グループステージの山場、ミラン戦。第4節はアウェイで再戦で、連戦となるため、ホームでは勝ち点3を得て、勝ち抜けに近づいておきたい。
■両チームの先発メンバー
マドリーの交代 82分:エジル→ラス、86分:ディマリア→グラネロ、88分:イグアイン→ベンゼマ
ミランの交代 58分:ガットゥーゾ→ボアテング、71分:ロナウジーニョ→ロビーニョ、78分:パト→インザーギ
マドリーはマラガ戦2トップからシステムを元に戻し、4-2-3-1とした。メンバーはマラガ戦と変わらず。
ミランは4-3-1-2。マルセロとのマッチアップで圧倒したいパトが右サイド、イブラヒモビッチが中央でボールを受ける。
■守備の勝利
だいたいのマッチアップは下図の通り。
マドリーの懸案はフットボリスタでも取り上げられていたように、マルセロ対パトのところ。
ミランはピルロとセードルフから直接、またはロナウジーニョ経由で2トップにボールを渡したい。
マドリーは当然良い形でもたせたくない。対策は中盤を狭めること。最終ラインを高く保ち、ボールの出所を自由にさせないやり方を選択。
エジルが主にピルロを見て、シャビ・アロンソ、ケディラはロナウジーニョ、セードルフをケア。両サイドのディマリアとロナウド、エジルも適宜挟みに行って、ピルロ、ロナウジーニョ、セードルフに楽なプレーをさせないことを徹底。
これが長い時間機能したことで、ミランに良い攻撃をさせないことに成功した。
またラインを高くしたため、前に出てボールを奪う回数が多かった。パスの出所をつぶして、難しいパスを前で取る守備ができ、ミラン2トップに良いボールを供給させなかった。
結果として、ボールを受けなければ仕事にならないロナウジーニョ、イブラヒモビッチは中盤の低い位置まで降りて行ってボールに触っていた。この位置ならマドリーは何も怖くない。
■マルセロ
さて、下の下から下の上くらいには守備が向上しているマルセロとパトのマッチアップ。
マルセロは、以前よりもあっさり足を出すことをしなくなっている。我慢して相手のコースを切り、体を当てて奪うことがずいぶんできるようになっているのだが、これは挟みに来てくれるディマリア、シャビ・アロンソの存在、後ろをカバーしてくれるカルバーリョの存在なくしてはあり得ない成長だったと思っている。
マルセロは1対1でボールを奪う必要がなくなり、誰かが助けに来てくれるのを待てば良いことになった。
そして、万が一抜かれても、経験豊かなセンターバックがフォローに入ってくれるという安心感がある。
絶対に誰か助けに来てくれるから、それまで粘れ、というタスクはきっちり実行できている。
そして、今朝のパトとの1対1では独力でボールを奪う事もできていて、個人の能力としてもだいぶ良くなっていることを実感できた。
そのうち、高い位置で奪ったものはエジルの追加点につながっている。(下図)
一度奪われたボールにケディラが戻りながらプレスをかけ、パスはパトへ。この時点で低い位置ながら、パトとマルセロは1対1の状態。
マルセロがうまく回り込んでスライディングを成功させ、こぼれたボールをシャビ・アロンソからサイドのロナウドへ。中へ入ってきていたエジルが丁寧に合わせ放ったシュートがボネーラにあたってゴール。
きれいなカウンターがマルセロの守備から始まっている。
もうひとつ、最近のマルセロについて気になっているのは、クリアが多くなっている点。
低い位置で奪った時、狭いところをリスクを負って繋ぐことはせず、大きく前線またはサイドラインへ蹴りだすことが多くなっている。
スペイン的には繋ぐ方が素晴らしいが、怪しいところで繋ぎに行って奪われて失点するより、シンプルにプレーさせている印象がある。
マルセロには、上で述べたような周りのフォローも含め、守備改善のための約束事がいくつかあるのだろう。
■もう一度!
2点目の直前にロナウドが決めたフリーキックと合わせ、2-0とし、後半も守備の集中力を途切れさせることなく、完勝といっていい勝利を挙げたマドリー。
強豪相手に、守備の勝利と言っていい試合をしたことは、決勝トーナメントへ向けて大きな一歩となった。
ミランの失敗―ロナウジーニョにスペースを与えず、いつまでも中盤で苦しいプレーをさせたこと、パスの出所が苦しいときのイブラヒモビッチ狙いをあまりせず、イブラヒモビッチも中盤を助けに降りて行ってしまったこと―を差し引いても、今朝もマドリーの守備は素晴らしかった。
良いラインコントロールをして、裏を狙わせず、うまく前で処理できるようにした最終ラインは称賛に値する。カルバーリョの経験が生きていて、オフサイドを取れる場面もいくつかあった。
この出来を偶然と言わせないためにも、次節、ミランとの再戦でも同じように相手を封じ込めて、自信をつけたい。