遅ればせながらビジャレアル戦を振り返る。と言っても、お馴染みの流れで幻滅するしかないのだが。
■マドリーの先発メンバー
GK:ケイラー・ナバス
77分:モドリッチ→イスコ、カゼミロ→コバチッチ、88分:マルセロ→ヘセ
セルヒオ・ラモスが先発で帰ってきた。中盤ではクロースがベンチとなり、カゼミロが先発。
■ビジャレアルの先発メンバー
GK:アレオラ
DF:バイイ、ムサッキオ、ビクトル・ルイス、ハウメ・コスタ
FW:バカンブ、ソルダード
82分:ソルダード→ナウエル、バイイ→ルカビナ、89分:トリゲロス→ピナ
CLも狙える位置に付けるビジャレアル。ホームでの成績が良い。
■相変わらず
マドリーは2つの点で相変わらずだった。
1つ目は人はいるわりに緩い守備。ケイラー・ナバス頼みになっていることは再三指摘している通りで、守備の改善は全く図られていない。この試合では試合の序盤からまずく、9分にソルダードに先制点を許してしまった。このような入り方をしたら上位のクラブにはやられてしまう。
2つ目は、形にならない攻撃。シュート数は22本と、ビジャレアルの8本を大きく上回っていて、いくつかのチャンスを決めていればという見方もできるが、65%のボール支配の割にはアタッキングサードで効果的な形を作れない。
リードする展開となった時点でビジャレアルは守備を優先して考えることができ、マドリーにとっては苦手な引いた相手を崩す作業が続くことになる。こうした攻撃を自らに強いることとなる点においても、緩い守備で簡単に失点してしまう現状は苦しい。
不安な守備で失点し追いかける展開となって、スペースのない苦手な攻めを続けざるを得なくなるのは、今に始まったことではない。
手堅い内容で勝つならばまだ許容できるが、こうして自滅して勝ち点を落とすのはいい加減終わりにしなければならない。そうでなければタイトルなど望むべくもない。
ベニテスはチームを変えすぎのように思う。
例えば、カゼミロの抜擢で中盤の守備が改善し、バランスが取れてきたのにバルセロナ戦ではクロースに戻り、この試合ではまたカゼミロとなった。
形も、今は昨シーズンのような4-3-3となっているが、ここまでに紆余曲折を経てきている。ベイルの起用法やロナウドの存在などの制約があり、思うように行かないなかでバランスを取る難しさは理解するが、それにしても時間がかかりすぎている。
プレーヤーの起用法についても、コンディションを維持するためのローテーションという意味もあるし、うまく管理できているならばそれもひとつの考え方と言えるが、逆に筋肉系の故障が続出する状況となってしまっていて効果が出ていない。
少数のプレーヤーでずっと固定して疲労が大きな課題となったアンチェロッティを見ているので、変化を付けていくこと自体を否定するつもりはないが、チームを掌握しきれておらず、ピッチでのやり方を固定できていない中で、あれこれ動かしても良い効果は得られないだろう。
不安定な戦いぶりはここまでの結果にも出ている。
これまでの試合結果を見ると、5点、6点といった大量得点での勝利がある一方で、無得点は5試合(ヒホン、マラガ、PSG、バルセロナ、ビジャレアル)、1得点は2試合(グラナダ、アトレティコ)あり、状況が良く固め取りする試合とそうでない試合の落差が大きい。
PSG、バルセロナ、アトレティコといったCLでも上位クラスのクラブだけでなく、リーガで格下のクラブにも苦労している傾向が見える。
全体としては悪くても個人技でねじ伏せてしまうことができるし、そうやってでも勝ち点を挙げなければならないクラブなのに、組織としても個人としてもうまくいっておらず、点を取れないときはとことん取れないシーズンになっている。
この試合でも、シュートは多いがそれらが結局ゴールに入ることはなかった。
「どうもうまくいかない」という試合はシーズンに何度かあるものだが、今シーズンはそんな試合ばかりという印象。せっかくバルセロナも取りこぼしてくれているのに、マドリーはそれ以下の内容と結果で、自らタイトルから遠ざかろうとしている。そう感じざるを得ない内容だった。
■ベニテスはいつまでもつか
次節はラージョをベルナベウに迎える。
コパがなくなった分、コンディション的にはアドバンテージがあり、他の上位クラブより良い結果が出やすい状況。リーガのタイトルを目指すためには、もう取りこぼしはしていられない。
例年に比べ試合数が少なく、コンディション管理が容易な状況でそれでも内容も結果も出なければ・・・2016年のマドリーを率いるのは別の人物になっていてもなんら驚きはない。