で、先を見据えた無理のない判断と言える。

左右に良くボールを動かし、狭いサイドを無理につかず展開して、危険な奪われ方はしないよう攻撃を形成。シャルケボアテングからの展開に望みを託す。

一番のピンチはそのボアテングのボールに内田が抜け出した場面。ダイレクトの落としをプラテがシュートしたがクロスバーに当たり救われた。ボアテング自身がアタッキングサードに入ってゴールに繋がるようなプレーをすることはなかったが、時間を与えればこうした展開ができるプレーヤー。基点となる彼をもう少し見ておきたかった。

79分、願ってもない追加点が入る。

左サイドでロナウドが空いての間を割って中へ。パスを受けたマルセロが右足でファーへ巻くきれいなシュートを決めた。

決めた後、アンチェロッティも混ざって祝福の輪ができたのが印象的。勝ち抜けのために重要だったことはもちろん、難しいチーム状況を変えられるようなゴールとなるかもしれない。チームの良い雰囲気が戻ってきたように感じた。

この2点目に前後してベンゼマを休ませたアンチェロッティの判断は早かった。普段なら1点差で彼を替えることはあまり考えられないが、さっさとチチャリートを投入したことは良い判断。

アルベロアを投入し、イスコとイジャラメンディを交代させる磐石の守備固めで2-0のまま逃げ切りに成功。

昨シーズンのようなゴールショートはならなかったが、アウェイゴールを2点も得て、十分なリードを持ってベルナベウでの第2戦に臨めそうだ。

■今後も継続して

決勝トーナメントのスタートとしては素晴らしい内容で勝利した。

守備面でここ最近とは違う質を見せてくれたことが嬉しい。昨シーズンのレベルにはまだ及ばないが、バラバラにやりたいプレーをするのではなく、チームとして勝ち上がるために必要なことを実行する意思があることを示してくれた。

リーガで同じ緊張感を維持することは難しいし、少し抜くべきタイミングもあると思うが、継続してこうした質のプレーを見せられれば、リーガ、CLともに、少なくともタイトルを争えるくらいのところまではいけるだろう。

一過性のものに終わらず、今後もこの試合をベースに内容を高めていってもらいたい。

今週末のリーガはアウェイでエルチェと対戦。