前編の続きから。
・デルボスケがマドリーから離れたことで、マドリーは何を失ったのでしょう?
R:いつも振り返る時は、ビセンテの良いところを考えるようにしているんだ。4、5年のとても不安定な時期を過ごしていたところだったけど、彼はチームへの指示の仕方や強固な組織の作り方を知っていたんだ、全ての面でね。それに亀裂はなかったよ。彼を手放したのはクラブの決断だ。多分、今翻って考えれば、それはベストな考えじゃなかった。だけど、フットボールの世界や人生において、みんなその時々に決断を下さなきゃいけない。振り返ってみることはできないんだ。代表でもビセンテは同じことをした。ブラジルでの失敗の後、ルイス・アラゴネスがしてきたことを継続するために学びながら、いくつかのポジションで世代交代もした。チームを競争力のあるものに戻すためだ。(インタビューはスペイン代表がユーロに参加し、まだ試合をしていた時期に収録している)
・デルボスケをマドリーのファーガソンと言うこともできるでしょうか?
R:そうだね、うーん、そうかもしれないな。デルボスケの経歴は1つのクラブでとても長い期間務めるのにふさわしい。特にマドリーのようなクラブや代表でね。だけど、誰にもわからないよ。
・そんな風になりたいですか?
R:時には変化するのも良いと思うよ。ファーガソンがマンチェスターでしてきたことは、どれも良かった。だけど、ベンゲルもいるし、長く務める耐久性について議論しているひともいる。今や要望はもっと大きくなっているんだ。アトレティコを見てみてよ、シメオネはより多くを望むけれど、毎年夏に数人変えるだけだ。3、4、5年のサイクルの中で、何かをできる時がくるんだよ・・・。
・あなたは燃えられる人です。
R:そうじゃないかもよ。そういう風にできる能力がある監督は、クラブと手を取り合うかもしれない。そうなるためにはマネージャー、監督とクラブが手を繋げる関係であって、そうなれば全てを一度作り直す必要がある。そうでなければならない。監督が疲労困憊する時は来る、それが人生の法則だよ。
・マドリーにはスポーツディレクターが必要でしょうか?
R:今のところは、それは会長への質問だね。
・ですが、あなたにも考えがありますよね・・・
R:スポーツディレクターを置くことは重要だと思うよ。クラブとスタッフの間のコミュニケーションを簡単にして計画を作る人物だから。でもそれは、マドリーに限らずどのチームでもそうだ。それは僕が常に保ちたい構造なんだ。今マドリーにはスポーツディレクターはいないけど、それでもヨーロッパのカップを何とか勝ち取った。けれども、監督にはそうした人物がとても必要だと思うね。そういうチームワークが好きなんだ。それに、チームで仕事をするためには、全てのことをカバーする構造が必要で、そこでは円滑なコミュニケーションがなければならないんだよ。
・チェリシェフの件(コパ失格のこと)は、そうした人物の不在のために起こったことかもしれませんね?
R:そうかもね・・・。より”しっかりした”部署があれば、そういうことは決して起こらないのかもしれないし、それでもこういうことが起こってしまうのかも。誰にも分からないことだよ。僕に言えるのは、自分がスポーツディレクターがいる構造を強く信頼しているということさ。だって、同じところで全てを見ることができることは監督の大きな助けになるから。そういう風にした多くの人は同じように助けられているし、そうしなかったら忘れられてしまう。
・マドリーはポグバと契約する必要があると言えますか?
んー、わからないよ。ただ、彼は素晴らしいプレーヤーで、マドリーとコーチたちは今のシステムのどこでプレーできるか評価したとは思うよ。
・今回の移籍市場で、どのような方針であればマドリーがより強くなれると思いますか?
ふっ!今のチームは成熟しているよ。必要なのは控えだ。僕はその方向を注目していて、それでCLの優勝をした。だからさ・・・。
・ジダンが成功したことのひとつはカゼミロの起用でしたね。
R:もちろん。ジダンはW杯、ユーロ、CLを勝ち取ったけど、どうして彼が勝てたのか聞いてみてよ。
・マケレレのおかげと?
R:マケレレのおかげ、それにフランス代表ではプティとデシャンのおかげでもあるよね・・・。
・マドリーには新たなマケレレが必要でしょうか?
R:チームには釣り合いとバランスがなければならない。そしてそうしたものをもたらすプレーヤーがいなければ。試合ではいつも攻撃に時間を与えられるわけじゃない。だから釣り合いが取れるプレーヤーがいる。
・マドリーはマケレレが移籍したことで大きく苦しんだでしょうか?
R:すまないけど、マドリーもクロース、モドリッチ、ハメスの中盤で良いプレーをしているよ。デシマの時を見てよ、バランスを取るプレーヤーはディマリアだったんだ。カゼミロに話を戻すと、彼をチームに加えたのはベニテスでもあるね。
・ベニテスは、真価が問われる時であるバルセロナ戦で、フロレンティーノを喜ばせるために彼を外しました。
R:なくてはならないピースだったのに、ピッチにいなかったね。多分ベニテスは2か月間仕事をして、マドリーはより走るチームと見て、より技術のあるプレーヤーだけで全てやれると思ったのかもしれないね。でも、前線の3人のモンスター(BBC)を置いていて、カゼミロはマドリーによく合っていたんだ。
・では、ポグバは?
R:うーん、肉体的に優れていて、守備のバランスもある。重要なプレーヤーだね。値段と状況を考えないといけないだろうね。でも、マドリーは求めるならどんなことがあっても・・・。
・・・・・・・・・・キリトリ・・・・・・・・・・
監督、そしてSDについての話が最初に。
SDは、ラウールが言うように組織の中で、コミュニケーションを円滑にするためにも重要で、ここに有能な人物がいるかどうかは、クラブの浮沈に大きく関わってくる。
ただ、マドリーはペレス会長が大きな力を持っており、今こうした役職を置いても、望むような機能のしかたはしない可能性が高い。アンチェロッティはマドリーの方針決定について、ペレス会長をはじめ数人で決められるので意思決定がスムーズだと述べたことがあったが、逆に言えば組織立って意思決定がなされていないとも取れる。そうした組織作りはマドリーにおいてはあまり進んでいないのだ。
ラウールがいずれ帰ってくる時、そういった立場になることも考えていてくれると嬉しい。
カゼミロの話題は、マケレレの功績に波及して面白い。
彼らのような存在がチームを勝たせているのだ、という話がフォワードであったラウールからされたというところに、ラウールの人柄や、チームへの考えが現れているように思う。
フォワードが点を取れれば勝てるんだ、と言わないところが彼らしい。