レアルマドリードのある生活

レアルマドリードの応援日記。試合中心にお送りします。

CL決勝トーナメント1回戦第1戦 vリヨン

マドリーにとって苦手の中の苦手、リヨンとの第1戦。アウェイでは点すら取れないという有様で、完全に鬼門となっている。

ちなみに明日はリーガ内の難所、vデポルティーボリアソール。大変な1週間だ。

■マドリーの先発メンバー

GK:カシージャス

DF:セルヒオ・ラモス、ペペ、カルバーリョアルベロア

MF:ケディラシャビ・アロンソ;ディマリア、エジルロナウド

FW:アデバイヨル

63分:アデバイヨル→ベンゼマ、68分:ケディラ→ラス、75分:エジル→マルセロ

戦前の報道は外れ。モウリーニョはいつも通りのメンバーを並べた。アデバイヨルが先発し、リヨンへ帰ってきたベンゼマは控え。

■リヨンの先発メンバー

GK:ロリス

DF:ルベイエール、クリス、ロブレン、シソコ

MF:トゥラランシェルストレーム;バストス、グルキュフデルガド

FW:ゴミス

70分:バストス→ブリアン、デルガド→ピエド、76分:シェルストレームピャニッチ

リサンドロ・ロペスが負傷中のため、代わりはゴミス。両サイドが危険。

■ボールは要りません

CLということで、立ち上がりは互いにがっちり。

相手より多く点数を取るというより、相手より点数を取られないようにするのが大事なので、お互いに人数をかけて攻めるというよりは、ボールを持ったら少ない人数で早く、という意識が強かった。

マドリーはカウンターで生きる選手が多く、こういう試合でそれを最大限利用しない手はないし、リヨンもCLの戦い方は十分心得ていて、リトリートして守り、一気の攻めで攻略する意思は統一されている。

そういう2チームの対戦で、ボールポゼッションをさせられたマドリーはとても苦労した。

今に始まったことではないが、アタッキングサードで細かい崩しは期待できないし、シャビ・アロンソエジルといった攻撃を作る選手がリヨンにケアされていたことで、良いパスが出てこない。

受け手も頑張れないし、出し手も厳しいので、良い縦パスが入らず、よってマドリーのボールはリヨンの2ラインの周りを撫でるだけになってしまった。

一方のリヨンは、奪ってからの両サイドの攻撃が機能し、シュートまで行けそうな場面をまあまあ作れていた。

マドリーの4-2-3-1は、3の幅が狭く、ロナウドはトップのようにふるまうこともあるし、ディマリアはピボーテに並ぶような位置取りになったりするので、リヨンのきれいな4-2-3-1相手では、サイドの人数が基本的に足りなくなりがちだ。

セルヒオ・ラモスが早々にイエローを受けてしまったことで、マドリー右サイドはバストスとシソコの2人に執拗に狙われた。

ここの守備がうまくいけば、カウンターを返すこともできるのだが、基本的に1対2で、後からヘルプに行くようなやり方では、リヨンが崩す方が一手早い感があった。

結局、ボールを手放し、相手に難しい攻めを強いることに成功したのはリヨンで、マドリーは攻撃の組み立てができず流れが悪い状態に陥ってしまった。

それでも、無闇にサイドバックが上がったりせず、ある程度セーブした形を維持できたのは良かった。

手詰まりになった時に、むきになって攻めの人数を増やすのはCLでは自殺行為だ。その点は、多少大人のチームになったような印象を受けた。

■裏を狙おう

攻撃で第一に改善すべきだったのは、リヨンの高いラインの裏を狙う動きが全くなかったこと。

サイドに流れて走れば、ボールが出ることもあるし、なによりリヨンのサイド攻撃を牽制もできる。

足元で受けてよっこらしょでスタートする攻撃、ドリブルのみでは1人はかわしても二の矢三の矢が早い、レベルの高い相手との試合では成功する見込みはとても低い。

コンパクトな陣形を間延びさせて、自分が生き、エジルシャビ・アロンソを楽にさせる動きがなかったために、望まないボールポゼッションをさせられる場面が多かった。

■少し動けば

後半、マドリーの攻撃陣は、ちょっと動いてボールを引き出すようになった。これによって、エジルが前を向くチャンスがでてきて、ようやくリヨンに怖い思いをさせられるように。

深い位置で前を向ければ、1対1のタイミングもあり、ファールを受けることもできる。それで、ポストに当たったロナウドフリーキックなど、セットプレーのチャンスが出てきた。

ボールのもらい方が少し変わると、少しずつ良くなってくる。

そしてベンゼマ投入。

アデバイヨルはあまりボールに絡めなかった。彼が先発した理由は、ベンゼマが週末のレバンテ戦で80分以上プレーしたこともあるだろうが、ベンゼマよりは起点になれること、セットプレーでの高さを期待することもあっただろう。

が、この試合では仕事が全く出来なかった。セットプレーは、それほど気合いがなかったので仕方ないが、放り込みでなくとも足元で楔を受けてもらわないと、攻撃の形にならない。

ベンゼマは、交代直後、リヨン最終ラインにプレス。ファールをせずに奪って、エジルロナウドと細かく繋ぐパスがここ一番で通り、ベンゼマは落ち着いてシュート。

一旦は股間のコースを閉めていたロリスが、ドリブルを続けたベンゼマに対応しようとちょっと腰をあげた、その瞬間に股間を抜くシュートが放たれ、クリスのカバー及ばずゴール。

狙ったコースではないだろうが、ファーストタッチの良さと、ディフェンスに寄せられながらコースを作ろうと頑張ったことが奏功。

思い切りシュートしてもらいたい場面が、マドリーに来てこれまで何度もあったベンゼマだが、最後までコントロールしようとするベンゼマの特徴がこの日は良い方に出た。

■守備固めはこれが定番か

その後は定石通り守備固めの交代。

ラスで中盤のプレッシャーを高め、マルセロでサイドを固める。中盤マルセロは久しぶり。この日はあまりそういうチャンスはなかったが、ボールを持って攻撃にしっかり関わることができるし、中盤におけばサイドバック2枚となって、ロナウドを置くよりずっと守備を良くすることができる。

CLではこういう使い方が良いかなという、今後のモデルケースになりそう。

逃げ切りを図ったマドリーだったが、83分、ピャニッチフリーキックロナウドがコースを変え、ゴール前で競り合ったボールがゴミスの目の前にこぼれるという不運で同点に。

遠かったので、ロナウドが前に立つ必要があったか、とも思うが、入ってしまったからこその結果論。

拮抗している時のセットプレーは怖い、ということをまずは再確認しなければならない。

追いつかれたものの、アウェイゴールを取っているマドリーはその後の10分間、攻める気を見せず、ゲームを終わらせて1-1で試合終了。

マドリーはリヨンで初めて得点をあげ、半歩リードして第2戦を迎えることとなった。

■第2戦へ向けて

後半、攻撃にかける人数を増やしたわけではないのに、前半と違う攻撃の質を見せられたことを覚えておく必要がある。

遅攻になった時に、ちょっとしたフリーラン、スペースを作りスペースでもらうことを意識するだけで、前を向くチャンスは増えてくる。

相手に絶えず脅威を与えるという点で、それができるのとできないのとでは大きく違ってくる。

第2戦ではリヨンは点を取らねばならず、それなりに前に出てこなければならない。

1点取って守りきる自信があるかどうかによるが、序盤は落ち着いた立ちあがりで、30分くらい経って手ごたえを与えなければ徐々に前がかりになってくるような展開になるだろう。

その時に、マドリーが良い速攻を作れるかどうか。

守備に関して言えば、バストスが出場停止になることは助かる。両サイドで伸び伸びプレーできる彼の脅威がなくなったことで、少し楽になるかもしれない。リサンドロ・ロペスが帰ってくるだろうから、プラスマイナスゼロとも言えるが。

後は、3-1に入る前、シェルストレームのところを厳しくつぶすことは考えた方がいいだろう。

マドリーにおいてシャビ・アロンソを消されるのと同じで、攻撃の第1歩を難しくさせるためだ。前線に入ると、タレントが揃っているので、何か起きてしまう危険性がある。マドリーが8人で守らないこともあることを考えると、なおのこと。

シェルストレームのところで無理を強いて、難しいボールが出たところを奪って速攻、が理想的。

ともかく、リードしていること、とはいってもわずかなリードであること、を考えれば、人数を割いてでも守ることが第一。

上に書いたように、時間が経って困るのはリヨンのほうだ。マドリーはリヨンの出方に対応して、カウンター一本を虎視眈々と狙っていけばいい。

落ち着いて、チームのために走る、基本的なことを実践できれば勝利は見える。