勝たなければいけないアヤックスのホームに、勝てなくてもそれほど困らないマドリーが乗り込む。
アヤックスはトーナメント狙いかEL狙いかが、ほぼこの試合で決まる。
■両チームの先発メンバー
・マドリーの交代 64分:ペドロ・レオン→ディマリア、81分:ラス→マテオス、82分:ベンゼマ→カナレス
・アヤックスの交代 46分:エル・ハムダウィ→デ・ゼーウ、75分:デヨング→リンドグレン、87分:スレイマニ→エリクセン
マドリーはペペ、カルバーリョの両センターバック、ケディラ、ディマリア、イグアインが恒例のスタメンから外れた。(カルバーリョ、ケディラ、イグアインは負傷)
久しぶりに配置がガラリと変わっている。
■幅を広く、大きな展開で
4-3-3のアヤックスに対して、マドリーはロナウドのいるサイドにボールを集めていた。右にいれば右へ、左にいれば左へのパスが目に見えて多かった。
アヤックスの3センターはそのサイドへ寄せていくが、逆サイドのトップが下がってスペースを埋めないことが多く、ここを狙うパスで打開を図る。
とりあえず一例として左にいるロナウドへアロンソからパスが出た場合を図にしてみた。
この場合、エマヌエルソンがそれなりに下がっておけば、1対2、アルベロアが上がっても2対2の同数となるが、下がらなければペドロ・レオンとアニタは1対1の状況になる。
パスが出た時にエジルやイグアインがすばやくフォローに入れ、アヤックスが間に合わなければ一気にチャンスとなる。
幅を広く、サイドを効果的に使ったマドリーの攻めは効果的だった。
しかも、前線の選手はポジションチェンジを繰り返している。選手を見ながら、大きな展開に備えなければいけない状況にアヤックスを追い込んだ。
先制は35分、裏へ走ったエジルへのパスが合い、エジルがダイレクトで落としたボールのバウンドに、ベンゼマがうまく対応してシュート。ステケレンブルグにはチャンスがないコースへ決めた。
アスレティック戦でもやっていたが、エジルはダイレクトでポンと落とすのがうまい。
そしてベンゼマは調子が出てきて、結果も残せている。
43分にはフリーキックの跳ね返りをアルベロアがミドルで叩き込んで2-0とした。
■うまく守ってミスから速攻
後半頭からアヤックスはエル・ハムダウィに代えてデゼーウを入れ、中盤を厚くする。
これで守備は改善された。逆サイドもケアされるようになっていたし、前半同様というわけにはいかなくなった。
でも、マドリーは2点リード、グループの状況からして焦る必要はまったくなし。アヤックスがどう攻めるのか、それに対応できるかだけが問題だった。
アヤックスはスアレスに預けてそのあとのフォローを何とかしたかったが、そこまでうまく行かず。選手を入れ替えた割にマドリーがうまく守っていたというべきだろう。
そして、69分、エノーの横パスをディマリアが奪い、持ち込んでロナウドへ。ロナウドが角度がない位置からのシュートを決めて3-0とし、試合の行方を決めた。
その後PKも決めてダメを押し、4-0で勝利。完勝でグループステージ首位通過を決めた。
■退場劇について
試合終盤の明らかにカード目当ての遅延行為により退場となったアロンソとセルヒオ・ラモスの件についてUEFAは調査を行うことを発表している。
アスによれば、非スポーツ的行為として最大3試合までの出場停止が科されるかもしれない、とのこと。直近の例は、リヨンのジュニーニョとクリスが退場となった2008年のCL、フィオレンティーナ戦で、このときは1万ユーロの罰金処分となっている。
モウリーニョからデュデク、カシージャスと言伝があったとされるセルヒオ・ラモスはこの件について、「イケルとは試合内容のことを話してたんだ、カードのことは何も話してない。試合結果は良いものだったし、シャビが退場した後は時間を潰して試合を終わらせようとしたんだ。審判は(4-0という)状況をしっていたんだから、カードを出さずに済ますこともできたはずだよ。」と語っている。
UEFAには試合の報告書が届いていないため、調査は明日以降になる模様。
程度の差こそあれ、良くある話のようだが、あからさまであったために、大きく取り上げられている。