予告より遅れてしまったが、エーデゴーアの移籍について。
この間にアーセナルへの移籍が公式に発表されている。
移籍金は、報道によれば3500万ユーロとインセンティブで最大約4000万ユーロとのこと。
他のクラブからアーセナルにオファーがあった際に、マドリーは同額を提示することで優先交渉権を得る条項がついたとも報じられている。
経済的成功
どのクラブも節約志向のこのご時世に4000万ユーロで売却できたことの意義は大きい。
マドリーにとって必要だった戦力の整理、エンバペとの契約のための資金確保というミッションをひとつ進めることができた。
16歳で契約した時の費用が数約万ユーロだったことを考えれば、数年で大きな利益を得たことになる。
若手の獲得が多くなり、レンタルで他のクラブに育ててもらうやり方を取る中で、こうした形で最終的にプラスで終えられたことは、経済的な意味では大きな成功例となる。
スポーツ面での課題
一方、スポーツ面では課題を残した。
マドリーはトップチームで若手が育つのを待てるクラブではない。それはその通りだ。
だが、ベテランよりは若いプレーヤーとの契約を好むし、エーデゴーアのように話題性があれば政治的な力によってトップチームでいきなりデビューするようなこともあるクラブであることも確かだ。
今シーズンは、セルヒオ・ラモスを放出して、監督もアンチェロッティに代わり、新たな時代を迎える雰囲気が欲しいシーズンである。
若いエーデゴーアが攻撃の中心を担っていくような試合ができれば、そうした雰囲気を求めるクラブの考えに沿うものとなるはずだった。
また、アンチェロッティはジダンより攻撃的な形を好む傾向でもあるので、エーデゴーアが残っていれば、それなりにチャンスは与えられただろうと考えている。
それでも完全移籍を選んだということは、マドリーはエーデゴーアにそこまでの展望を見せることができなかったということを示唆する。
呼び戻したが使われなかったジダン期の印象、インテリオールのモドリッチとクロースへの信頼が引き続き厚く、バルベルデも控えている状況では、マドリーでのキャリアが開けていくと思えなかったのだろう。
レンタル先を工夫し、育ってきたところでトップチームに呼び戻して、控えの序列から世代交代していってもらうというのが理想の流れで、繰り返しになるがエーデゴーアには今シーズンそのチャンスがあったはずだった。
そこまで来ていて、アーセナルへ去ってしまったのは残念だ。バルベルデのようにマドリーで生き残る野心を持ってくれなかったということも。
ごく若い時から契約して手元に置きレンタルで伸ばしても、いざトップチームに組み込もうという時に失敗してしまったともいえ、彼のようなプレーヤーのモチベーションをどう保ってどう戦力化していくかが、スポーツ面で残された課題と言えよう。